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2025.07.10

フットサルリーグ改革。松井大輔「組織をピラミッドではなく、ボールのように丸くしたい」

就任2年目を迎えた日本フットサルリーグ(以下、Fリーグ)の松井大輔理事長は、フットサルの未来に大きな可能性を感じている。サッカーに比べて幅広い年代が気軽に楽しめ、屋内コートでは気候の影響を受けずにプレーが可能。アリーナ競技の特性を生かして、エンターテインメント性の高いイベントの創出を模索している。#1

メットライフ生命が新パートナーに

国内フットサルは2007年にFリーグが開幕した。女子リーグは2016年にプレ大会が開催され、翌2017年から本格的にスタート。2025~2026年シーズンは7季ぶりにタイトルスポンサーを迎えた。

2025年には、新パートナーの「メットライフ生命」と5年契約を締結。地域の活性化や発展を大切にする価値観が合致し、契約の後押しとなった。男子が「メットライフ生命Fリーグ」、女子が「メットライフ生命女子Fリーグ」となり、新シーズンが5月に開幕している。

松井理事長は「フットサルをフットボール文化のひとつとして定着させたい。Fリーグを盛り上げていくためには、地域を大切にされている企業とのパートナーシップが不可欠だと考えていた。心強いサポートを得てフットサルを通じた地域活性化を目指せることが楽しみ。理事長として、ファインゴールの手応えがあります」と意義を強調している。

サッカーに比べてコートが狭く、1チームの人数も少ないフットサルは老若男女が親しみやすいスポーツ。2000年代にはアイドルグループを中心に女性芸能人で編成されたチームによる大会が開催されるなど、ブームも起きた。

また、温暖化の影響を受けないアリーナ競技という強みもあり、健康増進や地域活性化の役割に対する期待は大きい。孤独や生きがいの喪失、健康リスクなど高齢化が進む社会が抱える問題を解決するひとつの手段になる可能性を秘めている。

松井理事長は「最近は温暖化の影響で春と秋がなくなって、暑いか寒いかになってきている。夏は暑すぎて外でサッカーができなくなってきた。冬は雪が降ったり寒かったりで外でできない。それなら室内でフットサルをやりましょう。老若男女が室内のアリーナで運動して、出会いやつながりを持ってほしい。ビジネスにもつながると思う」と大きなポテンシャルを感じている。

Fリーグのエンターテインメント化を進める

アリーナ競技では、バスケットボール男子のBリーグがここ数年で急成長を遂げた。全国各地にスポーツだけでなく、コンサートやイベントなどの開催にも適したエンターテインメント・アリーナを次々と建設。VIPエリアや音響設備の整った環境は、スポーツイベントの魅力を引き上げる効果もある。

松井理事長は「Fリーグのハーフタイムに、例えばコンサートやファッションショーなどをしてもいいと思っています。週末に多くの人々が集まれる環境をFリーグでつくっていきたい」と語る。

その構想を実現するために、Fリーグを風通しの良い組織にすることを意識している。理想に掲げるのはヘッドダウン型でもボトムアップ型でもない新たな意思決定方式。上下関係に対する意識を取っ払った“サークル型"とも言えるスタイルだ。

「ピラミッド型の組織はもういいと思っています。組織をピラミッドではなく、ボールのように丸くしたい。自分は(理事長という立場的で)上にいますけど、いろんな人の考えを取り入れて、丸になることで意思疎通を図ることが大事。問題が出た時に、いろんな人の力で解決できたらと思っています」

「プティ・ダ・プティ」(フランス語で少しずつの意味)をスローガンに掲げる理事長の任期は残り1年。現役時代にサッカーとフットサルの二刀流に挑戦したバイタリティーを生かし、既成概念にとらわれずに1歩ずつ改革を進めていく。

松井大輔/Daisuke Matsui
1981年5月11日京都府生まれ。9歳でサッカーを始める。2000年に鹿児島実業高から京都パープルサンガ(現京都サンガ)に加入。フランスのル・マン、サンテティエンヌ、グルノーブルなどで活躍し、ロシア、ブルガリア、ポーランドなどでもプレーした。2021年にY.S.C.C.横浜フットサルと解約し、2022年1月にはJ3のY.S.C.C.横浜にも加入し、サッカーとフットサルの二刀流に挑戦。2024年2月現役引退を発表した。横浜FCサッカースクールコーチと、浦和レッドダイヤモンズのアカデミーのロールモデルコーチなどを経て、2024年6月にFリーグ理事長に就任。

TEXT=木本新也

PHOTOGRAPH=SportsPressJP/アフロ

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