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2022.06.13

鎌倉 北じま|京都『和久傳』で16年研鑽を積んだシェフの隠れ家的日本料理店

食に対して尋常ではない情熱を傾ける、秋元康、小山薫堂、中田英寿、見城徹が厳選したとっておきの店を紹介する、最強のレストランガイド「ゲーテイスト2022」。伝統に敬意を払いながら常に進化。四季折々の食材を美しい料理に昇華する和の匠の技に酔いしれる。【Part2:和の神髄】

鎌倉 北じま

のらぼう菜、はりぎりなど鎌倉の山菜と里芋の胡麻和えにさらにいり胡麻をトッピング。350年ほど前の古九谷の器で。

秋元康「勉強熱心な料理人を応援しながら通いたい」

京都『和久傳』各店で16年研鑽を積んだ北嶋靖憲氏が2021年5月、故郷の鎌倉で独立。空間も料理も野趣と洗練のバランスが絶妙で、早くも注目を集めている。

 独立して1年。成長を楽しみに通いたいお店です。

錦椀

鯛で桜、蕗で柳を表現した「錦椀」。お膳は木工作家の佃眞吾氏の作品(料理はすべて¥24,200〜のコースの一例)。

 僕も行きましたよ。『和久傳』の姉妹店『丹』の料理長を6年くらいやっていた方ですよね。

 『丹』は朝食が人気でしたよね。北嶋さんは京都でも名前が知られていました。

黒むつのお造り

黒むつのお造りは、皮目にだけ炭を当てて香ばしく。古染付の器で。現代作家ものや骨董など器使いにも『和久傳』で培われた審美眼が感じられる。

 たしか北嶋君は鎌倉育ちなんだよね。料理が好きで地元の料理店で働いていたんだけど、日本料理の文化も含めて京都で修業したいと、いろいろ食べ歩いて『和久傳』の門を叩いたという話を聞いたよ。

 僕はまだ1回しか行ったことはありませんが、見城さんは何回か通っているんですか?

 3回ほど。鎌倉駅からお寺巡りしながら辿りつく道程も風情があるし、建物は木々に囲まれていて、休日の食事にぴったりだからね。1回目に行った時に、鮎が出てきたんだよ。それで「せっかく鎌倉でやっているのに、結局鮎なんだ。もっとここでやっている意味を追求したほうがいいんじゃないの?」って意見を言ったの。この言葉が「僕の大転換になった」と北嶋君が言ってくれているんだ。

「食材や器など関わってきた人々の想いや物語も受け継ぎつなげられる、シンプルながらも奥行きのある料理を目指したい」と話す北嶋氏。

 いい話ですね。

 最初は京都の味を東京で、という想いもあって、食材を取り寄せたりもしていたらしいけど、今は完全に鎌倉や三浦、相模湾の魚、野菜も地元の無農薬栽培のもの。地産地消で生産者との付き合いも深めているって。魚は神経締めで有名な『さかな人』の長谷川(大樹)さんのところに毎朝クーラーボックスを持って仕入れに行き、魚のこと、海の生態のことなど勉強させてもらっているそうだよ。

住宅街にひっそりとある隠れ家的佇まい

鎌倉駅から歩いて15分。昔ながらの趣のある住宅街にひっそりとある隠れ家的佇まいも魅力。

 最近はSDGsなど環境や未来の海のことを考え、漁法にもこだわる漁業関係者や料理人さんが増えてきていますよね。

 いろいろな出会いがあって成長していくお店を応援しながら通うのは楽しいですね。

 

無駄のないミニマムな空間

土壁と木の温もりを生かし、茶室のように無駄のないミニマムな空間。

Kamakura Kitajima
住所:神奈川県鎌倉市大町4-3-18
TEL:0467-73-7320
営業時間:18:00~
定休日:不定休
座席数:カウンター8席
料金:コース¥24,200~

【ゲーテイスト2022】
「秘密の店」
「和の神髄」
「洋の絢爛」
「名人の店」
「弩級な鮨」
「肉の魔力」

TEXT=藤田実子

PHOTOGRAPH=菅野祐二

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