青の時代
クールで開放的なウエストコースト・ジャズの音色とフレーズに、耳元でささやくような歌声は少年のように脆(もろ)く儚(はかな)い。
チェット・ベイカーの音楽は青春の輝きを感じさせる。
自伝映画のタイトルがそうであるように『ブルーに生まれついて』いたのかもしれない。
だがそこに漂うのはハードな人生に向き合うビターな感傷だ。
そんな両面を併せ持つからこそブルーは男たちを惹きつけるのだろう。
イザイアのシアサッカースーツはその奥深い魅力が味わえる。
一般的なシアサッカーが白地にブルーやグレーのストライプなのに対し、ネイビーにブルーを合わせ、清涼感を損なわず、シックで落ち着いた大人の雰囲気を醸しだす。
映しだすのは西海岸とは異なる、地中海の煌(きら)めく光だ。
こんな青の時代なら決して悪くはない。