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ENTERTAINMENT

2022.10.17

DISH// (北村匠海) 「猫」 もブレイク! なぜ、THE FIRST TAKE はヒット曲を作りだせたのか?

2019年11月にチャンネルを開設後、DISH// (北村匠海) 「猫」、YOASOBI「夜に駆ける」、LiSA「紅蓮華」など数多くの心震えるパフォーマンス動画を配信する「THE FIRST TAKE」。熱狂的な人気を集めるまでに成長を遂げた理由を「THE FIRST TAKE」の運営スタッフとクリエイティブディレクターの清水恵介さんに訊いた。【特集 仕事に効くYouTube】

認知度が飛躍したきっかけはLiSA「紅蓮華」

約685万人、日本の人口の19人に1人が登録しているYouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」(2022年10月現在。以下・TFT)だが、初めから多くの視聴者を獲得したわけではない。

「スタートしたばかりの頃は当然視聴者の方にもTFTがなんなのかすらわかってもらえていませんから、毎週のキャスティングも大変で苦労しました。最初のブレイクポイントになったのは4組目の出演のアーティスト LiSAさん。2019年12月の『紅蓮華』をパフォーマンスしていただいた回です。MVとは違う、ピアノ演奏で歌うエモーショナルなアレンジということもあり、とても話題になりました。あの1週間で、登録者数が10万ほど増加。TFTの認知度が一気に上がりました」(運営スタッフ)

マイクの前に表れたLiSAはリップロールとストレッチでウォーミングアップをした。呼吸を整え、歌い始める。緊張が集中に変わっていくのがわかる。歌い終えると、全身の力が抜け、「エモい!」とピアニストに拍手を送り、「楽しい!」と笑顔がはじけた。

「LiSAさんはパフォーマンスの場を求めている大事なタイミングで出演してくださいました。僕たちの意図を十分に理解して歌ってくれて、理想的な出会いだった。あの回を観て、後に出演するアーティストたちが自分のパフォーマンスをイメージしてくれるようになりました」(清水さん)

アーティストのキャスティングはどのように行っているのだろうか。

「ストリーミングチャート、話題性を参考にすることはもちろんですが、まだヒットしていなくてもスタッフの誰かが強く推すアーティストがいれば、積極的に検討しています」(運営スタッフ)

つまり“兆し”をキャッチすることを心がけている。

「バンド、DISH//のリーダーで俳優の北村匠海さんにはとても可能性を感じました。2020年10月に出演した際に歌唱してくださった『猫』は、じわじわとストリーミングリスナーが増えていたんです。作詞・作曲は、あいみょんさんでしたね」(運営スタッフ)

表情をかすかにこわばらせてマイクの前に立った北村は、「震えてます」と打ち明けて歌い始める。「猫」は、もともとは「僕がやりました」のカップリングで、目立たない曲だった。それでも楽曲の持つポテンシャルや北村の新鮮さが話題となり、TFTでの再生回数は1億8000万回を超えた。この曲はテレビ東京でドラマ化もされている。

TFTの認知度はどんどん高まり、お笑い芸人のかまいたちがパロディで、同じシチュエーションでネタを披露したり、英会話学校のCMでゆりやんレトリィバァが歌ったりする。

もちろんTFTに臨むアーティストの本気度も高まった。2021年1月に登場したJUJUの「やさしさで溢れるように」の演奏は、オリジナルレコーディングのプロデューサー、亀田誠治がエモーショナルなベースを弾いている。亀田は学生時代からの愛器、フェンダーの1966年製のジャズベースを持参した。今も1曲勝負のときに弾いている、亀田と一体化しているベースギターだ。ピアノもオリジナルレコーディングと同じ斎藤有太。

こうしてTFTは次々とポテンシャルを発揮している。コロナ禍で不要不急の外出が制限されていた2020年にはアーティストの自宅に機材を届けて「THE HOME TAKE」を収録。YOASOBIのikuraが歌う「夜に駆ける」の再生回数は約1億3000万回に上った。複数のアーティストが参加する「THE FIRST TAKE FES」も2020年と2021年に計3回、YouTubeで開催した。

「さまざまな企画を検討していますが、今後は海外に積極的に展開したいと話し合っています。海外のリスナーを増やしていきたいです」(運営スタッフ)

広い方向へも、狭い方向へも攻めていく。

収録は高レベルの機材を使用し、そしてシンガーにとって最良のミュージシャンたちが演奏を行う。多くの場合、少人数の編成。楽器の音数が少ないと、ヴォーカルがはっきりと聴こえて、歌詞の世界観がしっかりと伝わってくる。

「視聴者の方々に言葉がきちんと届くことはとても大切に考えています。2022年の4月にちゃんみなさんが『美人』をパフォーマンスしてくれた際に、この曲に対しても、彼女に対しても、僕はがらりと印象が変わりました。歌詞がくっきりと心に入ってきて、メッセージが明確に伝わってきた。彼女の率直で飾らないMCに心を打たれました」(清水さん)

ちゃんみなは歌唱前、自分の容姿を批判されたこと、その時期に「美人」を書いたことを打ち明けている。

「自分の負の体験やコンプレックスを堂々と話す姿はとてもかっこいいと教えられました。多くの人にポジティブな影響を与えたと思います」(清水さん)

「主観ですが、普遍性のある曲が共通して持つ魅力は“時代を捉えた歌詞”だと感じています。多くの人の心に刺さる言葉を持ち、リフレインされる楽曲が受け入れられているのではないでしょうか。感情を素直に言葉にしている作品がTFTでも受け入れられている気がします」(運営スタッフ)

高いクオリティの音響と映像によって、YouTubeでありながら、実はアナログの言葉もきちんと伝わっているのも、多くの視聴者を惹きつけるTFTの魅力となっていた。

THE FIRST TAKE 再生数トップ3

1. DISH// (北村匠海) – 猫(約1.8億回)

2. YOASOBI – 夜に駆ける(約1.3億回)

3. LiSA – 紅蓮華(約1.2億回)

Keisuke Shimizu
1980年生まれ。ノンバーバルなデザインを得意とし、UNIQLO、Netflix Japan、SHISEIDO、UNITED ARROWS、NISSAN、AIG、MUJIなど、数多くのキャンペーンやブランディングを手がける。’19年にYouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」を立ち上げ、企画・クリエイティブディレクション・アートディレクション・映像監督を担当。Campaign誌クリエイティブパーソンオブザイヤー’19、クリエイターオブザイヤー’18メダリスト、カンヌ金賞、NYADCグランプリ、ACCグランプリなど受賞多数。

■LiSA、奥田民生、Def Tech etc. THE FIRST TAKEが圧巻のパフォーマンスを生み出す理由

【特集 仕事に効くYouTube】

TEXT=神舘和典

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