放送作家、NSC(吉本総合芸能学院)10年連続人気1位であり、王者「令和ロマン」をはじめ、多くの教え子を2023年M-1決勝に輩出した・桝本壮志のコラム。
「人に好かれるには、どうすればいいですか?」という相談をいただきました。
今3つの学校の講師をしていますが、この質問は毎年されます。とくに、入社、入学、異動など、新しい顔ぶれに出会う4月が多いですね。
そこで今週は、売れっ子芸人、国民的アイドルをはじめ、数多くの「人気者」を間近で観察してきた僕が、「好かれる人のヒミツ」を、ゆっくりほぐしていきたいと思います。
「人に好かれるゲーム」は終了。「好くゲーム」を始める
まず、この手の相談をされたとき、僕は生徒らに「いろんな努力があるけど、“人に好かれようとする努力”が一番ムダな努力やと思ってるよ」と答えます。
明石家さんまさんが「好きな芸人ランキング」と「嫌いな芸人ランキング」で、どちらも上位に入っているように、私たちがSNSに「ランチの写真」を載せても、好いてくる人も、嫌ってくる人もいるのは当然です。
けっきょくは“相手の見方、性格、今いる環境しだい”だし、万人に好かれる魔法なんて存在しません。
そんな無理ゲーにコツコツ時間を割くより、リバーシブルの服をくるんと回すように、思考をくるんと逆にして“自分がどれだけ周りを好きになれるか?”という新ゲームを起動したほうが倍がけで得をします。
ちなみに、さんまさんをはじめ多くの人気芸人が「職場に1人は好きな人をつくっておくと仕事が楽しめる」と言っています。
声が好き、ファッションが好き、笑い方が好きなど、何でもいい。「好かれたい」と気を張るより、「好きを増やす」で気楽にゲームする。このスタンスのほうが、かえって周囲から好かれたりするんです。
好かれる人は、「〇〇すのが上手」で「〇〇れる人」です
さて、「〇〇」は何だと思いますか?
ちなみに生徒に出題したところ、もっとも多かったのは“「はなすのが上手」で「たよれる人」”でした。
が、残念ながら答えは違います。
好かれる人は“「ゆるすのが上手」で「わすれる人」”なんですね。
志村けんさん、嵐、トム・クルーズまで、これまで数多くの「一流」と打ち合わせや会議をしてきましたが、好かれる人は“小さなことにこだわらない人”がとても多いです。
これを人間関係のデフォルトにできる人は、他者のミスや能力不足にも寛容になれるので、おのずと“許すのがうまい人”になり、些細なことも気にしないので“忘れるのがうまい人”という品格が手に入ります。
ちなみに、10年以上も「好感度ランキング」で1位になった綾瀬はるかさんも、以前番組で「悩みごとは……、悩んでいることがあるのに、いつの間にか忘れちゃうことです」と、語っていましたね。
究極は「もっと自分を好いて投資する」です
さらに、「人に好かれている一流」にはもう一つ共通点があります。
それは“「自分のことを嫌いな人もいる」ということを知っていて、それを受け入れている”という点です。
一流と呼ばれる芸能人、起業家、クリエーターで「人望がある」と思われている人たちは、けっこう嫌われていたりするのですが、それすらも“忘れることができる”のです。
「忘れる」の報酬は「時間」です。
くよくよ悩まないので、そのぶん時間のインセンティブが付与されるわけです。
彼らは、その時間を使って、新たなファッションアイテムを探したり、筋トレに励んだり、英会話を習ったりしています。
この「おしゃれ、筋トレ、スキルアップ」はすべて“自分を磨いて、より自分を好きになるための行動”です。
そう、「好かれる人」は“自分を好きになる投資”ができる人でもあり、“好きなことをして、そんな好きなことをしている自分の姿を見て、好いてくれる人が現れたらラッキー&理想的な出逢いになる”ということを知っている人でもあるんですね。
つらつら好きなことを書き綴ってみた今回。これを読んで好いてくれる人がいたらラッキー。もちろん嫌いな人も歓迎します。では、また来週。