シーズンごとのトレンドを把握することは、洒脱への早道だ。ラグジュアリーから古着まで精通する小誌ディレクター・島田 明が、センスアップの決め手となる最旬アイテムと着こなしを紹介。
REVERSIBLE/着る楽しみをもたらすラグジュアリーなリバーシブル
「表裏で異なる着こなしが楽しめるリバーシブルウェアは、本来は極めて機能的なもの。例えばチーム分けできる赤白帽然り、緊急事態を知らせられるMA-1然り。そんなリバーシブルウェアをカシミアなどの高級素材で提案するメゾンが増えています。それは機能性や利便性というよりも、大人の遊び心を体現するためのアイテムと捉えるのが正解です。気分によって表裏どちらを着るか考えるだけで、ファッションの楽しみが増します」
CLEAR FRAME/’80年代文化人の象徴、知的さの眼鏡を今こそ
「’80年代に大活躍した漫才師、上岡龍太郎氏はマイヒーローのひとり。流暢(りゅうちょう)な話術はもちろん、知的でお洒落であり、芸能界の引退の仕方も潔くて実に粋でした。そんな上岡氏のトレードマークだったのが、’80年代ブームから現在リバイバルされているクリアフレームの眼鏡。若かった当時は真似しても軽く見えて似合いませんでしたが、自分もゲーテ世代になった今、似合うようになった気が。抜け感の演出にはぴったりです」
NEO LOAFER/スニーカーと革靴の中間に位置する次なる足元の本命
「過熱気味だった空前のスニーカーブームも落ち着き、スニーカー以外の足元も気になりだした今季。注目されているのが厚底でボリューム感のあるローファーです。スニーカーに対して新鮮味を出すためには革靴が妥当ですが、いきなりドレスシューズでは差がありすぎる。そこでスニーカー感覚で履ける厚底ながら、革靴の表情も兼ね備えるローファーが選ばれています。そのボリュームに合わせて、太めのパンツが好バランスです」
SOFT CORDUROY/そのまま寛げるような極上コーデュロイが新鮮
「この秋冬、世界的なトレンド素材となっているコーデュロイ。なかでもゲーテ世代に推奨したいのが、硬く重いという従来のイメージを覆す、非常にソフトなコーデュロイを用いたテーラードウェアです。上質素材と最新技術が可能にした素材であり、着たまま寝られてしまうほど柔軟で快適な着心地。くったりした表情でリラックス感もあり、家で寛いだり、いわゆるワンマイルウェアとして近隣に出かける際の装いにもうってつけです」
AKIRA SHIMADA
1963年東京都生まれ。雑誌『MEN’S CLUB』にて編集者としてキャリアをスタート。その後、雑誌『LEON』で編集長代理、『Esquire』でファッションディレクターを経て、2011年より小誌ファッションディレクターに就任。現在、Patrick CoxやHEADなど国内外のブランドのディレクターも務めている。