春爛漫の季節を思う存分満喫する方法としてドライブは最適だ。そんなドライブをともにしたいクルマを本誌連載「NAVIGOETHE」より紹介する。※GOETHE2021年12月号、2022年2月号、4月号掲載記事を再編
ボローニャの“軌跡”が紡ぐハイブリッド第1弾
マセラティ初のハイブリッド車、ギブリ ハイブリッドに乗る興奮は、ただ速くて格好のいい高級車に乗ることだけではない。このクルマに乗ることは、“マセラティ物語”の登場人物のひとりになるということ。実際、マセラティオーナーの人生は、波瀾万丈、紆余曲折、「降る日もあれば照る日もあるさ」という、このブランドのヘリテージやイタリアの文化と親和性の高い風流な方が多い。
起業家やエグゼクティブの多くは、これまでのマセラティ物語を知れば、まるで自分自身の人生であるかのように感情移入するのではないかと想像する。もしイタリアの国営放送に大河ドラマがあったらマセラティを題材にするはずだ。タイトルは『ボローニャの軌跡』でどうだろうか。ちょっとダサいか……。
ドラマの最初の山場は第二次大戦直前だ。マセラティ家の3兄弟が始めた家族経営のレーシングチームは、イタリアの国威発揚のために国家がサポートするドイツ勢と戦う。このあたりは、『下町ロケット』的な展開だ。
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ラグジュアリーの頂点を極めるキャデラック エスカレード
クルマについてよく使う表現に、「このクルマは長距離を乗っても疲れない」というものがある。けれども、キャデラックの新型エスカレードは違う。長距離でも長時間でも、乗れば乗るほど身も心も癒やされるのだ。言ってみれば、“走る温泉”だ。いや、キャデラックのフラッグシップということは、アメリカの最高級車だから、“走るジャグジー”のほうがふさわしいかもしれない。いずれにせよ、左ハンドルを握ってクルマを走らせていると、日々の雑事を忘れ、心が潤(うるお)うように感じる。
“心が潤う要因”その1は、インテリアの設(しつら)えのよさだ。今も昔もキャデラックのポリシーは、本物の素材しか使わないということ。天然の木材と繊細な手触りのセミアニリンレザーを組み合わせたエスカレードの内装に囲まれていると、満ち足りた気分になる。
面白いのはレザーやウッドが、最新のインターフェイスと融合していること。中央のメーターパネルの両脇にはタッチスクリーンが配置され、運転支援装置やスマホとの連携、夜間に歩行者を発見するナイトビジョンなど、先進的な機能を直感で操作できる。例えばPCのキーボードを打ちながらタブレットでLINEの返事をするような、イマっぽい構成だ。
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偉大なEタイプの血脈を継ぐ、ジャガー最後のガソリンスポーツカー「JAGUAR F-TYPE R COUPÉ」
英国紳士とはどんな人か? 優雅な身のこなしの穏かな人物を想像しがちだけれど、ジェントリーの祖先の多くは中世の騎士だったという。つまり相手に一杯食わせて溜飲を下げるファイターの末裔が英国紳士で、日本だったら公家よりも武士に近いイメージ。そして、決闘はよくありません、節度をわきまえて闘いましょうという時代になり、ケンブリッジやオックスフォードの学生とOBが中心となって、ラグビーやボクシング、ボートなどのスポーツを今の形に整えたのだった。
だから紳士はスポーツ! スポーツは紳士の嗜みと言われる。仕事を激しくこなすビジネスパーソンほどトライアスロンとか柔術とかキックボクシングとか、自分を追いこんで闘っている人は多い。
クルマも同じだ。平日はショーファーカーの後ろの席でTeamsの会議に耳を傾けていても、ガレージにはギラリと光るナイフのようなスポーツカーが鎮座している。とりわけ、このジャガーFタイプRクーペみたいなクルマだったら最高である。
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