北米で運転手付きのショーファードリブンとしても用いられるステータスシンボル。キャデラックのフラッグシップSUVモデルということは、アメリカで最も高級なモデルだ。従来モデルからさらにビッグサイズとなった5代目現行型は、走りや静粛性、快適装備も大幅進化。ブラックを基調とした精悍な装いの「スポーツ」と上質な雰囲気の「プラチナム」の2グレードを展開する。連載【NAVIGOETHE】Vol.63
威風堂々の押しだしと、トロける乗り味
クルマについてよく使う表現に、「このクルマは長距離を乗っても疲れない」というものがある。けれども、キャデラックの新型エスカレードは違う。長距離でも長時間でも、乗れば乗るほど身も心も癒やされるのだ。言ってみれば、“走る温泉”だ。いや、キャデラックのフラッグシップということは、アメリカの最高級車だから、“走るジャグジー”のほうがふさわしいかもしれない。いずれにせよ、左ハンドルを握ってクルマを走らせていると、日々の雑事を忘れ、心が潤(うるお)うように感じる。
“心が潤う要因”その1は、インテリアの設(しつら)えのよさだ。今も昔もキャデラックのポリシーは、本物の素材しか使わないということ。天然の木材と繊細な手触りのセミアニリンレザーを組み合わせたエスカレードの内装に囲まれていると、満ち足りた気分になる。
面白いのはレザーやウッドが、最新のインターフェイスと融合していること。中央のメーターパネルの両脇にはタッチスクリーンが配置され、運転支援装置やスマホとの連携、夜間に歩行者を発見するナイトビジョンなど、先進的な機能を直感で操作できる。例えばPCのキーボードを打ちながらタブレットでLINEの返事をするような、イマっぽい構成だ。
“心が潤う要因”その2は、大船に乗ったような乗り心地。サスペンションを刷新した効果は明らかで、目の細かいフィルターで濾過(ろか)したかのように、足まわりの動きからエグ味が消えてスムーズな味わいになった。
加えて、路面状況に応じて1000分の1秒の反応速度で足回りのセッティングを変える、キャデラックお得意のマグネティックライドコントロールも、この滑らかさに貢献している。
“心が潤う要因”その3は、6.2ℓという大排気量エンジンのリッチなテイストだ。排気量を落としてターボで過給する、最近のダウンサイジングエンジンが大豆ミートのハンバーガーだとすれば、この自然吸気V型8気筒エンジンは、まるで血のしたたるステーキ。アクセルを踏みこむたびに、じゅわっと肉汁が溢れでる。
信号からの発進でも、無理矢理にパワーを絞りだすのではなく、軽くアクセルに足を乗っけておくだけで悠々と前に出る。しかも10速のオートマチックトランスミッションがシームレスにギアを変えるから、パワフルだけど粗っぽさはまるでない。このクルマを走らせていて頭に浮かぶのは、「金持ちケンカせず」というフレーズだ。スポーツモードを選ぶとレスポンスが鋭くなり、足回りが引き締まることと合わせて、デカいのに俊敏に動くアメフト選手のように機敏に走った。
そして“心が潤う要因”その4は、なんといってもエクステリアデザイン。エスカレードに乗りこむ時、この迫力のある造形物を自分が操るかと思うと、心が高ぶる。ドライブを終えてガレージに収まる威容を振り返ると、満ち足りた気分になる。下山してから、さっき登った富士山を仰ぎ見るのに似た心持ちだ。
追従機能をはじめとする運転支援装置は最先端。高速道路で運転をある程度クルマ任せにしながらAKGのサウンドシステムの音に包まれれば、これがドライブで得られる新しい快楽だと肌でわかる。エスカレードは、最先端のラグジュアリー体験提供装置なのだ。
キャデラック エスカレード
ボディサイズ:全長 5400×全幅2065×全高1930mm
ホイールベース:3060mm
エンジン:V型8気筒OHV
排気量:6156cc
最高出力:416ps/5800rpm
最大トルク:624Nm/4000rpm
駆動方式:セレクタブル4WD
変速機:10速AT
乗車定員:7名
車両価格:¥15,500,000~
問い合わせ
GMジャパン・カスタマーセンター TEL:0120-711-276