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2025.04.15

ドジャース級の天才醸造家が競演。100万円超えの“夢のカリフォルニアワイン”「フェアレスト・クリーチャー」

芳しき香りを放つのは、ミシェル・ロランを始めとする有名醸造家たちが手がける最高級ワインの数々。ひとりのワイン愛好家の夢から生まれた、コレクターズアイテム必至のリュクスでユニークなワイン「フェアレスト・クリーチャー」をご紹介。

「シン・ファイン&ポリスプライン&ペリヘリオス カベルネ・ソーヴィニヨン ナパ・ヴァ
レー 2021 750ml×6本セット(3種類各2本入り」はそれぞれの醸造家の個性が際立つ。(左

ナパのスーパー・ワインメーカーが共演

カリフォルニアから“夢のワイン”「フェアレスト・クリーチャー」が登場した。これは3人のスーパー・ワインメーカーがナパ・ヴァレーの銘醸畑のカベルネ・ソーヴィニヨンで、それぞれの個性を生かした最高級のワインを造るというもの。

3人のスーパー・ワインメーカーとは、絶大な影響力を持つワイン評論家 ロバート・パーカー氏の“バーカー・ポイント”で100点を連発、“カリフォルニア随一のワイン・メーカー”と評されるトーマス・リヴァース・ブラウン氏、同じく無名のワイン「レアム」を高得点連発に仕立て上げ、超人気ワイン「ティーター・トッター」、「フェ・マン」のオーナー兼ワイン・メーカーとしても知られるブノワ・トゥケ氏、そして、カリフォルニアのカルトワイン「レイル」や「ブライアント・エステート」の醸造家として名を馳せ、次世代スターとして注目されるフィリップ・メルカ氏。たとえれば、“ドジャース級のワイン・アベンジャーズ”といったところだろうか。

彼らの手による個々のワインが「シン・フィン&ポリスプライン&ペリヘリオス カベルネ・ソーヴィニヨン ナパ・ヴァレー 2021 750ml×6本セット」(3種類2本入り)として発売されるというのだから、ワイン通なら大いに気になるところだ。

「シン・ファイン&ポリスプライン&ペリヘリオス カベルネ・ソーヴィニヨン ナパ・ヴァ レー 2021 750ml×6本セット(3種類各2本入り」はそれぞれの醸造家の個性が際立つ。(左
「シン・フィン&ポリスプライン&ペリヘリオス カベルネ・ソーヴィニヨン ナパ・ヴァレー 2021 750ml×6本セット(3種類各2本入り」はそれぞれの醸造家の個性が際立つ。(左から)豊かでシルキーなタンニンの中に酸味が美しく溶け込んだ「ペリヘリオス カベルネ・ソーヴィニヨン ナパ・ヴァレー 2021 by トーマス・リヴァース・ブラウン」、カシスやバラの香りが魅力的で華やかな印象の「シン・フィン カベルネ・ソーヴィニヨン ナパ・ヴァレー 2021 by ブノワ・トゥケ」、ストラクチャーがしっかりとして奥深い「ポリスプライン カベルネ・ソーヴィニヨン ナパ・ヴァレー 2021 by フィリップ・メルカ」。熟成のポテンシャルも大きい。各750ml ¥1,320,000 ※セット販売のみ

だが、驚くべきはここから。なんと、この心浮き立つメンバーのワインを、世界のワインに常に影響を与え続けてきた“空飛ぶ醸造家”ミシェル・ロラン氏がブレンドを行い、「トリニセロス カベルネ・ソーヴィニヨン ナパ・ヴァレー 2021」として仕上げているのだ。コレクター垂涎の唯一無二のワインと言っても過言ではない。

「トリニセロス カベルネ・ソーヴィニヨン ナパ・ヴァレー 2021」
「トリニセロス カベルネ・ソーヴィニヨン ナパ・ヴァレー 2021」。3人の醸造家のワインをミシェル・ロラン氏がブレンド。醸造家のワインのブレンド比率については非公開。ロラン氏らしい果実の凝縮感と甘味が感じられ、華やかな味わい。1,500ml(マグナムのみ)¥1,760,000

仕掛け人である「フェアレスト・クリーチャー」のオーナーはジェイソン・フー氏。元々はシリコンバレーでIT設計エンジニアとして活躍していたが、ワイン熱が高じ、2009年に母国である中国に戻り、ワインの輸入ビジネスを始めた。

当初はフランスワインを扱っていたが、カリフォルニアのカルトワインに魅せられ、2012年よりカリフォルニアワインに特化、大きな成功を収めたのだ。フー氏はこう語る。

「ワインの仕事に携わるうちに、自分で“グレイトなワイン”を造りたいと思うようになりました。幸い、私の手元には小さなワイナリーと畑を購入できるだけの資金があった。ですが、おそらくは小さなワイナリーと畑を買ったらそれでおしまいになる。ならば、醸造所はあえて持たずに地元の共同醸造所を借り、カリフォルニア最高峰の銘醸畑のブドウを購入する方がワインの質がよくなる。

それを、仕事を通じて信頼関係を築いていた天才醸造家たち、トーマス・リヴァース・ブラウン、ブノワ・トゥケ、フィリップ・メルカがそれぞれにワインを造り、それをミシェル・ロランがブレンドしたら面白いのではないか……。そんな壮大で粋な夢を描いたのです」

ミシェル・ロラン氏。世界中に250の顧客を持つワイン・コンサルタント。
ミシェル・ロラン氏。世界中に250の顧客を持つワイン・コンサルタント。卓越したブレンド技術で「トリニセロス」の芳醇にして優雅な味わいを実現させた。フー氏の指南役でもある。

そして2018年、フー氏の夢のワイナリー「フェアレスト・クリーチャー」が誕生した。フー氏は彼らにコンタクトを取り打診したところ、「面白いアイディアだ」と快諾。

「ですが、大変なのはここからでした。3人とも天才で、自信を持っている分、醸造への主張が強い。最初の打ち合わせなど、ほぼ口論の連続でした。ですが、私はミシェル・ロランに相談しつつ、誠実に彼らと向き合いました。そして私の気持ちが通じたのか、次第にチームはまとまっていったのです。今では、彼らは互いに大親友です。当初の口論など信じられないくらいにね(笑)」

テイスティングを行う醸造家たち。(左から) ブノワ・トゥケ氏、フィリップ・メルカ氏、 トーマス・リヴァース・ブラウン氏。
テイスティングを行う醸造家たち。(左から) ブノワ・トゥケ氏、フィリップ・メルカ氏、トーマス・リヴァース・ブラウン氏。フー氏によれば、ブドウの選び方も三人三様。「トーマスは南側に面した斜面の完熟したブドウを選びがちで、フィリップは北に面した斜面下方の涼しい地区のブドウを選ぶ傾向にある。ブノワはちょうどその中間かな(笑)」。

ちなみに、フー氏にとっての“グレイトなワイン”とは「ペトリュス 1961」、「スクリーミング・イーグル 2007」、「クリュッグ クロ・デュ・メニル 2008」などが挙げられるという。

「大切なことはどの畑のブドウを使うか、そのブドウにヴィンテージの特徴が出ているか、そしてそれは最高級のワインになり得るかを見極めること。彼らなら、今までにない素晴らしいワインが造れると確信しました」とフー氏は熱く語る。

目を引くのは、ラベルに描かれたインパクトのある中国神話の想像上の動物たち。「ペリヘリオス」には荘子の物語の中で太陽に一番近い動物とされる“一角鯨”を、「シン・フィン」には愛ゆえに一体化してしまった“双頭の火の鳥”を、「ポリスプライン」には知恵を表す“九尾の狐”を配した。そしてこれらをミシェル・ロラン氏がブレンドしたのが、“麒麟”が描かれた「トリニセロス」だ。龍の頭、虎や鹿の胴体、牛の尾を持つ麒麟は、3人の醸造家の完全無欠な味を意味するという。中国においては富と幸福を象徴するものばかりだ。

唯一無二のこのコレクションにはフー氏とスーパー・ワインメーカーたちの遊び心と誇りが溶け込んでいる。“夢を叶えてくれるワイン”として手元に置けたら、どんなに幸せなことだろう。

「フェアレスト・クリーチャー」オーナーのジェイソン・フー氏。
「フェアレスト・クリーチャー」オーナーのジェイソン・フー氏。ワイナリー名の意は“美しき生き物”で、ブドウを意味。また、シェイクスピアのソネット(14行詩)のひとつ「美しき若者は若いうちから子孫を増やすべきだ」という一文にインスピレーションを受け、「ナパ・ヴァレーの銘醸畑から美しいワインを誕生させる」と決意したという。

問い合わせ
中川ワイン TEL:03-5829-8161

TEXT=安齋喜美子

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