GOURMET

2022.06.01

寿司 健|鮨界のサラブレッドと呼ばれる、人気実力派の銀座の新店

食に対して尋常ではない情熱を傾ける、秋元康、小山薫堂、中田英寿、見城徹が厳選したとっておきの店を紹介する、最強のレストランガイド「ゲーテイスト2022」。凛としたカウンターで、美しいにぎりを口に運ぶ。それは頬が緩む口福な瞬間。鮨には人を幸せにする不思議な力がある。【Part5:弩級な鮨】

健

ひと仕事を入れた中トロ。鮪はしゃりに似合うものを『やま幸』に届けてもらっている。

見城徹「期待の職人がついに独立。『銀座の名店』と言える日を愉しみに通いたい」

『鮨 あらい』の個室を任され、明るく謙虚な人柄でファンを増やしてきた渡辺健(たける)氏が独立。期待値が高く、今年一番の注目鮨店になること間違いなし。

 ついに先月オープンしましたよ、健の店が。5年前のゲーテイストの表紙になった『鮨 あらい』の個室をオープン当初から担当していたんですよ。

 見城さん、可愛がっていたから、感慨深いでしょう? 健君も、見城さんに鍛えられたと言っていましたよ。

 健は新井(祐一)君とは『久兵衛』で一緒に仕事をしていたんだよね。新井君は修業時代からオーラがあって、後輩の面倒見もよく、健はひたすら追っかけて真似していたらしい。

健

あん肝。奈良漬をのせたスタイルは新井氏の『すし匠』時代からのやり方を踏襲。あん肝の火入れや味付けで独自の工夫を加えている(料理はすべて¥33,000~のおまかせの一例)。

 見城さんは健さんにはどんなことを言ったり、注文してきたんですか?

 小肌と穴子には僕はうるさい(笑)。たまには「今日のしゃりはいつもと違うね」と言うこともあったけど、基本的には健のしゃり、好みなんだよ。赤酢ブレンドなんだけど、その割合と塩の塩梅がブレない。

 見城さんの名文句「酸の背骨が通っている」ですね。

 うん。細かく切れ目を入れたフワッとした口当たりの鰯(いわし)も好きだな。鮪は完璧。つまみも旨いよ。あん肝、ノドグロの酒蒸しはいつも出してもらう。奇を衒ったものを出すとか、流行りのスタイルにするとかそういうのではなく、季節によって火の入れ方を変えるとか、味の濃さを変えるとかの見えない工夫をしている。真心があるんだよ。

健

軽く締めた鰯は細かく包丁を入れてフワッとした口当たりに。

健

赤身の漬け。

 健君は、経験豊かで実力があるのに、実直で謙虚。応援したくなるような人柄ですね。

 ガチガチの真面目君でもなく、ストイックすぎず、いい感じに会話もできる。本を読み、映画も観ている。独立にあたって新井君からカウンターを、『鮨 龍次郎』の(中村)龍次郎君からは包丁や器を、『すが弥』の菅谷(崇之)君から冷蔵庫をプレゼントされたりした愛されキャラ。僕は、僕の文章を書家の金田石城さんに頼んで、開店祝いに贈ったよ。

 お店にかけてあるんですね。行くのが楽しみだな。

健

「マニュアル人間になるな。触って、味を見て感覚を磨け」という新井氏の言葉を胸に経験を積んできた渡辺健氏。

健

書家、金田石城氏に書いてもらった見城の言葉。

健

Sushi Takeru
住所:東京都中央区銀座7-11-6 GINZA ISONOビル2F
TEL:非公開
営業時間:18:00~/20:45~(2部制)、日曜12:00~、15:00以降
定休日:月曜
席数:8席
料金:おまかせ¥33,000~
※予約はOMAKASEのサイトより

【ゲーテイスト2022】※6月24日までに全公開!
「秘密の店」
「和の神髄」
「洋の絢爛」
「名人の店」
「弩級な鮨」
「肉の魔力」

TEXT=藤田実子

PHOTOGRAPH=佐藤顕子

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