時にファッションとして、時にシンボルとして、またはアートに……。ジュエリーを身につける理由は、実にさまざまだ。だが、そのどれもがアイデンティティの表明であり、まさに人生の足跡。そんな価値あるジュエリーを紹介する連載の第3回は、高貴なる反骨心によって、大人の男心をくすぐる「カルティエ」。【連載 I Don’t WEAR Jewelry. I WEAR Art】
脈々と受け継がれてきた、ロックでストリートな反骨心
ラグジュアリーとストリートの融合は、今に始まったことじゃない。1980年代にはヒップホップによって既にミックスされていたし、’90年代には東京ストリートが現在に続く下地を作り上げていた。そして、カルティエはロックな印象がある釘モチーフを採用した「ジュスト アン クル」を’70年代に生みだしている。高貴な反骨心……。そのアイデンティティは、現在も継承されている。2019年に登場した「クラッシュ ドゥ カルティエ」は、その証。スタッズ、ビーズといった同メゾンのデザインコードを新たに解釈したモチーフからなるデザインは、単に高級なだけでは物足りない大人の男にこそ、見事に刺さるはずだ。
単なる装飾じゃなく、スタイルを示すものとして
ロックでおなじみのスタッズ、そして丸みを帯びたビーズなどを組み合わせた「クラッシュ ドゥ カルティエ」。そのデザイン性の高い見た目とは裏腹に、ピンクゴールドやホワイトゴールドにより、ラグジュアリーであることを示す。一方、重ねづけした「ジュスト アン クル」に関しては、その洗練されたフォルムの中に、釘をモチーフとしたエッジあるデザインが感じられる。このふたつの組み合わせは、ネックレス、リング、ブレスという三重奏を決して単一的に見せない。だからこそ、型にはまらない上品な男性によく似合う。