すでに日本では2024年2月に発表されている「アルトゥーラ スパイダー」は軽量化の極致を追求する。1500kg未満の重量で605馬力のエンジンと700馬力の総出力を実現し、MCLA(マクラーレン・カーボン・ライトウェイト・アーキテクチャー)による剛性と軽量性が優れたハンドリングと安全性を約束。今回、本誌編集長・池上雄太が魅惑の次世代スーパーカーの国際試乗会に参加すべく、フランス・ニースへ飛んだ。
軽量化がもたらすラグジュアリーなクルマ
「軽さはただの数値ではなく、『アルトゥーラ スパイダー』が追求する最高のラグジュアリーである」ことを体感した、フランス・ニースでの国際試乗会。僕はモナコを見下ろすホテルから、フレンチ・リヴィエラの背後にあるオートルートを含む山間部と高速道路を走った。
軽量化は常に技術革新の象徴だった。古代ローマの戦車から現代のスポーツカーまで、軽量は速さと優雅さの同義語。知的な男性にとって、軽量は単なる物理的特性ではなく、効率と洗練さの追求を意味する。それは、持ち運びやすさという利便性だけでなく、選択の自由と動きやすさをもたらすライフスタイルであり、本質を見極めることができる知性の証しだ。
「アルトゥーラ スパイダー」は軽量という贅沢をより追求することで、ハイブリッド技術の進化と結びつき、加速性能の向上、燃費の効率化、環境配慮、そして操縦性の向上という形で、ドライバーに直接的な恩恵をもたらす。そして、軽量がもたらす無限の可能性を、その流麗なフォルムで語りかけてきた。
要約するとそのハイライトはふたつ
ひとつは重量だ。
1457kgの乾燥重量は、ハイブリッド・スーパーカーとしては画期的な軽さを実現しており、これによりスパイダーモデルでありながらも、クーペに匹敵するパフォーマンスを発揮。新開発のMCLA(マクラーレン・カーボン・ライトウェイト・アーキテクチャー)は、従来モデルより10%も軽量化されており、これが軽快な動きを支えているのだろう。しかし軽量化の追求は、単なる機能的な利点に留まらない。それは、エレガンスとパフォーマンスの間の完璧なバランスを実現するためのもの。アルトゥーラ スパイダーの流麗なラインは、風を切るたびにその軽さを証明し、スピードと美しさが一体となった瞬間を創出してくれる。
そして、もうひとつがハイブリッド技術。
「アルトゥーラ スパイダー」は、ハイブリッド技術のパイオニアであるマクラーレンが、過去10年間にわたって培ってきた知識と技術を集大成したモデルだ。その心臓部には605馬力を発揮するエンジンが搭載され、統合出力は700馬力に達する。狭い山道とオートルートでは、3L V6気筒DOHCツインターボとEモーターの組み合わせで、モーターのみでの静かなる走行、そして走行モードを切り替えれば瞬時に迫力あるエンジンサウンドともに溢れだすパワーを味わった。リッターあたり200馬力を超えるこのエンジンは、マクラーレンの技術の粋を集めた高効率な力の源なのだ。
最終的に、「アルトゥーラ スパイダー」の軽量化は、単なる技術的な進歩を超えたクルマだと思うにいたった。それは、ラグジュアリーの新しいカタチを創造し、ドライビングの喜びを再定義し、マクラーレンの未来への道を照らすもの。軽量がもたらす無限の可能性を流麗なフォルムで語りかける「アルトゥーラ スパイダー」は、まさに軽量という贅沢を知る者にのみ、その真価を理解してもらえるスーパーカーだ。
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