CAR

2022.01.02

ラグジュアリーの頂点を極めるキャデラック エスカレード──連載【NAVIGOETHE】Vol.63

北米で運転手付きのショーファードリブンとしても用いられるステータスシンボル。キャデラックのフラッグシップSUVモデルということは、アメリカで最も高級なモデルだ。従来モデルからさらにビッグサイズとなった5代目現行型は、走りや静粛性、快適装備も大幅進化。ブラックを基調とした精悍な装いの「スポーツ」と上質な雰囲気の「プラチナム」の2グレードを展開する。連載【NAVIGOETHE】Vol.63

CADILLAC ESCALADE

従来モデルよりもさらに押しだしの増した体躯。ボディサイズは2065mmの全幅はそのままに、全長で205mm、全高20mm、ホイールベースでは180mm拡大された。心臓部には余裕を感じさせる6.2ℓの大排気量V8エンジンを搭載。大トルクをしっかりと受け止めるエアサスにより、荒れた路面を走る時の衝撃を上手にいなす懐の深さが最大の売りだ。CADILLAC ESCALADE。¥15,500,000~

威風堂々の押しだしと、トロける乗り味

クルマについてよく使う表現に、「このクルマは長距離を乗っても疲れない」というものがある。けれども、キャデラックの新型エスカレードは違う。長距離でも長時間でも、乗れば乗るほど身も心も癒やされるのだ。言ってみれば、“走る温泉”だ。いや、キャデラックのフラッグシップということは、アメリカの最高級車だから、“走るジャグジー”のほうがふさわしいかもしれない。いずれにせよ、左ハンドルを握ってクルマを走らせていると、日々の雑事を忘れ、心が潤(うるお)うように感じる。

“心が潤う要因”その1は、インテリアの設(しつら)えのよさだ。今も昔もキャデラックのポリシーは、本物の素材しか使わないということ。天然の木材と繊細な手触りのセミアニリンレザーを組み合わせたエスカレードの内装に囲まれていると、満ち足りた気分になる。

インテリア

インテリアは一気にデジタル化が進んだ。今までスイッチで操作していたものをタッチスクリーンによるインターフェイスへと刷新、ウッドやレザーの質感は高く、繊細で美しいステッチからはクラフツマンシップが伝わってくる。

面白いのはレザーやウッドが、最新のインターフェイスと融合していること。中央のメーターパネルの両脇にはタッチスクリーンが配置され、運転支援装置やスマホとの連携、夜間に歩行者を発見するナイトビジョンなど、先進的な機能を直感で操作できる。例えばPCのキーボードを打ちながらタブレットでLINEの返事をするような、イマっぽい構成だ。

“心が潤う要因”その2は、大船に乗ったような乗り心地。サスペンションを刷新した効果は明らかで、目の細かいフィルターで濾過(ろか)したかのように、足まわりの動きからエグ味が消えてスムーズな味わいになった。

シートアレンジ

2・3列目のシートアレンジも多彩で、それら座席の可倒は自動制御でスイッチひとつ。フルフラットにすれば広大な荷室にゴロッと横になることも。後席用モニターは標準装備。

加えて、路面状況に応じて1000分の1秒の反応速度で足回りのセッティングを変える、キャデラックお得意のマグネティックライドコントロールも、この滑らかさに貢献している。

“心が潤う要因”その3は、6.2ℓという大排気量エンジンのリッチなテイストだ。排気量を落としてターボで過給する、最近のダウンサイジングエンジンが大豆ミートのハンバーガーだとすれば、この自然吸気V型8気筒エンジンは、まるで血のしたたるステーキ。アクセルを踏みこむたびに、じゅわっと肉汁が溢れでる。

サウンドシステム

同じく標準装備となるウィーン発祥の音響機器メーカーAKGと共同開発したサウンドシステムは、静粛性とあいまって臨場感ある抜群の音を響かせる。

信号からの発進でも、無理矢理にパワーを絞りだすのではなく、軽くアクセルに足を乗っけておくだけで悠々と前に出る。しかも10速のオートマチックトランスミッションがシームレスにギアを変えるから、パワフルだけど粗っぽさはまるでない。このクルマを走らせていて頭に浮かぶのは、「金持ちケンカせず」というフレーズだ。スポーツモードを選ぶとレスポンスが鋭くなり、足回りが引き締まることと合わせて、デカいのに俊敏に動くアメフト選手のように機敏に走った。

そして“心が潤う要因”その4は、なんといってもエクステリアデザイン。エスカレードに乗りこむ時、この迫力のある造形物を自分が操るかと思うと、心が高ぶる。ドライブを終えてガレージに収まる威容を振り返ると、満ち足りた気分になる。下山してから、さっき登った富士山を仰ぎ見るのに似た心持ちだ。

エスカレード

迫力ある絶景シーンにも負けないエスカレードの威容。モデルチェンジによって、従来型より全長が約20cm長くなった。主に3列目シートの居住性が大幅に向上したほか、リアサスペンションの刷新もあって荷室も広くなっている。そうした機能面だけでなく、威風堂々とした存在感をさらに高める効果も。ハイテク支援装置のサポートもあり、車庫入れなども意外とスムーズ。

追従機能をはじめとする運転支援装置は最先端。高速道路で運転をある程度クルマ任せにしながらAKGのサウンドシステムの音に包まれれば、これがドライブで得られる新しい快楽だと肌でわかる。エスカレードは、最先端のラグジュアリー体験提供装置なのだ。

 

キャデラック エスカレード

キャデラック エスカレード
ボディサイズ:全長 5400×全幅2065×全高1930mm
ホイールベース:3060mm
エンジン:V型8気筒OHV
排気量:6156cc
最高出力:416ps/5800rpm
最大トルク:624Nm/4000rpm
駆動方式:セレクタブル4WD
変速機:10速AT
乗車定員:7名
車両価格:¥15,500,000~

 

問い合わせ
GMジャパン・カスタマーセンター TEL:0120-711-276

TEXT=サトータケシ

PHOTOGRAPH=デレック槇島(Studio MAKISHIMA)

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