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2023.12.04

新モビリティが登場!? 2025年誕生「トヨタアリーナ東京」に見る、トヨタアルバルク東京の未来構想

東京・お台場で新たなプロジェクトが動き出だしている。新アリーナの建設「TOKYO A-ARENA PROJECT」だ。2023年9月にはアリーナの正式名称「トヨタアリーナ東京(TOYOTA ARENA TOKYO)」を発表。そのプロジェクトの中心人物の1人である、トヨタアルバルク東京の社長・林邦彦に次世代アリーナと期待されるに新アリーナについて聞いた。インタビュー連載第3回。【第1回第2回

トヨタアルバルク東京の社長・林邦彦

チャレンジしないとゲインはない、ただし驕りは禁物

知識ゼロの商社パーソンからスポーツビジネスへと飛び込み、2度のリーグ優勝を経験。チームを強豪へと導き、これまでクラブ経営に邁進してきたトヨタアルバルク東京の社長・林邦彦は、以前からクラブ経営とアリーナ経営の一体化を考えていたという。

そんな林に、2023年秋から本格始動した新アリーナ「トヨタアリーナ東京」建設プロジェクトの全貌を聞いた。

——林の仕事の3原則「現場主義」「論理的思考」「逃げない」。改めてお聞きしますが実際の困難な局面での使い方が大事だと思います。

3つの原則はひとつずつではなく、揃っていることがとても重要です。

あと大事なのはチャレンジしないとゲインはないということ。あの山の先はどうなっているのか? 一度行ってみないと谷底なのか、楽園なのかはわからない。

どうも私は厳しい状況や現状がヤバいという状況であればあるほどファイトが出てくるタイプみたいです(笑)。ずっと安全な場にいることは衰退につながる。ちょっと危険を犯してでもチャレンジしなきゃいけない。

——チャレンジをして結果が出ると、今度は逆に慢心なども生まれますが。

おっしゃる通りで、驕りは禁物です。

これはアルバルク東京のような強豪といわれるクラブチームや三井物産といった大企業にいると、 より顕著になるのですが、周囲の人たちがそのクラブや会社を外形的に評価してくれますが、それはその団体が評価されているだけで私個人がすごいわけではない。

クラブや会社の世間の評価と自分の評価は一緒ではないと常に肝に銘じています。

つい勘違いをして驕っていると大きなしっぺ返しをくらいますし、そのような人物は信用も失墜し、周りを見失う非常に危険なものであると考えています。

自信やプライドは地道に努力し続けた結果として表れるもので、驕ってる所には絶対に宿らないものと思っています。

新たなモビリティの活躍に期待

そう語る林が今、中心となって動いている大プロジェクトがある。それが、2025年秋に開業予定のトヨタ自動車、トヨタ不動産、トヨタアルバルク東京が3社協働で推進する新アリーナ「トヨタアリーナ東京(TOYOTA ARENA TOKYO)」だ。

場所は東京都江東区、お台場エリア「青海」。「可能性にかけていこう」というコンセプトのもと、以下の3つのテーマを掲げている。

  • 次世代スポーツエクスペリエンス——もっと観たくなる、やりたくなる。
  • 未来型モビリティサービス——もっと便利になる、楽しくなる。
  • 持続型ライフスタイルデザイン——もっとつながる、変わり続ける。

以前からクラブ経営とアリーナ経営の一体化を考えていたという林に、2023年秋から本格始動した新アリーナ「トヨタアリーナ東京」建設プロジェクトの全貌について迫った。

——さて2年後の2025年秋、お台場エリアの青海ですが、トヨタのショールーム施設メガウェブの跡地に次世代アリーナ「トヨタアリーナ東京」が誕生します。

以前から私はクラブとアリーナの一体経営をしたいと考えていました。

プロクラブとアリーナ、これは言い換えると役者と劇場といったように、切っても切り離せない関係性が相互にあると考えています。

そしてここまでホームアリーナを転々としてきましたが、トヨタアリーナ東京はクラブにとっていわゆる“終の棲家(ついのすみか)”となりますから、 将来に向かって継続して運営をしていかなければいけません。まず運営をするために新しい部署、アリーナプランニング部をつくりました。現在は出向社員3名を含め合計15人で活動しています。

——現在、仕事のなかでどのくらいの時間をトヨタアリーナ東京に割かれているのでしょうか。

プロジェクトが発足した2年前は、私のワークロード(仕事量、仕事負荷)からするとかなりの時間を使っていました。現在はアリーナプランニング部が稼働しているので、以前のように、このプロジェクトでてんてこ舞いということはなくなりました。

このプロジェクトのキーワードの一つに「モビリティ」があります。施設間や駅への移動にトヨタの技術・サービスを導入していきたいと考えています。

——新アリーナのテーマのなかの「未来型モビリティサービス」について、実際はどのように考えられていますか。

トヨタアリーナ東京の近隣にはテレビ朝日さんの劇場・ホールを中心とした複合型エンタテインメント施設や、コナミさんの次世代研究開発拠点など建設が予定されています。これらを含めた施設間での移動を、最新鋭のモビリティでつなぐことができたら地域、施設価値が高まっていくと考えています。

ただ現在は移動のインフラが整っていないので、地域内を回遊するといった感覚からは一寸かけはなれている。

トヨタアリーナ東京はりんかい線の東京テレポート駅から徒歩2〜3分、ゆりかめもの青海駅からは徒歩1分と、非常にいい立地にありますが、川をはさんで隣にあるテレビ朝日さんの新施設までは徒歩10分ほどかかりますし、あるいは有明アリーナや東京ガーデンシアターへ行くとなった場合、タクシーやバス、電車に乗り、さらに降車駅から徒歩で行かなければならず、各施設が連携しているとは見えず、同じ地域にありながら孤立しているようにも感じます。

タクシーにも限りがあり、また、バスもイベント時を中心に混雑が常態化するなか、交通インフラを整え、いろんなモビリティを活かして連携できないかという課題があり、トヨタ自動車だからこそできるものもあるのではと考えています。

そこでトヨタ自動車とも協力体制をしき、現在、専門部署がさまざまな構想を立て色々な角度から検討の段階に入っています。

法整備も含め、そう簡単に世の中に出現することはできませんが、便利、楽しい、快適な新たなモビリティサービスの登場をぜひ期待していてください。

——なるほど。お台場ならではの交通事情や課題があるようですね。今はその課題に一つ一つ向き合っているフェーズでしょうか。

はい、そうですね。交通の便に加えて、さまざまな問題があります。

立地は東京・お台場エリアの青海。東京に住んでいる方やお越しになられた方はわかると思いますが、イベントスペースとしては非常に有名な場所です。インバウンドの方々もたくさん訪れていて盛り上がっていますが、単発イベントを含めてシーズン性が高いとも思っています。

夏休みの期間は多くのイベントが開催され、たくさんの来場者が訪れますが、時期が終わると更地に戻ってしまう。さらに近接する羽田空港の影響から飛行機の航路に入っているので高さ制限があり、タワーマンションや高層ビルなどは建設ができません。

また、東京都が払い下げた条件付きの土地なので、現在の所有者には契約当時の用途条件が付いており、原則その条件の下でのプランニング、開発をしなくてはなりません。

——テレビ朝日やコナミなど「点」で存在していた施設を「線」へ変える取り組みに、ある意味、お台場エリアの復活のビジョンを感じます。開発から生まれる収益性、同時に地域への貢献など考えるべき項目は山のようにあると思います。

このエリアは潜在的収益性があると思います。ここまで東京臨海副都心構想に基づきIR等開発計画、構想などは噂も含めて数々ありますが、なかなか動かないまま長い時が経ち、いわゆるずっと塩漬けになっている土地も多くあるように思えます。

プロジェクトでは地元住民との話し合いも重要視しています。(東京都、ゆりかもめ、サントリー、フジテレビ、NTTなどが所属する)東京臨海副都心まちづくり協議会のみなさんとも連携して進めています。

この青海・有明、お台場エリアは今後建設計画も多く、その計画もすでに公表されており実現性が高いです。

今後は各施設、地域と連携を図ることで有機的な価値を打ち出していければ、非常にポテンシャルの高い地域だと考えていますし、その実現がすぐそこまで来ている実感があります。

ただ、現状のように一時的にしか使われていないのはもったいない。多くの人がこの地域に往来してほしい。人の往来が多くなれば、地域活性が促進し、将来的に進出したいという企業が出てくる可能性が高まる。

我々がアリーナを、スポーツと音楽とさまざまなイベントの力で、人の往来を活性化するマグネットみたいな存在にしていきたいと考えています。

エナジーやサクセスストーリーの原点に

——バスケットボール以外の競技や音楽ライブなどの他のコンテンツも考えているのでしょうか。

一番目のテーマにある「次世代スポーツエクスペリエンス」ですが、日頃なかなか会場を借りることができない競技や選手、例えばパラ競技やスペシャルオリンピックスの会場にも広く門戸を開いていきたいと考えています。

車椅子バスケなどは体育館の床が傷むなどの理由から、会場を貸してもらうことが難しいとよく耳にします。

そんな状況を少しでも解消するためにもトヨタアリーナ東京を使ってもらう。最新設備の整ったアリーナでプレーすることで、今後も頑張ろうというエナジーが沸き起こってくれればいいです。

メインアリーナの使用料金が予算に合わない場合も、その大会の意味付け、世の中へのメッセージも含めて使用料を検討することも考えていますし、併設するサブアリーナを使うなど多様な取り組み方で、このアリーナの基本コンセプトである「可能性にかけていこう」の実現をしていきたいと思っています。

トヨタアリーナ東京は、スポーツを中心に運営して行く意思、構想はありますが、音楽業界での将来を夢見るアーティストも大勢いると思いますので、ライブコンサートなども開催予定です。

例えば、将来性豊かな若手アーティストに対しては初回限定で優遇策を検討するなどして、積極的に利用してもらいたい。最新鋭のアリーナでのコンサートを経験することで「今度は有名になって、力をつけてこの場に帰ってこよう」と活動のモチベーションになり、努力を重ねるきっかけになればいいなと。

「可能性にかけていこう」のコンセプトに沿った運営をすることで、 トヨタアリーナ東京がアーティストのサクセスストーリーの原点になってもらえたらとも考えています。

トヨタアルバルク東京の社長・林邦彦
林邦彦/Kunihiko Hayashi
1964年東京都生まれ。同志社大学卒業後、三井物産に入社。2012年三井物産フォーサイトへ出向し、広島東洋カープ、中日ドラゴンズのスポンサーシップ・マーケティング業務に従事する。B.リーグ開幕の2016年、トヨタアルバルク東京の社長に就任。小学校4年生からサッカーを始め、社会人では29歳まで関東サッカーリーグ(当時。現・関東サッカーリーグ2部)の「エリースFC東京」でプレーした経歴を持つ。

▶︎▶︎第1回インタビュー【Bリーグアルバルク東京を強豪へと引き上げた異色社長の組織論】

▶︎▶︎第2回インタビュー【アルバルク東京をBリーグ強豪へと導いた、リーダーの3つの掟】

TEXT=上野直彦

PHOTOGRAPH=鈴木規仁

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