FASHION

2026.09.19

ドルチェ&ガッバーナ、アルマーニ、ラルフ ローレン…2027春夏ファッションをひと足先に【ミラノ編】

2027 Spring&Summerファッションウィーク詳報、ミラノ編をお届け。

2027春夏ファッション詳報5選【パリ編】

より軽やかに、そしてよりストイックに

急激な温暖化などによる6月のヨーロッパは熱波が猛威を振るい、日本でも大きなトピックになっていた。この暑さとなると正直、スタイルや精巧なものづくりを楽しむ余裕はあまりないのかもしれないが、そういう時こそ、各ブランドの姿勢が問われる。特にミラノでは、ブランドのコアをストイックに描きながら、AIやデジタル化の加速が進む時代へのアンチテーゼの姿勢を随所に感じることができた。

職人の手仕事による涼し気な温もりを感じさせたり、それに対して敢えていびつな手触りで人の心を揺さぶるデザイン。あるいはローライズの回帰、多彩な配色や柄使い、フェミニンなテイストを取り入れてクラシックの拡張を図る。酷暑に対する影響は間違いなくあるものの、服を通したヨーロッパ固有の気品をどのように解釈するのか、という問いに対して各ブランドはその回答が求められる。

より軽やかに、そしてよりストイックに。2027春夏のミラノメンズを表すのであれば、この表現がうってつけかもしれない。

1.ドルチェ&ガッバーナ|シチリア島を起点にブランドの個性を展開

シチリア島から漲るエネルギー、多彩な色使い、移り変わる風景、バカンスライフを軸としたコレクションを展開。ブランドの伝統の一部である「Nero Sicilia」というブラックから始まり、マクラメレース、ラインストーン、ポストカードのプリント、ピスタチオグリーンを中心にした装飾と柄。筋骨隆々のモデルの身体にも自然に寄り添うしなやかで柔らかいシルエット、肌触りのよい質感。ひとつの明確な着想から潤沢な変化、可能性、種類、そして未来の示唆を提示できるのは、ドルチェ&ガッバーナのアイデンティティが強固であるからこそ成立させることができると強く感じさせた。

2027 Spring&Summerファッションウィーク:ドルチェ&ガッバーナ

2.ジョルジオ アルマーニ|地中海でのひと時を感じる軽やかで滑らなエレガンス

’27SSも「ジョルジオ アルマーニ」は、旅を通して出会った異文化とブランド固有のエレガンスが融合している。それはウィメンズとの混合によってバリエーションがさらに豊富に。リネン、コットン、シルクの軽やかな素材感。さまざまなグレーディングで身体を包みこむ滑らかなライン。ジャケットやコートは薄手ながらスタイルやテクスチャーで現代的にアップデートされている。また軽やかなシャツには、涼し気な水平線を想像させるかのようなほどよい柄を配している。午前中から午後、そして夜に時間の経過を感じさせつつ、地中海の空気感を自然体に感じさせるリラックス感も際立った。

2027 Spring&Summerファッションウィーク:ジョルジオ アルマーニ

3.プラダ|日常的な男性服で服の本質を問う

タイトなシルエットは何を示しているのか。「明晰さ」を主題に’27SSのプラダは、日常的な男性服の本質を問いただしている。起点となるのは、デニムジャケット、Tシャツ、ジーンズ、そしてレザー使いといった、実用性をベースとしたシンプルな魅力を持つ日常着の可能性と再解釈。見る者、着る者の服への認識を見直す機会となっている。例えば、微妙にサイズ感を外したかのようなスタイルや大胆なクロップド丈のトップス、深くえぐられたVネック。これらは普遍的な存在である服を新たな視点で思索しており、人々の価値基準や物事に対する意味に対して変化を加えている。

2027 Spring&Summerファッションウィーク:プラダ

4.ラルフ ローレン パープル レーベル|ブランドのコアと日本の職人技術が新鮮に溶け合う

古着のように、あせたテクスチャーに職人の匠の術を感じさせながら、3つの物語で構成された’27SS。スタートは、スーツスタイルにサンダルを合わせた自由な着こなしやウエスタンに対する固有の思いを感じさせる。続いてレーシングの黄金期やイタリアの湖畔からの着想を細部や仕様に落としこむ。最後に日本のデザインハウス、クオンとのカプセルコレクションを展開。パッチワークジャケットやインディゴガウンなど、ラルフ ローレン パープル レーベルの卓越したテーラリング技術や上質な素材感に、岩手県大槌町を拠点に活動する刺し子職人による精緻な手仕事が組み合わさった。

2027 Spring&Summerファッションウィーク:ラルフ ローレン

5.ポール・スミス|さり気なさと遊び心でスーツを日常に導く

スーツを自然に日常に導きながらも、伝統的なテーラーリングが新鮮なスタイルを生みだしたポール・スミス。裏地を省くことで、軽やかで涼し気なデザインとなり、自然で柔和なテクスチャーのシルエット、日常に溶けこむように色合いとディテールの巧みなバランスが着こなしのアクセントとなっている。また、パッドステッチやフラワーループに見られる手仕事も光る。襟裏のメルトン地など派手ではないが、滲みでる伝統へのブランドの思い。だからこそ目を引く大胆なシルバーの安全ピンや貝殻のチャームといったユーモア溢れる遊び心も冴え渡っている。

2027 Spring&Summerファッションウィーク:ポール・スミス

6.シンヤコズカ|初のミラノでも哲学は変わらず

シンヤコズカにとって、初のミラノでのコレクション発表だからといってブランドのコアが変わることはない。水彩画やぼやけた景色や滲むようなカラーリングが、作品を構成するあらゆる要素全体に奥行きと柔らかさを加えている。また、柔らかな輪郭、曖昧さのなかにある美しさといった抽象的で詩的なブランドの美学は、アクリルジェルで立体的に表現されたスズメや羽のモチーフで独特の軽やかさを演出している。清涼感溢れるミントグリーンなどカラートーンは、肩肘張らない現代的なスタイルと混ざり合うことによって、リラックス感とニュアンスが融合している。

2027 Spring&Summerファッションウィーク:シンヤコズカ

7.セッチュウ|異種混合によってラグジュアリーの定義を問う

「網に捉えられて」というテーマのもと、新たなラグジュアリーの可能性を探る、セッチュウは日本の文化とエレガンスを見事に融合。構築的なテーラリングに、有機的で繊細な手仕事のディテールを深く調和させたデザイン。また今回際立ったのが、畳のルック。日本の夏や文化を象徴するそれをジャケットへと落としこみ、ジップ使いで現代的な機能性を足している。構造的な枠組みだけでなく、服を通した人々の個性や現代社会の空気感までも、繊細かつ力強く網で捉えているかのよう。精巧な手仕事とリアリティによって、現代のラグジュアリーの在り方を拡張する一手となる可能性を感じさせた。

2027 Spring&Summerファッションウィーク:セッチュウ

8.トム ブラウン|ミラノで広がる美しい春の庭

ミラノでの発表となったトム ブラウンの着想は、ピクサーによって1998年に公開された映画『バグズ・ライフ』。牧歌的な着想は、春と夏に溢れる生命力と歴史ある宮殿パラッツォ・セルベローニの庭園の美しさによって、濃密な世界観となってコレクションとなっている。代名詞であるテーラーリングは涼感ウールやテクニカルナイロンのシアサッカーによって軽量化され、裏地なしのノースリーブコート、サックジャケット、バックストラップパンツなどバリエーションも豊富。春夏でありながらベストやブレザー、ジャケットを重ねる巧みなレイヤードスタイルも目を引いた。

2027 Spring&Summerファッションウィーク:トム ブラウン

TEXT=関口究

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