東京が初夏を迎える2022年6月3日(金)、4日(土)、5日(日)の3日間、緑豊かな日比谷公園と公園周辺の施設で「日比谷音楽祭2022」が開催される。テーマは「ボーダーレス」。無料で親子孫3世代が、あらゆるジャンルの音楽を楽しめる。出演者もボーダーレス、観客もボーダーレス、そんなイベントが日比谷音楽祭だ。【連載 日比谷音楽祭がすごい】
音楽を通して世界に愛と平和を届けるMIYAVI
「日比谷音楽祭2022」には、ワールドワイドに活躍するギタリスト、MIYAVIも参加する。MIYAVIは、エレキギターを指で弾くオリジナリティが際立つスラップ奏法が脚光を浴び、これまで約30ヵ国380公演でパフォーマンスを行ってきた。2022年の日比谷音楽祭は6月3日(金)、4日(土)、5日(日)の3日間にわたって開催されるが、野音(日比谷野外音楽堂)のステージにMIYAVIが登場するのは4日夜の「Hibiya Dream Session 2」の予定。
「2022年にデビュー20周年を迎えたMIYAVIとは、東日本大震災の翌年、2012年からの付き合いです。彼がリリースしたアルバム『SAMURAI SESSIONS vol.1』にプロデューサーとしてかかわりました。あのアルバムでは、KREVAとともに『STRONG』という震災の傷から立ち上がっていく人々の背中を押す曲をつくりました。
ミュージシャンとしてのMIYAVIは、高速スラップギターのスタイルが抜群にカッコいい。でも、彼のフィールドは音楽にとどまりません。常に世界に目を向け、さまざまな活動を行っています。それらが彼のミュージシャンとしてのアイデンティティも作り上げてきました。たとえば、国連の難民の問題とも常に向き合っています」(日比谷音楽祭実行委員長・亀田誠治・以下同)
2014年、MIYAVIは女優で映画プロデューサーのアンジェリーナ・ジョリーが自らメガホンをとり第二次世界大戦中の捕虜収容所を描いた映画『不屈の男 アンブロークン』に、捕虜収容所の所長役で出演している。その撮影中、世界中で人道支援活動を行うアンジェリーナから難民の子どもたちの苦しみやUNHCRの活動について知らされた。それをきっかけに各国の難民キャンプを視察し、支援活動を行ってきた。そして2017年、日本人で初めてUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の親善大使に任命されたのだ。
「音楽の力で世界に愛と平和を届けたい──。MIYAVIは本気で向き合っています。だからエッジの効いた唯一無二のギターの音にも、彼の生き様が感じられます」
思いがMIYAVIのギターの1音1音に込められているのだ。
「ルックスはクールでおしゃれなダンディですが、心の中は熱い。人間的に圧倒的です。アーティストとしてもタフに活動し続けています。ドラマーのboboとともに、アメリカやヨーロッパの小さな町から町へと、夜行バスで移動してパフォーマンスを行ってきました。そうした歩みの積み重ねが確実に今のMIYAVIの音に込められています。
彼のスピリットを日比谷音楽祭のステージでも炸裂させてほしい。MIYAVIは“サムライ・ギタリスト”。板前さんが包丁一本で生きるように、彼のギターには魂が込められています。音楽においても、人としても、彼から学ぶことは多い。MIYAVIも、MIYAVIの音楽も心から愛しています」
【藤井フミヤ】「フラットでオープン。でも気さくすぎない感じが好き」亀田誠治
Seiji Kameda
1964年生まれ。音楽プロデューサー・ベーシスト。これまでに数多くのミュージシャンのプロデュース、アレンジを手がける。2004年に椎名林檎らと東京事変を結成し、ベーシストとして参加(’12年に解散、’20年に再生を発表)。’09年、自身初の主催イベント“亀の恩返し”を日本武道館にて開催。’07年の第49回、’15年の第57回日本レコード大賞にて編曲賞を受賞。’21年には映画「糸」にて日本アカデミー賞優秀音楽賞を受賞。’19年より「日比谷音楽祭」の実行委員長を務める。