連載「ヴィンテージウォッチ再考」の第41回は、ロレックス「コマンドー Ref.6429」を取り上げる。
多くの謎に包まれた、特別な手巻きモデル
公式の資料やデータが少ないヴィンテージロレックスには、謎に満ちたモデルが数多く存在する。そんななかでも飛び抜けてレアなモデルが、「コマンドーRef.6429」だ。
製造は1960年代後半だと言われており、米軍のPX(アメリカ軍隊内の売店のこと)で極めて少数のみ販売された。また、1970年代初頭にアメリカの大手アパレルメーカー、アバクロンビー&フィッチで販売されていたという記録もある。
こうした謎めいた出自も「コマンドー Ref.6429」の魅力だが、そのシンプルなデザインにも定評がある。
「コマンドー Ref.6429」は、6時位置に「COMMANDO」の表記が入るタイプと入らないタイプの2種類がある。愛好家の間で大変人気がある一方で、極端に製造本数が少ないうえに偽物も数多く出回っているため、このように本物が2本揃うことはまずない。
「エクスプローラー」と酷似したダイヤルの3、6、9のアラビアンインデックスとバトンハンドの組み合わせは、まさに唯一無二。12時位置にプリントされた王冠マークも味わい深い。
自動巻きではなく、「手巻きムーブメントCal.1225」を採用していることも特徴で、ローターがないことからその分だけケースの厚みも薄くなっている。
滅多にお目にかかれないマボロシ級のモデルゆえ、もし幸運にも出合ったら迷わず購入することをオススメしたい。
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