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ENTERTAINMENT

2022.10.16

LiSA、奥田民生、Def Tech etc. THE FIRST TAKEが圧巻のパフォーマンスを生み出す理由

2019年11月にチャンネルを開設後、DISH// (北村匠海) 「猫」、YOASOBI「夜に駆ける」、LiSA「紅蓮華」など数多くの心震えるパフォーマンス動画を配信する「THE FIRST TAKE」。多くの視聴者の心に刺さる動画の数々はどうやって生まれてくるのだろうか。「THE FIRST TAKE」の運営スタッフとクリエイティブディレクターの清水恵介さんに訊いた。【特集 仕事に効くYouTube】

THE FIRST TAKE

郷ひろみ、MISIA、YOASOBIなどレジェンドから若手まで出演

「ONE TAKE ONLY. ONE LIFE ONLY. 一発撮りで音楽と向き合う。」

2019年11月にスタートした登録者数約685万人(2022年10月現在)の音楽YouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」(以下・TFT)のキャッチコピーだ。

トップページにはこうも書かれている。

「白いスタジオに置かれた、一本のマイク。ここでのルールは、ただ一つ。一発撮りのパフォーマンスをすること。それ以外は、何をしてもいい。一度きりのテイクで、何をみせてくれるだろうか。」

チャンネルを開くと、郷ひろみ、布袋寅泰、藤井フミヤ、奥田民生、秦基博、鈴木雅之、中島美嘉、JUJU、MISIA、SixTONES、乃木坂46、LiSA、YOASOBIなど、レジェンドから若い世代までさまざまなアーティストの緊張感あるパフォーマンスを試聴できる。

そんな、数々のビッグネームが登場し、日本の人口の19人に1人が登録しているTFTの魅力とはなんだろうか。

「TFTを始める半年くらい前に、クリエイティブディレクターの清水恵介さんに内容について相談しました。まずはMVとは異なる音楽コンテンツを作りたいという方向性を共有し、その後、演出について、カラオケで歌唱をするか生演奏で歌唱をするかの議論になりました。他のコンテンツとの差別化をはかる意味でも、敢えて生演奏でやりたいという思いを共有し、何度もミーティングを重ねて、現在のTFTの輪郭が見えてきました」(運営スタッフ)

さらに、一発撮りが検討された。コンサートでも、レコーディングでも、最初の演奏だけが持つ緊張がある。たとえばコンサートツアーの初日の会場は特別な空気になる。自分はうまくやれるだろうか。客席は満足するだろうか。アーティストのそんな不安がパフォーマンスを特別なものにする。緊張で本人の想像を超えたステージが展開するかもしれない。逆に、緊張で委縮するかもしれない。どちらに転ぶか――。紙一重だ。ほとんどの場合、自分ではコントロールできない。

TFTは、アーティスト自身が想像していない、自分の知らない自分と出会える、新鮮になれる“装置”といえるかもしれない。

「僕は、これまでデザイナーとしてずっと仕事をしてきたので、アートディレクション視点でチャンネルを考えていきました。背景はいろいろな案がありましたが、もっとも潔く、もっともアーティストのありのままを映し出すという理由で白を選んでいます。シンプルな白背景での撮影は、本当に奥が深いんです。TFTは動画ですが、後世に残っていく肖像画のようにしたかった。アーティストの本気度も、力量も、緊張も、不安も全部を描き出す画をイメージしました。最初は『PORTRAIT』というタイトルも検討していたんです。カメラマンも映像系の方ではなく、スティールがメインでファッションや広告の撮影を数多く手がけている長山一樹さんにお願いしました。白背景で定点カメラ撮影という同じ条件でアーティストを撮影することで、タイポロジー(類型学)写真のようなコンセプチュアルなコンテンツをイメージしました」(清水さん)

第1回出演アーティストはadieu。女優でモデルの上白石萌歌だ。彼女がシンガーとして活動するときのアーティスト名が“さよなら”という意味のフランス語、adieu。彼女はデビューシングルの「ナラタージュ」を歌った。

THE FIRST TAKE

「RADWIMPSの野田洋次郎さんが作詞・作曲を手掛けた曲です。当時はまだadieuとしては顔出しをしていなかった時期で、話題性もあり、まだ無味無臭な存在であることが1人目のアーティストにふさわしいと感じました。とても新鮮なパフォーマンスをしてくれています」(運営スタッフ)

カメラの前のadieuは明らかに緊張している。導入部の歌詞をくちずさみ、マイクの前をうろうろする。レンズは見ない。「お願いします」――本人の合図で演奏が始まる。まぶたを閉じて歌唱に集中する。たとえは不適切かもしれないが、視聴者は彼女の部屋をのぞき見しているようだ。

「横顔にしたことにはさまざまな理由があります。人の顔は、正面からだと情報が多過ぎて、直視するとつらくなってくるんですよ。それに、目線が合うとドキッとしてしまう。でも、横顔ならじっと観察するように見ていられます。結果的に、アーティストのパフォーマンスに没入できるんです」(清水さん)

マイクに向かって集中しているアーティストを、視聴者は心理的に優位な位置から眺めることができる。

緊張状態を見せるのは若いアーティストに限らない。さんざん場数を踏んできたはずの郷ひろみは、歌う前に何度か大きく息を吸い込む。

このようにベテランも若いアーティストも追い詰められる。その姿がかっこいい。闘っていることがリアルに伝わってくるからだ。

「アーティストはたぶん、多少のリスクをとってでも、新鮮でありたいのだと思います」(清水さん)

キャリアを重ねてもなお、新しいプラットホームに挑み、新しい自分に出会おうとする姿には、どうしようもなく魅了されてしまう。そういう環境をつくっているのがTFTという装置なのだ。

Keisuke Shimizu
1980年生まれ。ノンバーバルなデザインを得意とし、UNIQLO、Netflix Japan、SHISEIDO、UNITED ARROWS、NISSAN、AIG、MUJIなど、数多くのキャンペーンやブランディングを手がける。’19年にYouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」を立ち上げ、企画・クリエイティブディレクション・アートディレクション・映像監督を担当。Campaign誌クリエイティブパーソンオブザイヤー’19、クリエイターオブザイヤー’18メダリスト、カンヌ金賞、NYADCグランプリ、ACCグランプリなど受賞多数。

■DISH// (北村匠海) 「猫」 もブレイク! なぜ、THE FIRST TAKE はヒット曲を作り出せたのか?(10/17公開予定)

【特集 仕事に効くYouTube】

TEXT=神舘和典

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