過熱し続けるスニーカーブームのなか、従来の概念を覆すような画期的なビジネスが次々と生まれている。そんなスニーカービジネスの最前線に迫った。
ハイプな人を虜にするバーチャルスニーカー
今年の4月22日、実体のない世界でひとつだけのバーチャルスニーカー、エア スモーク1がオークションにかけられ、開始からわずか9分、約140万円にて落札。大きな話題を呼んだ。
エア スモーク1はブロックチェーン技術を使ったNFTと呼ばれるデジタルデータとしてのみ存在し、リアルの世界では履くことのできないスニーカーだ。これを手がけたのが、東京とロサンゼルスにオフィスを構えるテック企業、ワンセック。代表を務める宮地洋州(ひろくに)氏は、バーチャルだからこそできる表現にこだわったと話す。実際、このスニーカーは表面が虹色に変化し、ソールからは煙が出るなど、デジタルならではの仕かけが施されている。
北米では現在、流行の先端をいくハイプな若者たちを中心にバーチャルスニーカーへの注目度が高まってきているという。
「彼らは、フィジカルなものは劣化するけれどもデジタルデータは劣化しないので価値が高いと、考えるようになってきています。また、『FORTNITE』などのゲームの世界では、自分のアバターにリッチな服を着せて楽しむことはもはや普通。バーチャルスニーカーもゲーム内での重要なファッションアイテムとして認識されているんです」
バーチャルスニーカーの楽しみ方は人それぞれ。観賞することで満足感を味わうもよし、ゲームのアバターに着せるもよし。ARアプリを使って自分が履いているような写真を撮り、SNS上にアップすることもできる。もちろん、投機目的で購入する人も出てくるだろう。
バーチャルスニーカー市場はまだ始まったばかり。デジタルネイチャー世代の台頭により、スニーカーの新しい世界が幕を開けたのだ。
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