虎ノ門 虓|食材に真摯に向き合う伝説の料理人の華麗なる復活劇

毎年恒例のゲーテレストラン大賞「ゲーテイスト」。今回も秋元 康さん、小山薫堂さん、中田英寿さん、見城 徹の食を愛する4兄弟が集結、ここ1年のお薦めのレストラン(全52店)を教えてもらった。4店目は、かつて銀座で多くのグルマンたちを虜にした伝説の料理人、佐藤 慶氏が再び開いたお店。

哲学する武士のごとき気迫漲る料理人

――3年前、長く親しんだ関西を離れ、銀座で勝負に出た佐藤 慶氏。美味を磨き抜いた料理と心尽くしのもてなしで、密やかながらもグルマンたちを瞬く間に魅了。一旦半年間休業するも、昨年5月、虎ノ門 虓(こう)としてバージョンアップし、再開した。

見城:銀座『盡(じん)』を止む無く閉めた佐藤さんが、見事に復活劇を遂げました。

秋元:見城さんとご一緒して以来虜になって何度かうかがっています。銀座の時はカウンター6席の小さな店でしたが、今度は焼き場、揚げ場、竃もあり。持ち場ごとに技術を極めようとする若手が立ち、頼もしいですね。

見城:後進を育てたいと言っていた佐藤さんの思いが実現できてよかったよ。

中田:今度行くのが楽しみです。

見城:あれだけ命をかけて料理と向き合っている料理人はいないよ。食材の命をいただき、客の本能を満たすにはどうしたらよいかというところで、調味料ひとつ選ぶにも葛藤している。銀座の時は敢えて昆布や醬油などの旨味調味料は使っていなかった。

小山:塩とイタリアの白いバルサミコ酢くらいだったかな。

見城:でも今は使わないものはなくなったって。「一度線を引いて、その線を消すことで輪郭を求め、探している」と。

秋元:哲学者ですよね。

見城:料理は人それぞれ哲学があるけど、彼はもう何もかも哲学なの。人柄も言葉も。

秋元:哲学する武士。「食材のよさを出せなかったら腹斬ります」みたいな気迫があるし。

中田:鬼気迫る雰囲気ですか?

小山:心のなかはそうかもしれないけど、謙虚で物腰柔らかいよ。

見城:物静かで多くは語らないだけに言葉に重みがある。

中田:どんな料理なんですか?

見城:僕にとっては日本料理。

秋元:カテゴライズするのは難しいよね。“佐藤料理” だから。

見城:イタリアンからスタートしたけど、フレンチも独学で会得しているし、芦屋時代には市場や鮨屋の仕事を手伝って魚の知識を深めたり、焼き鳥屋で働いて炭火を研究したり。努力の人。

秋元:自家製のパンとバターも堪らなく旨いよね。ある時バターのおかわりを頼んだら「ちょっと待ってください」って、裏で生クリームを振っていて。

小山:安定材を入れないから作り置きできないんですよね。

見城:合わせるワインもそんなに高くなくて、料理に合うものを考え抜きペアリングしてくれる。真心が心に響きます。

Toranomon Coh
住所:東京都港区虎ノ門2-5-21 寿ビルB1
TEL:03-6257-1881
休業日:不定
座席数:カウンター10席
料金:コースは ¥30,000~

※現在、レストランの営業時間、休業日など記載の情報と異なる場合があります。ご来店時は事前に店舗へご確認ください。


Text=藤田実子 Photograph=鈴木拓也