ENTERTAINMENT

2025.01.17

医療ドラマ、犯罪スリラー…2025年注目の韓国ドラマ

2025年の新作韓国ドラマから、ビジネスパーソンにとっても興味深い作品を紹介する。

Netflixシリーズ「イカゲーム」シーズン1:独占配信中、シーズン2:2024年12月26日(木)世界独占配信
Netflixシリーズ「イカゲーム」シーズン1:独占配信中、シーズン2:2024年12月26日(木)世界独占配信

医療ストライキの余波で延期。待望の新作も

179人が死亡した旅客機の事故を受け、例年より厳かな雰囲気のなかで新年を迎えた韓国。

その一方で、2024年12月26日より配信中の『イカゲーム』シーズン2が街中を賑わせており、劇中のゲームを体験できる期間限定のポップアップストアには若者たちや観光客の大行列ができていた。

2024年は「深刻な不況」と騒がれていた韓国ドラマ業界だが、それでも動画配信サービスによるオリジナルシリーズの制作は途切れることなく続いている。

なかでも注目すべきは、相変わらず圧倒的な支持を集めるNetflixと、近年、韓国ドラマの躍進が目覚ましいDisney+だ。ビジネスパーソンにとっても興味深いオリジナルシリーズが待ち受けている。

まず、Netflixでは2025年1月24日から配信される『トラウマコード』と『CASHERO(キャシャロ)』。

韓国では、大学医学部の入学定員を増員するという政府の計画(2024年2月1日に発表)に反発した研修医たちが、大規模な医療ストライキを起こしてから1年が過ぎようとしている。

その間、医療ストライキに対する国民の反感も高まり、「医師を美化しないで」という声が上がっていたため医療系ドラマの放送もオールストップしていた。

何本かの医療ドラマも制作がストップし状況をうかがっていたなか、初めて日の目を見ることになった医療ドラマが『トラウマコード』だ。

現役医師が執筆したウェブ小説を原作とし、主演は俳優チュ・ジフンが務める。戦地で活躍した経歴を持つ天才外科医が、赤字に苦しむ大学病院の「重症外傷チーム」を建て直していく姿を痛快に描く作品。

予告編からはコミカル要素が強いヒューマンドラマを感じさせるが、同作への世間の反応が今後の医療ドラマの制作を左右しそうだ。

また、人気ウェブ漫画を原作とした『CASHERO』は、マイホームの購入が夢である平凡な公務員が、ひょんなことで超能力を手にするという物語だ。

主人公の超能力は持ち合わせた現金の額と身体能力が比例するため、彼は安月給を叩いて人々を救う涙ぐましい影のヒーローになる。いかにもファンタジーだが、「お金=力」という現実的なアプローチで韓国の若者たちのリアルを描かれている。

Disney+からは、『トリガー ニュースの裏側』『ノックオフ』『パイン ならず者たち』『ハイパーナイフ 闇の天才外科医』などが配信を控えている。

2025年の韓国オリジナルシリーズの幕開けを飾る『トリガー ニュースの裏側』は、超型破りな調査報道チーム“トリガー”が凶悪事件の真相を大暴露し、事実で悪人たちをなぎ倒す痛快エンターテイメント。

カメラを武器にして闘う、報道ディレクターたちのハイパーリアルな世界が胸を熱くするだろう。

『トリガー ニュースの裏側』ディズニープラス スターで2025年1月より独占配信開始。
『トリガー ニュースの裏側』
ディズニープラス スターで2025年1月より独占配信開始。
© 2025 Disney and its related entities

『ノックオフ』も興味深い。

1997年、韓国が国際通貨基金(IMF)に緊急融資を受けたことで勤めていた大企業からリストラされ、違法のブランドコピービジネスに手を染める男の話を描く。

大金に目がくらみ墜落していく主人公を演じるのは、2024年に『涙の女王』で世界中をときめかせた俳優キム・スヒョン。前作のムードから一変し、泥沼の犯罪劇を繰り広げる彼のワイルドな演技が、2000年代初頭を舞台に繰り広げられる。

『ミセン-未生-』の原作者ユン・テホによる同名のウェブ漫画のドラマ化『パイン ならず者たち』も注目したい。

1970年代の韓国を舞台にする同作は、韓国沖で貴重な財宝が発見されたことを機に、ならず者たちがその財宝をめぐり、激しい奪い合いを繰り広げるクライム・アクション。

すべての登場人物が俗物であり、世間一般的にいう悪党という、原作者ユン・テホならではの緻密なストーリーと個性的なキャラクターたちに圧倒されること間違いなしだ。

2025年も韓国発のストーリーは世界を魅了するのだろうか。ヒットの行方に注目していきたい。

『パイン ならず者たち』
ディズニープラス スターで2025年独占配信開始。
© 2025 Disney and its related entities

■著者・李ハナ
韓国・釜山(プサン)で生まれ育ち、独学で日本語を勉強し現在に至る。『スポーツソウル日本版』の芸能班デスクなどを務め、2015年から日本語原稿で韓国エンタメの最新トレンドと底力を多数紹介。著書に『韓国ドラマで楽しくおぼえる! 役立つ韓国語読本』(共著作・双葉社)。

TEXT=李ハナ(ピッチコミュニケーションズ)

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