世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子・吉田洋一郎による、最新ゴルフレッスンコラム48回目。多くのアマチュアゴルファーを指導する吉田洋一郎コーチが、スコアも所作も洗練させるための技術と知識を伝授する。
パッティングのスタンス幅が人によって違う理由
ツアーの中継を見ていると気がつくと思うが、パッティングスタンスの広さは選手によって大きく異なる。アイアンでもプレーヤーによって多少の差異はあるが、パッティングほどではない。
PGAツアーでもパッティングのスタンス幅が広いとされる松山英樹と、逆にほとんど足を開かないリッキー・ファウラーとでは30cmほどの違いがある。そんな松山英樹も今年に入り、5月に入りスタンス幅を狭めるマイナーチェンジを行った。
実はパッティングのスタンス幅に、「これが最適」という解はない。ストロークの主役である肩や手がスムーズに動く広さが、プレーヤーにとって最適なスタンス幅だからだ。
まずは自分に合うストロークタイプを知る
自分に合ったスタンス幅を探すためには、まず自分に合ったストロークを知る必要がある。
パッティングのストロークは大きく2つのパターンに分けられる。体の中心を軸に肩を回転させる振り子派と、左肩を軸にヘッドを直線的に動かす直線派だ。
一般的にはヘッド軌道がオートマチックに円弧を描く振り子派のほうが簡単だとされる向きがあるが、振り子派のストロークが誰にでも向くわけではない。振り子派のストロークは、上半身と下半身を別々に動かすことができる人にしかできないからだ。
自分がどちらのストロークタイプに向いているか、簡単にチェックする方法がある。壁にお尻をつけてストロークをしてみてほしい。アドレスの状態でお尻が壁についたままストロークをして、お尻が動かず肩を回転させられれば回転派に向くが、お尻が浮いてしまったり、お尻が壁についたままでも上半身がスムーズに動かなければ、直線派のストロークのほうが合っている。
振り子派は胸郭部分を中心とした回転を行い、ヘッド軌道はインサイドインのゆるやかな円弧を描くように動かす。直線派は左肩を軸に、フェース面が開閉しないように直線の軌道をイメージしてストロークするとよい。
ストロークのタイプがわかった後で、はじめてスタンス幅が決まる。
スタンス幅を見つけるテスト
スタンス幅を決める際は細かく変えて、どの幅だともっともヘッドがスムーズに動くか試してみるとよい。どのスタンスが良いかわからない場合は、バイオスイングダイナミクスという理論に自分に合ったスタンス幅を見つけるテストがあるので試してみるといいだろう。
まず、クラブを持たずにアドレスの姿勢をとり、腕をだらんと下げる。そして両親指を立てて、両親指とスタンスを平行にセットする。その状態から親指の間隔を変えずにパターのストロークのように腕を振ってみる。両親指がスタンスと平行のままなら適切なスタンスだが、合わないスタンス幅だと両親指が波を打つようにバラバラになる。この時に手や腕に力を入れると適切な動きにならないのでできるだけ力を抜いて体の動きで行うように気を付けてほしい。
自分にとってベストのスタンス幅を見つけることができれば、ストロークが安定しパッティングの成功確率が高まるだろう。