リビングハウス代表取締役社長の北村甲介氏と、フィル・カンパニー取締役会長の髙橋伸彰氏。“中学のクラスメイト”というふたりを紹介する。

まさかの上場
北村 今日はわざわざ新しい店舗に来てもらって感謝。
髙橋 イタリアの高級家具エドラを日本の青山に。すごいな。
北村 異次元の素敵なブランドで、こういう家具を日本でもぜひ紹介したいと思って、速攻でプレゼンして交渉した。
髙橋 こういうことをする日本の会社はたくさんあるの?
北村 まずないと思う。相手も日本の会社はスピードが遅いと思っているから、速さはアピールになる。
髙橋 中高一貫校のクラスメイトがこんなことになるとはなぁ。
北村 奈良の西大和学園は中学3期生だった。みんな本命落ちた人たちが集まってたよな(笑)。
髙橋 今じゃものすごい進学校になってるけど。
北村 よく遊んだな。家にも泊まりに行ったし、祭りに行ったり、東京にも旅行に行ったよね。
髙橋 卒業してからは、あまり会わなくなったけど。
北村 でも27歳の時、ミクシィで名前を見つけて。へぇ、起業したんだと思って。
髙橋 北村は家具屋の3代目だから、いつか継ぐんだろうと思っていたよ。
北村 それで久しぶりに会ったら、創業したばかりで資金調達しているところで。駐車場の上に店舗を造るとかで、あの頃の僕の知識レベルでも面白いと思った。
髙橋 出資してくれたんだよね。
北村 僕はお金がなかったから、わざわざ母親に借りて。
髙橋 しかも個人じゃなくて会社名でお願いしたんだよな。おかげで、法人から出資してもらっています、と信用力がついて、銀行からの資金調達に活きた。
北村 正直、まさか本当に上場するとは思わなかったけど。でも、もしかしたら自分たちも上場できるかも、と思った。
髙橋 それで上場会社を目指したいから、ちょっと手伝ってほしいと呼ばれることになって。苦しい時に助けてもらったから、何かできることがあるなら、何でもしようと思ってた。
北村 髙橋と同じクラスになっていなかったら、上場会社にならなかったと思う(笑)。
髙橋 西大和学園に感謝だよな。でも、今は起業に興味を持っている高校生も少なくなくて、学園で授業をさせてもらったりもして。北村も呼ばれたよな。
北村 勉強もスポーツも私生活に関しても、ものすごく厳しい学校だったけど、そうやって鍛えてもらって今がある、と言っても過言ではない。ほんと、西大和学園に感謝だな。

リビングハウス代表取締役社長。1977年大阪府生まれ。慶應義塾大学卒業後、ベンチャー企業、家具会社の日本法人を経て、26歳で父の経営するリビングハウスに入社。2011年より現職。2025年5月に会社の株式を上場。
髙橋 経営者は孤独。社長の気持ちって、社長にしかわからないところがある。相談できる人も、そうそういない中で、なんでも話せる旧友は本当にありがたかった。
北村 波長も合ったんだよね。ジャンルは違うけど、お互いもっと高みを目指そう、という感覚が強かったし。
髙橋 戦友みたいな感じかな。実際には、苦しい時期のほうが圧倒的に長いわけだし。そんな中で、変わらない関係をずっと続けてこられたのは、うれしいよね。
北村 しょうもない昔の話もしたり、とんでもなく真面目な話もしたり。面白いね。
髙橋 北村はとにかく学ぶことへの熱心さがすごい。本もたくさん読むし、素直に受け止めるし。だから、成長速度が本当に速いと思った。
北村 自分には足りないものばかりだから、もう学ぶしかない。そうなったら、本を読むか、人に話を聞いたり、自分で見に行くしかない。フットワークだけが命だと思っているので。
髙橋 僕は本が読めない人なので。
北村 でも、本からしか学べないわけではない。すごいと思ったのは、上場して1年ほどして、次にやりたいことがあるから、とアジアでマイクロファイナンスの事業を立ち上げた。これを聞いたときは本当にびっくりした。二足の草鞋という言葉があるけど、そんなの超越していて、見ている世界観のすごさを思った。
髙橋 いやいや、出資してもらってなかったら、つぶれてたかもしれないから。
北村 いやいや、とにかく継続してこられたことがすごいよ(笑)。

フィル・カンパニー取締役会長。1977年長野県生まれ、大阪育ち。一橋大学を卒業後、オリックス入社。2005年、土地活用事業のフィル・カンパニーを設立。2016年に株式を上場。その後、海外で別事業を展開、帰国して現職。

