今回は秋の夜長にぴったりなジョー マローン ロンドンの香りをピックアップ。男性美容研究家の藤村岳が大人のための香水を紹介する。連載「オトコの“香印象”のつくり方」とは……
心を惹きつける香り
英国が誇る香りのブランドといえば、やはり「ジョー マローン ロンドン」だろう。端正なベージュのボックスにキリリとした黒色のリボンは女性へのギフトとして大層、喜ばれる。キャンドルやルームディフューザーなどのホームコレクションから、ハンドクリームなどのスキンケアアイテムまで豊富に揃い、身に纏うだけでなく家中を素敵な香りで満たしてくれるこちら。1994年発祥とまだ新しいメゾンだが、老舗の風格さえも備えている。今回はそんな上品なブランド、ジョー マローン ロンドンの世界を紐解いていこう。
1.パートナーに安心感と官能性を寝室で与えるなら「ムーンリット カモミール コロン」
まずは新シリーズ「ナイト コレクション」のからひとつ、「ムーンリット カモミール コロン」をご紹介しよう。その名のとおりに夜を思わせるナイトブルーのボトルが印象的。ジョー マローン ロンドンの多くのコロンはクリアなボトルだが、このシリーズは月光で輝く妖艶な夜をイメージしたということで、見た目からそれを体現している。特に筆者が気に入っているのは、柔らかなパウダリーさのあるこのコロン。安眠を誘うとハーブティーでも有名なカモミールの軽やかな香りをベースに、日が暮れた後の庭に咲くという純白のムーンフラワーが重なる。この香水を纏うと側にいるパートナーに安心感を与え、さらにどこか官能的な気持ちにさせる効果がありそう。秋から冬にかけて、長い夜を楽しむ相棒としてベッドルームに迎えたい。
2.秋の夜を心穏やかにリビングで過ごしたいなら「ダーク アンバー & ジンジャー リリー コロン インテンス」
世界中を旅して厳選された香料を集めたという「コロン インテンス コレクション」。なかでもゆったりとした気持ちで過ごすのに最適なのが、日本の香道でも古くから用いられている伽羅(きゃら)を使ったこちら。静謐(せいひつ)な印象の伽羅と、妖艶なブラックカルダモンやブラックオーキッド、ほの甘いアンバーに華やかなウォーターリリー、温かみのあるジンジャーなど一見矛盾するような香料を巧みにブレンドした。シュッとスプレーした後は、その多彩な変化に驚き、楽しみ、そして最終的には心からリラックスできるはず。また、ジョー マローン ロンドンでは他の香水と重ね合わせることで、さらなる奥深い世界を堪能できる「セント ペアリング」を推奨しており、スッキリと爽やかなニュアンスを加えるなら「ライム バジル & マンダリン」を、一方「ヴェルベット ローズ & ウード」を重ねると包みこむような温かさが得られる。暖炉の火を観ながら、リビングで穏やかに過ごすときに最適だろう。
3.温かな家族団らんをダイニングで楽しむなら「ナツメグ & ジンジャー コロン」
最後に紹介したいのは、このブランド最初の香り。心がじんわりと温かくなる、そう、まるでクリスマスのような幸せな雰囲気をイメージさせる香りで、冬に纏ってこそ華やぐ。ホリデーシーズンのエッグノッグに欠かせないナツメグとジンジャーは、英国人にとって郷愁に誘われる特別な香り。外は雪の降る寒い冬でも一歩家の中に入れば、クリスマスのご馳走が並び、温かい飲み物を家族でいただく――。この香りを嗅ぐとそんな風景が即座に脳に甦ってくるのではないだろうか。とはいえ、トップノートにはグレープフルーツやレモンといった柑橘類、ローズマリーやペパーミントのハーバルな爽やかさもあるので、男性が使っても肌なじみが非常によい。店頭ではなくオンライン限定で販売。冬のダイニングを香りで彩ってみてほしい。
寝室、リビング、ダイニングと家の中で過ごすことが多くなるのが秋から冬にかけて。おうち時間を慈しむ香水で、豊かな時間を過ごそう。
■連載「オトコの”香印象”のつくり方」とは……
第一線で走り続けるビジネスパーソンは、リラックスしたい時もあれば、気持ちを奮い立たせ、勝負に挑まなくてはいけない場面もある。本連載「オトコの”香印象”のつくり方」は、自分を効果的に演出する武器でもある香りを上手に纏い、単なる好みではなく、スーツを誂えるように、自分に合う香りを見つける指南書。男性美容研究家の藤村岳がシーン別にベストな香りを紹介する。