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2023.01.16

【試乗】ベントレー史上最も効率のよいクルマ「フライングスパー・ハイブリッド」

ベントレーのフラッグシップサルーンである「フライングスパー」のハイブリッドモデルがいよいよ日本に導入される。今回は、ベントレーが目指すサステナブルな未来を体現したモデル「フライングスパー・ハイブリッド」をご紹介。連載「NAVIGOETHE」とは……

ベントレー「フライングスパー・ハイブリッド」正面

ベントレーのラインナップにおけるフラッグシップサルーンが、フライングスパー。4ℓV8、6ℓW12という2種のエンジンに加えて、プラグインハイブリッド仕様が導入された。ベントレーの歴史において、最も効率のよいクルマだと認められたフライングスパー・ハイブリッドは、このブランドが目指すサステナブルな未来を体現したモデルである。¥25,170,000〜

正統派“クラシックスーツ”を纏ったブリティッシュサルーン

世界中でベントレーが売れている。2021年のグローバルの販売台数は対前年比プラス31%の1万4659台で、これまでの最高益の2倍以上となる3億8900万ユーロの営業利益を記録した。

好調の理由としては、2ドアクーペのコンチネンタル、4ドアサルーンのフライングスパー、そしてSUVのベンテイガという3本柱の商品構成が明快だったことがあげられるだろう。なかでもベンテイガのハイブリッド仕様が好調だったことも大きい。つまり、これだけの価格帯のクルマを買う人にとって、サステナブルであることは購入動機に直結するのだろう。

そして旗艦サルーンであるフライングスパーのハイブリッドモデルも、いよいよ日本に導入される運びとなった。外部電源から充電できるプラグインハイブリッド(PHEV)で、満充電であれば約40kmはモーターだけで走るEV走行が可能となる。

ベントレー「フライングスパー・ハイブリッド」充電システム

モーターを駆動するリチウムイオン電池は、充電システムによって多少の差はあるものの、2時間半程度でフル充電に。

フライングスパー・ハイブリッドに乗って感じたのは、モーターとリチウムイオン電池による電動化は省燃費にも貢献するけれど、同時に車内の高級感がグッと上がるということだった。

運転席に座ると、最新のデジタル技術と、伝統のクラフツマンシップが見事に融合したインテリアに囲まれる。タッチスクリーンで目的地から車両のセッティングまで素早く設定できるインターフェイスは、テクノロジーに通じた現代のエグゼクティブにハマるはずだ。一方で、ハンドクラフトによる木目やステッチの美しさと繊細さはアートの趣。この両極がとけ合い、見たことのない上質な世界観を表現している。

ベントレー「フライングスパー・ハイブリッド」内装

熟練の職人技で仕立てられたインテリアはモダンで快適。シートレザーは5色から選択可能で、有償カラーを指定するとさらに10色が追加される。

システムを起動すると、デフォルトで「EVドライブモード」が選択され、音もなく、無振動で、しかも滑らかに動き始める。ある程度まで回転を上げないと力を発揮しない内燃機関と異なり、モーターは電流がピュッと流れた瞬間に最大の力が発生するから、発進加速は見せ場なのだ。

加速を続けると、ある時点から2.9ℓのV型6気筒ツインターボエンジンが加勢する。といっても、エンジンが始動する音やショックはほとんど感じられない。エンジンが苦手とする低回転域ではモーターが主役、モーターが苦手とする高速巡航ではモーターが脇役。主役と脇役が、シームレスに交代する。

ベントレー「フライングスパー・ハイブリッド」タッチスクリーン

EV走行を優先する「EVドライブモード」、EV走行とエンジン走行を効率よく組み合わせる「ハイブリッドモード」、バッテリーの充電量を維持するように作動する「ホールドモード」の3つを選べる。

こうして走らせていると室内は驚くほど静かで、エアサスの懐の深い快適な乗り心地とあいまって、思わず「極楽、極楽」という言葉が口をつく。

また、ワインディングロードを楽しむようなキャラではないことは百も承知であるけれど、そうした乗り方をしても楽しい。というのも、前述したようなモーターの電光石火のレスポンスがあるから、コーナーからの脱出時のピックアップが鋭いのだ。

高級感をさらに引き上げるハイブリッドという選択肢

ベントレーというブランドが、自動車の黎明期にサーキットを席巻して名を揚げたという歴史が思い起こされる。フライングスパーのスパーとは、乗馬靴の踵(かかと)につける歯車を意味するから、車名を直訳すると「空飛ぶ乗馬靴」といったところか。このクルマはまさに、天空を駆けるペガサスのように自由に、優雅に走る。モーターは、省エネに効き、ラグジュアリーに効き、しかもファン・トゥ・ドライブにも効く。

ベントレー「フライングスパー・ハイブリッド」の走行

2020年、ベントレーはサステナブルなラグジュアリー モビリティ ブランドへの転換へ向けたロードマップである「ビヨンド100」戦略を発表。完全に電動化すると宣言した。

試乗を続けるにつれ、このクルマの真骨頂が、ハイブリッドモードにあるように思えてくる。このモードでナビゲーションシステムに目的地を入力すると、走行ルートを読みながら、最適なエネルギー配分をしてくれるのだ。例えば、目的地が都市部であれば、そこでEV走行ができるように、電力を蓄えようとするのだ。まさに高い知性を備えたペガサスのような乗り物で、頼りになる長旅の相棒になってくれる。

ドライブ後、頭に浮かんだのは、「ノーブレス・オブリージュ」という言葉だった。この言葉どおり、身分の高い人には果たすべき社会的責任があるけれど、我慢ばかりするのはしんどい。ベントレーが支持されている理由は、サステナブルであることとラグジュアリーであることという、一見すると対極にあるコンセプトを両立したからだろう。

フライングスパーを眺めながら、改めてよい佇まいだとしみじみと感じる。オーセンティックなサルーンは、ジャケパンが増えた丸の内で見かける、まるでクラシックなスーツのような趣がある。

ベントレー「フライングスパー・ハイブリッド」後ろ姿
<SPEC>
ボディサイズ:全長5316×全幅1990×全高1483㎜
ホイールベース:3194㎜
車重:2505kg
駆動方式:AWD
エンジン:V型6気筒ツインターボ+モーター
トランスミッション:8段AT
システム最高出力:544ps
システム最大トルク:750Nm

問い合わせ
Bentley Call TEL:0120-97-7797

■連載「NAVIGOETHE」とは……
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TEXT=サトータケシ

PHOTOGRAPH=隈田一郎(K Graphics Inc.)

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