1914年創業の名門、マセラティが初めて送りだすハイブリッドモデル車、それがギブリ ハイブリッド。自動車の黎明期から名声をほしいままにしてきたこのブランドは、スーパースポーツのMC20やギブリ ハイブリッドをきっかけに、電動化の時代も先頭で駆け抜ける意気込みなのだ。連載【NAVIGOETHE】Vol.62
電動化時代への過渡期でも“らしさ”を忘れないマセラティ
マセラティ初のハイブリッド車、ギブリ ハイブリッドに乗る興奮は、ただ速くて格好のいい高級車に乗ることだけではない。このクルマに乗ることは、“マセラティ物語”の登場人物のひとりになるということ。実際、マセラティオーナーの人生は、波瀾万丈、紆余曲折、「降る日もあれば照る日もあるさ」という、このブランドのヘリテージやイタリアの文化と親和性の高い風流な方が多い。
起業家やエグゼクティブの多くは、これまでのマセラティ物語を知れば、まるで自分自身の人生であるかのように感情移入するのではないかと想像する。もしイタリアの国営放送に大河ドラマがあったらマセラティを題材にするはずだ。タイトルは『ボローニャの軌跡』でどうだろうか。ちょっとダサいか……。
ドラマの最初の山場は第二次大戦直前だ。マセラティ家の3兄弟が始めた家族経営のレーシングチームは、イタリアの国威発揚のために国家がサポートするドイツ勢と戦う。このあたりは、『下町ロケット』的な展開だ。
クライマックスは、大戦後の1950年代。アルゼンチン人の名レーサー、ファン・マヌエル・ファンジオを擁して、F1を制するのだ。ファンファーレが鳴り響き、紙吹雪が舞い散る。
ただし、ここでハッピーエンドとならないのがマセラティというブランドの奥深い所だ。技術開発とレースには糸目をつけずに金を突っこむ体質で、ついやりすぎてしまうのだ。だから浮き沈みがある。
無数の勝利、名車の数々といった栄華を誇りながら沈んで行った’70年代のマセラティは、『華麗なるギャツビー』のような儚い美しさがあった。そして21世紀に入ると、マセラティはかつての輝きを完全に取り戻す。いつの時代もマセラティの神髄は、モータースポーツへの情熱、命を懸けた極限の戦いから生まれる先進技術、そしてこの技術力を活かして限られた顧客にエクスクルーシブなモデルを届けることだ。
21世紀のマセラティは、このパッション、テクノロジー、ラグジュアリーの3本柱がきっちりと噛み合っている。ギブリ ハイブリッドはこうした流れの最新版。実際にハンドルを握れば、レースの血統を引くキレキレのパフォーマンスと、プレタポルテの伝統を引き継ぐ仕立てのよさに、うっとりとする。加えて、ハイブリッドで次の時代を切り拓こうという意志も感じられる。
つまりマセラティ ギブリ ハイブリッドは、“アガリ”のプレミアムカーではない。これまで栄枯盛衰を経験してきたけれど、まだまだこの物語をつないでいこう、広げていこうという健全な野心を持つ人のための高級車なのだ。
2020年、マセラティはMC20というスーパースポーツを発表した。このクルマは、レースで戦うことこそ自分たちの根っこであるという、原点回帰を意味するモデルだ。同時に、EV化も見据えたMC20は、電動化の時代もトップで駆け抜けるぜ、という意思表明でもある。
クルマの背後にあるドラマやストーリーまで理解して愛でる人。成功しても現状に甘んじずにチャレンジを続ける人。そんな方に、ギブリ ハイブリッドはフィットするのだ。
マセラティ
ギブリ ハイブリッド グランスポーツ
ボディサイズ:全長 4971×全幅1945×全高1461mm
ホイールベース:2998mm
エンジン:直列4気筒48V BSGマイルドハイブリッド+ターボ
排気量:1998cc
最高出力:330ps/5750rpm
最大トルク:450Nm/4000rpm
駆動方式:FR
変速機:8AT
乗車定員:5名
車両価格:¥9,560,000~
問い合わせ
マセラティ コールセンター TEL:0120-965-120