美しい腕時計との出合いは、必ずや人生を豊かにしてくれる。ビジネスの最前線を走り続ける仕事人たちが選ぶ腕時計と、その裏にある味わい深いストーリーとは。今回は、エクスコムグローバル 代表取締役社長の西村誠司氏に話を聞いた。【特集 美しい時計】

色合いに惹かれて購入した「コスモグラフ デイトナ」(右)。さり気ない高級感が漂う「ヨットマスター 40」(左)は、ステンレススチールケースにロレジウム製のベゼルをセット。
“王道”を求めて辿り着いたロレックス
その中毒性の高いCMが印象的な「にしたんクリニック」。その仕かけ人が、エクスコムグローバル代表の西村誠司氏だ。何ごとにも“王道”を意識するという美意識が、その時計選びにも表れている。
「クルマならロールス・ロイス、ホテルならオークラと、最近は自分のなかで原点回帰というか、歴史のあるブランドに特に惹かれています。時計はロレックスが一番好き。若い頃に叔父から『コスモグラフ デイトナ』をプレゼントされて以来、愛用し続けています」
西村氏はロレックスの時計に、圧倒的な美しさを感じるという。
「もちろんロレックスは時計としての機能も素晴らしいのですが、ブランドとしての安心感がずば抜けていて、広告も含めたトータルパッケージで王道感を打ちだしている。デザインも隙がない。この『コスモグラフ デイトナ』にしても、ピンクゴールドのケースとブラウンの文字盤とのバランスが絶妙です。『ヨットマスター 40』は、秒針などのさり気ない色使いが洒落ていると思います」
分野を問わず、王道といわれるものには本質的な美が内在している。
「本当に素晴らしいものには、説明不要のえもいえぬ美しさがあります。時計を選ぶ際もそこが決め手になる。そこでピンとこなくて、購入を見送ってきた時計も多くあります。なので、時計の数自体はそこまで持っていないんです」

アメリカから帰国する際、JALの機内誌広告を見て一目惚れしたというフランク ミュラーの「ヴァンガード クロノグラフ」。ゴールドケースとホワイトのコンビネーションがお気に入り。

エクスコムグローバルのオフィスの様子。西村氏がこだわったというインテリアの色調やスペースの絶妙な間取りが、ラグジュアリーな空間を演出している。
日進月歩で状況が変わるビジネスにおいて、直感的な判断力は経営者に求められる重要な資質のひとつといえる。“本物”を感覚的に選ぶことができるその研ぎ澄まされた審美眼があるからこそ、西村氏は常に時代の一歩先を行くビジネスを仕かけ、成功を続けることができるのだろう。

西村誠司/Seiji Nishimura
エクスコムグローバル 代表取締役社長
1970年愛知県生まれ。25歳で起業し、「イモトのWiFi」や「にしたんクリニック」など広く事業を手がける。2022年に不妊治療専門の「にしたんARTクリニック新宿院」を開院。現在、全国に4院を展開している。