ENTERTAINMENT

2022.08.12

ドリカム、SKY-HI、藤井フミヤetc.音楽P亀田誠治だけが知るそのスゴさとは

2022年6月3日(金)、4日(土)、5日(日)の3日間、緑豊かな日比谷公園と公園周辺の施設で「日比谷音楽祭2022」が開催された。そのテーマは「ボーダーレス」。無料で親子孫3世代が、あらゆるジャンルの音楽を楽しめる。出演者もボーダーレス、観客もボーダーレス。そんな日比谷音楽祭に出演したアーティストの魅力を実行委員長・亀田誠治が語ったインタビューをまとめてプレイバック。※2022年5〜6月掲載記事を再編。

Seiji Kameda

1.【ドリカム】唯一無二の存在。野外フェスにおけるプロ中のプロ

DREAMS COME TRUE

「ドリカムは、どの世代のリスナーでも親しんでいる曲があるはずです。しかも何曲も。誰もが楽しめるステージになると思いますよ。それこそ親子孫三世代のボーダーレスをうたう日比谷音楽祭にふさわしいアーティストですね。彼らは4年に1度のドリカム・ワンダーランド(史上最強の移動遊園地 DREAMS COME TRUE WONDERLAND)を8ツアーも成功させてきました。野外フェスにおいてもパイオニアでありプロ中のプロです」

亀田が思う、ミュージシャンとしてのドリカムのすごさとは──。

「吉田美和さんは、ブラックミュージックを昇華したヴォーカルスタイルをポップフィールドで披露し、ミリオンヒットを多発した日本人で初めての女性ヴォーカリストです。ジャズやクロスオーヴァーのフィールドでは、ブラックミュージックをきちんと理解して歌ってきたリスペクトすべき先輩シンガーもいたと思います。ドリカムのすごさはポップシーンで活躍し続けているということ。そして、国民的ヒットグループだということです」

ドリカムの中村正人は、ベースギターを本職とする音楽プロデューサー。同じベーシストである亀田に近いスタンスでもある。

「マサさんは僕よりももっと広く深い音楽の景色を見ていると思います。吉田美和という唯一無二のヴォーカリストと出会って、彼女の魅力を日本中の人に伝えるという役割に誠実に向き合っていらした。音楽そのものだけでなく、経営的な手腕も発揮されてきた。マサさんのことを僕は“プロデューサーのなかのプロデューサー”だと思っています。心からリスペクトしています」

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2.【SKY-HI】天性のリズム感の持ち主で、ひと言ひと言の切れ味が鋭い

SKY-HI

「彼はアーティストであると同時に、今やエンタテインメント界のパイオニア的存在でもあります。2021年には、自ら多額のお金を投資してボーイズグループを発掘するオーディション、THE FIRSTを開催しました。そこから生まれたBE:FIRSTをプロデュースするなど、今までほかの誰もやらなかったことを実現しています。そのエネルギーを音楽に込めて、野音のオーディエンスや配信で観る人たちに届けてほしいですね」

亀田によると、ラッパーとしてのSKY-HIの魅力は中音域にある。

「つまり、声の通りが素晴らしい。高速ラップもものともせず対応します。すごく速い言葉の連打を一糸乱れず届けます。また、彼は天性のリズム感の持ち主です。かつてドラマーでもあっただけあって、リズム感が見事。だからラップでも、ひと言ひと言の切れ味が鋭い。スキルが高く、ハートが熱いので、どんな音楽ともコラボレーションできます。

自前のトラックでないと歌えなかったり、DJとでなくては歌えなかったりというラッパーもいますが、SKY-HIさんはオールマイティです。即興もハイレベルで、かつて別のフェスのステージで彼のラップと僕が弾くベースで対決したことがあります。どんなアプローチにも対応してきました。フリースタイルのラップも、彼は天下一品です」

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3.【MIYAVI】ギターの1音1音に彼の生き様が感じられる

MIYAVI

「2022年にデビュー20周年を迎えたMIYAVIとは、東日本大震災の翌年、2012年からの付き合いです。彼がリリースしたアルバム『SAMURAI SESSIONS vol.1』にプロデューサーとしてかかわりました。あのアルバムでは、KREVAとともに『STRONG』という震災の傷から立ち上がっていく人々の背中を押す曲をつくりました。

ミュージシャンとしてのMIYAVIは、高速スラップギターのスタイルが抜群にカッコいい。でも、彼のフィールドは音楽にとどまりません。常に世界に目を向け、さまざまな活動を行っています。それらが彼のミュージシャンとしてのアイデンティティも作り上げてきました。たとえば、国連の難民の問題とも常に向き合っています」

2014年、MIYAVIは女優で映画プロデューサーのアンジェリーナ・ジョリーが自らメガホンをとり第二次世界大戦中の捕虜収容所を描いた映画『不屈の男 アンブロークン』に、捕虜収容所の所長役で出演している。その撮影中、世界中で人道支援活動を行うアンジェリーナから難民の子どもたちの苦しみやUNHCRの活動について知らされた。それをきっかけに各国の難民キャンプを視察し、支援活動を行ってきた。そして2017年、日本人で初めてUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の親善大使に任命されたのだ。

「音楽の力で世界に愛と平和を届けたい──。MIYAVIは本気で向き合っています。だからエッジの効いた唯一無二のギターの音にも、彼の生き様が感じられます」

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4.【藤井フミヤ】フラットでオープン。でも気さくすぎない感じが好き

藤井フミヤ

「国民的なヒット曲をいくつもお持ちの大ベテランです。“ボーダーレス”をテーマに3世代に楽しんでもらいたい日比谷音楽祭にふさわしいアーティストだと思っています。フミヤさんは、いつお目にかかってもフラットで穏やかに接してくださる。とてもオープンで、でも気さくすぎない、あの感じが僕は大好きです」

今回のステージでも、アレンジも、演奏も、もちろんバンドメンバーも、亀田はかなりのことを任せられた。

「亀田さんがやりたい曲、やりたいアレンジでいいよ」

そう言って委ねられたという。

「フミヤさんからは細かいリクエストはありませんでした。スケジュール調整のような現実的なことさえクリアすれば、音楽的に良いものか、オーディエンスや配信のリスナーが喜んでくれるか、といった本質的なやり取りだけで本番を迎えられます。

フミヤさんは長いキャリアのなかで、エンタテインメントを知り尽くしています。みんながどの曲を聴きたいのか──。よく理解した上で歌ってくれます。今回のフミヤさんのステージは、ファンの皆さんは感激して泣いちゃうと思いますよ。2022年に、この曲を、このアレンジで、この演奏で、このコラボで聴けるのか、と。楽しみにしていてください」

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5.【石川さゆり】艶やかな色気と真逆の少年性を兼ね備えている

石川さゆり

レジェンド、石川さゆりは1973年にデビュー。2023年に50周年を迎える。「津軽海峡・冬景色」「天城越え」などいくつもの大ヒット曲を歌ってきた。日比谷音楽祭には、2019年開催の第1回に出演。ギタリストの布袋寅泰とともにステージに上がり、「天城越え」と「ソーラン節」を披露。そのロックスピリッツに客席は驚愕した。

「さゆりさんの作品は、2018年に『花が咲いている』という曲で、プロデューサーとしてかかわらせていただきました。作詞・作曲はいきものがかりの水野良樹さんです。それから毎年2曲くらい、ご一緒しています。艶やかな色気と、真逆の少年性を兼ね備えたところがとても魅力的です。音楽制作の過程では、少年っぽい素顔で、さまざまなアイデアを提供してくださいます」

布袋との共演が象徴する通り、世代を超えた、ジャンルを超えたアプローチにも積極的だ。

「僕を介してさまざまなアーティストとつながって頂けたらと思います」

2021年の大晦日、第72回NHK紅白歌合戦では、KREVAとMIYAVIとともに「火事と喧嘩は江戸の華」も披露した。

「あの曲は、さゆりさんとKREVAと僕の共作です。紅白の舞台での、さゆりさんとKREVAとMIYAVIが並んだパフォーマンスは圧巻でした。KREVAとMIYAVIについては、この人たちは誰? と驚かれたご年配の視聴者がたくさんいたはず。まさしく、日比谷音楽祭が提唱するボーダーレスの音楽です。とても誇らしく感じました」

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6.【KREVA】音楽的な視野が広く、音楽を俯瞰する能力に秀でている

KREVA

「KREVAは音楽的な視野がとても広いアーティストです。作品全体やアンサンブルなど、音楽を俯瞰する能力に秀でています。作品の川上から川下まで、すべてが見渡せているんですよ。だから、判断はいつも的確。ボーカリストとしてのレベルも高い。だから、あらゆる系統のアーティストとコラボレーションすることができます」

“ボーダーレス”をテーマに掲げる日比谷音楽祭にふさわしいアーティストといっていいだろう。

「KREVAは常に柔軟で“カメさん、ここはラップではなく、歌ったほうがリスナーはハッピーになると思う”などとクリエイティブな提案をしてくれます。

だからこそ、演歌のフィールドの石川さゆりさんとも、切れ味鋭いスラップ奏法のギタリストのMIYAVIともコラボできます。2012年に『SAMURAI SESSIONS vol.1』で初めてMIYAVIと組んだ時も、迷うことなくKREVAに声をかけました。2021年の『火事と喧嘩は江戸の華』では、さゆりさんとMIYAVIと見事なコラボレーションを聴かせてくれました。KREVAとならば、いつも、僕がイメージする音楽をはるかに超えた仕上がりになります」

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Seiji Kameda
1964年生まれ。音楽プロデューサー・ベーシスト。これまでに数多くのミュージシャンのプロデュース、アレンジを手がける。2004年に椎名林檎らと東京事変を結成し、ベーシストとして参加(’12年に解散、’20年に再生を発表)。’09年、自身初の主催イベント“亀の恩返し”を日本武道館にて開催。’21年には映画「糸」にて日本アカデミー賞優秀音楽賞を受賞。’19年より「日比谷音楽祭」の実行委員長を務める。

TEXT=神舘和典

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