どの業界も後継者不足といわれている。しかし、一度閉店した名店が現代のセンスも取り入れ、見事に復活したふたつの店を訪ねれば、元気や勇気が湧いてくること間違いなし! 今回紹介するのは、東京・白金高輪の「うずら」。【連載 仕事に効くレストラン】
「お客様の笑顔を見たい」その一心で名物鍋が復活!
「鯨のはりはり鍋」で親しまれていた「うずら」が店主・永田晃一さんの急逝で2022年に閉店。しかし、熱烈な常連客の支えもあって女将の芳子さんが奮起。「お父さんと一緒に作り上げた料理でお客様の笑顔を見たい」と白金高輪で再オープンを果たした。
「うずら」が開業したのは1973年。家庭的な割烹料理で高度成長期の多忙なビジネスマンたちの活力と癒やしの場として人気を博した。関西からの客も多く、そのリクエストで30年ほど前にメニューに加わったのが鯨肉を使った刺身や竜田揚げ、はりはり鍋だ。
夫妻にとって鯨はなじみのない食材だったが、常連客の話を聞きつつ、すっぽん鍋にヒントを得て独自の工夫を凝らし、昆布出汁ベースに生姜を利かせた名物鍋が誕生した。
下味をつけて片栗粉をまぶしてから湯通しした鯨肉に油揚げ、水菜を絡めて口の中へ。シャキシャキした水菜、コクのある鯨肉、旨みたっぷりの出汁を吸った油揚げなどさまざまな食感、香りを楽しむうちに身体は芯からポカポカに。〆は雑炊も選べるが、何種類ものなかから麺を吟味したラーメンがお薦めだ。
かつて日本の活力を支えた偉大な食文化を味わいたい。
うずら/Uzura
住所:東京都港区白金1-12-20
TEL:03-5421-8920
営業時間:17:00~L.O.22:30
定休日:日曜 、月曜不定休あり
座席数:カウンター5席、テーブル12席、個室1室(~4名)
料金:鯨づくし鍋コース¥12,000、アラカルトあり