放送作家、NSC(吉本総合芸能学院)10年連続人気1位であり、王者「令和ロマン」をはじめ、多くの教え子を2023年M-1決勝に輩出した・桝本壮志のコラム。
「部下への説明がうまく伝わりません。伝えかたのコツがあれば教えてください」という相談をいただきました。
- 説明が「長く」「細かく」なってしまう
- ちゃんと伝えても、なかなか動いてくれない
- うまく伝わらず、説得力がないと感じてしまう
などの悩みを抱えるリーダーポジションの方も多いでしょう。
そこで今週は、約15年間、1万人の若者と向き合ってきた僕が心がけている「伝えかたのコツ」をシェアしてみたいと思います。
説明にも「サムネイル」をつける
まずは、「説明が、長く、細かくなってしまう」ときの改善法。
この15年で、僕の学校にも社会にもデジタルネイティブ世代がどんどん流入してきました。
彼らは、ネットコンテンツを選ぶとき、「サムネイル(プレビュー画像)」の興味度によって“見るor見ない”を決定しています。
この潮流をうけ、僕は「伝えたいこと」にサムネイルをつけるようにしました。
例えば、漫才の「声が出ていない生徒」に対して、「小さい!」と伝えても、同じ指摘が長々と続くだけ。
なので、「この教室が劇場だとして。僕の10列後ろに座っている人に届くような声を出してごらん」と“映像をイメージさせる”んです。
これは、コントロールの悪い野球のピッチャーに「ボール!」と言い続けるより、「あと3センチ」や「ボール半分ほど外れてる」と伝えたほうが、制球が定まるのと同じ。
「3センチ」や「ボール半分」によって修正のイメージが可視化され“取り組むべきタスクの解像度が上がる”んですね。
合わせて冒頭に「タイトル」をつける
サムネイルは、コンテンツに興味をもたせる「見出し(タイトル)」がセットなので、これも取り入れました。
これは「説明が細かくなってしまう人」には最適です。
例えば、友達から買い出しを頼まれたとき。「牛肉500グラムと、ソーセージ10本、カット野菜、あとマシュマロ……」と、細々と発注されるより、最初に「みんなでBBQに行くよ!」と言われたほうが、全体像がつかみやすくなりますよね?
これと同じで、「伝えたいこと」の冒頭にタイトルをつけることで、相手に“興味と聞く姿勢”が生まれます。
ちなみに僕は、「タモリさんに聞いた3つのトークの基本があって……」や、「仕事のスピードが上がるルーティンがあるんだけど」「僕が社会に出てやってしまった3つの大失敗」など、“①共通認識のある人物の話、②知って得したこと、③自分の大失敗”の3つを、よくタイトル化しています。
結局、若者も大人も「損得」で動く
前述の②「知って得したこと」は、とくに「伝えても、なかなか部下が動いてくれない」と悩んでいるリーダーにおすすめです。
結局、人は「損得」で動くので、「それをやってみると得するかもな」と思わせることが一番です。
例えば5年前、「目上の人に挨拶する意味が分からない。だからしたくない」という19歳の生徒がいました。
そこで僕は、次のような4コマの流れで伝えてみました。
①実は、「挨拶」って一番ラクな発明かもしれない。
②もし挨拶がなかったら、目上の人に会ったとき、「いいネクタイしてますね」とか「大谷がまた打ちましたね」とか、いちいち気の利いたトークが必要になるよね?
③挨拶は、そんな面倒な会話を吹っ飛ばせるアイテム。
④しかも、このアイテムは、気になる異性など、お近づきになりたい人にも使える「身につけておくと得するモノ」じゃないかな?
彼は「そっか、得ですね!」と膝を打ち、その日を境に気持ちいい挨拶をする生徒になってくれました。
「誰かを得させること」は、めぐりめぐって「自分が得すること」に必ずなっていきます。
あなたなりの経験と視座で、部下や若者を「得するかも」に導いてあげてください。