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2022.03.15

【試乗】セカンドカーとしてのBEVはあり? プジョー「e-208」を“お試し”

電気自動車や自動運転、さらには旧車ブームやカーシェアリングの隆盛など、自動車ジャーナリスト・サトータケシが、クルマ好きなら知っておくべき自動車トレンドの最前線を追いかける本連載。第2回は、まずはセカンドカーとして電気自動車を導入することを提案する。

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プジョー「e-208」は、写真のスポーティなGTが¥4,503,000、よりカジュアルなアリュールが¥4,193,500となる。

"電気自動車にいつ乗り換えるのか"問題は「e-208」で解決

ここ最近、よく受ける質問が、「いつBEVに乗り換えればいいのか?」というものだ。BEVというのはバッテリーに蓄えた電気だけで走るピュアな電気自動車のことで、ボルボやジャガーは「2030年までに100%、BEVだけを生産する自動車メーカーになる」と宣言している。

都心でハイオクを満タンにすると目ン玉が飛び出そうになる現状も、BEVシフトを考える人が増えている理由だろう。

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走行中にCO2を発生しないだけでなく、静粛性や俊敏なレスポンスなど、BEVにはさまざまなメリットがある。

ただし現状では、いつBEVに乗り換えるのかは、それぞれのクルマの使い方やライフスタイルによる、としか言いようがない。たとえば、1日の走行距離が数十キロならBEVで問題ないけれど、週末に東北の温泉を巡るなんていう使い方にはまだ不安が残る。

あるいは、200Vの充電設備を設置できる戸建てなのか、それともマンション住まいなのかという問題もある。ただしマンション住まいでも、すぐそばの市営の運動施設に急速充電器があるから充電に不安はないと、テスラ3に乗り換えたケースもあると聞く。BEVに乗り換えるタイミングは千差万別、十人十色なのだ。

で、いま増えているのが、とりあえずセカンドカーをBEVにしてみる、“お試しBEV”だ。いろいろなBEVに試乗してみて、“お試しBEV”にお勧めしたいのはプジョー「e-208」だった。なぜなら、初めてBEVに乗る人にもフレンドリーである一方で、クルマや運転が好きなマニアも楽しませてくれる操縦の楽しさを備えているからだ。

また、攻めている内外装のデザインも、個人的にはツボだ。ライオンのカギ爪をモチーフにしたヘッドランプや牙のようなデイライトランプからは、「コンパクトカーをなめんなよ」という主張がびんびん伝わってくる。人間工学に則ったという、小径のハンドルと3Dのメーターパネルを組み合わせたインテリアも個性的だ。

内外装ともに、消去法で無難に選ぶのではなく、「コレが好きだからほしい!」と、積極的に選択するデザインになっている。

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ライオンのカギ爪をモチーフにしたヘッドランプと、牙のようなデイライトランプがプジョーe-208のフロントマスクを特徴づける。

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小径のハンドルとヘッドアップディスプレイを組み合わせた、プジョー独自のi-Cockpitと呼ばれるインテリア。

初めてBEVに乗る人にもフレンドリーというのは、シフトセレクターの操作など、クルマを動かすためのインターフェイスを、エンジン車とほぼ同じにしているからだ。

プジョーは、「パワー・オブ・チョイス」というコンセプトでモデル展開を行っている。このコンセプトを意訳すれば、「好きな原動機を選んでね!」といったところで、事実、プジョー208はBEVのほかにガソリンと、欧州ではディーゼルまでと原動機を幅広くラインナップしており、好みやクルマの使い方に応じて選ぶことができる。

だからBEVのe-208にしても、エンジン車と同じように、免許取り立ての方が乗っても問題ないように、設計されているのだ。

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減速エネルギーを電気に変換してリチウムイオンバッテリーに蓄える回生ブレーキのおかげで、山道を下るとどんどん電気が増えていくのもBEVの面白いところ。

高度なハンドリング性能は、箱根の山道で感じることができた。クルマ好きの間では、プジョーの足まわりは、「ネコ脚」と呼ばれてきた。路面の凸凹を乗り越える場面ではシュタッとしなやかに着地して、コーナーではやわらかく関節を曲げたり伸ばしたりしながらニュルッと曲がっていく。そんな様子が、まるでネコのようだと形容されるのだ。

このe-208もまさに「ネコ脚」で、むしろ電動化によって“ネコ度”が上がっているようにすら感じた。理由はふたつある。

まず、車体の鼻先に重たいエンジンがなく、床下にバッテリーを敷き詰める構造から、重心が低くなっていることが挙げられる。低重心化によって、足まわりを固めなくてもコーナーでのグラッという傾きを抑えることができる。したがって、良好な乗り心地とコーナリング性能を、エンジン車より高いレベルで両立することができるのだ。

もうひとつ、エンジン車と違って峠道でも音や振動が高まることがない、という理由もある。静かに、スムーズに加速するから、コーナリングの姿勢まで整っているように錯覚するのだ。

しかもモーターは、まさに電光石火のレスポンスで、アクセルを踏んだ時の反応がエンジンよりはるかにクイックだから、走り慣れた山道が、別の道のように見える。

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高速道路のサービスエリアや大型商業施設で増えている急速充電器を使えば、バッテリー容量80%まで約50分で充電できる。

プジョーe-208の航続可能距離は380km(WLTCモード)。都内をフル充電の状態で出発して、箱根を往復した約250kmの道程では、途中で充電する必要はなかった。

充電に関しては、プジョーのBEVは家庭用の200Vの普通充電と、日本のCHAdeMO規格の急速充電器に対応する。急速充電であれば50分で容量の約80%まで充電可能、家庭用の普通充電だったら3時間で50km走行するだけの充電ができる。
充電の環境さえ整っていれば、平日は買い物と送り迎え、週末はちょっと遠出、という使い方を問題なくこなせそうだ。

といった具合に、眺めてよし、乗ってよし、お値段も比較的手頃と、はじめてのBEVにプジョーe-208は好適ではないかと考える。

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PEUGEOT e-208 GT
全長✕全幅✕全高:4095✕1740✕1465mm
ホイールベース:2610mm
車両重量:1510kg
モーター最高出力:136ps
モーター最大トルク:260Nm
乗車定員:5名
価格:¥4,193,500~(税込)

問い合わせ先
プジョー・コール TEL:0120-840-240

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クルマの最旬学

話題の新車や自動運転、カーシェアリングの隆盛、世界のクルマ市場など、自動車ジャーナリスト・サトータケシが、クルマ好きなら知っておくべき自動車トレンドの最前線を追いかける連載。

TEXT=サトータケシ

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