Uber Japan モビリティ事業 ゼネラルマネージャー山中志郎と明治大学理工学部教授 SEQSENSE Co-Founder 黒田洋司。マサチューセッツ工科大学(MIT)アイスホッケーチームでしのぎを削りあったお互いのエピソードを紹介! 連載「相師相愛」とは……
お互いに、遊びの記憶しかない
山中 マサチューセッツ工科大学(MIT)への留学時代にご縁をいただいて。
黒田 日本人会の幹事役をされていましたよね。忙しい受付役もこなされていて。
山中 アイスホッケーの日本人チーム、SUSHISでも一緒にプレーしました。
黒田 弱小チームでしたね。ホッケーになっていなかった。うまい人もいたけど、他大学から借りてきた人だったり(笑)。
山中 他にもたくさん一緒にやりました。ソフトボール、スキー、スカッシュ。
黒田 ヨット部の人にヨットに乗せてもらったこともあった。
山中 印象深いのがゴルフです。
黒田 研究ばかりしていたから、ゴルフもやったことがなくて、どうにも苦手だったなぁ。
山中 さすが研究者だと思ったのは、妥協がないこと。サムアダムス(ボストンの地ビール)を飲みながら、ボールが曲がる理由を科学しようとされてて(笑)。
黒田 うちで、たこ焼きパーティもやりましたね。楽しかった。
山中 考えてみたら、勉強の話が出てこない(笑)。同じ工学部でしたけど、専門が違いましたし。でも、やっぱりまじめで一途だな、と感じていました。
黒田 僕は見るからに賢い人だな、と思っていましたね。いつも遊んでいて、いつ勉強しているかわからない。ふたつの修士号を目指すダブルメジャーだったのに、遊んでるところしか見たことなかった(笑)。
山中 いや本当によくつるんでいましたよね。やがて家族ぐるみのお付き合いになって。
黒田 研究室ばかりで過ごしていた僕を、よくぞあちこち連れ出してくれた、と妻は感謝しているんですよ。
山中 そんな奥さまと黒田さんと3人で、2月から明治大学の社会人向けに講座を持つことになりましたね。
黒田 詳細が何も決まっていなかったのに、やりませんかと聞いたら、すぐにOKをくれて。
山中 フタを開けて、プレゼンテーションがテーマになったと聞いて仰天したんですが(笑)。奥さま、アナウンサーですから、みんなでいい講座を作っていけたらと思っています。
黒田 それにしても、すごいキャリアですよね。人あたりもいいし、信頼感もあるし、おしゃべりもうまい。見習いたいです。
山中 何をおっしゃいますか。研究者としていつも面白そうなことをなさっている。研究領域は実は憧れだったんです。
黒田 じゃあ今度、たまには真面目な話もやりますか(笑)。
山中 MIT時代もそうでしたけど、やっぱり社会の一歩先を見ているのが研究者です。まさに最先端の研究をされていて。今は聞けば、共同創業者として会社も始められていて。テクノロジーを使って、人手不足という社会問題の解決に取り組もうとされている。かつては、いずれ起業されるなんて、まったく想像もつかなかったです。
黒田 MIT時代に高速無人運転車の研究をやっていたのですが、この領域は大資本が出てくると思った。それで同じ技術を使って、自動車ではない、もっと身近な場所で働くロボットを、ということで自律移動ロボットによる警備システムを開発したんです。これで、夜中に働かなくていいでしょう。
山中 警備領域は、人手不足で困っているんですものね。すでに高齢者が多いわけですが、募集をしても、採用ができない。
黒田 実際には技術をどう活かそうかと考えて、警備領域に行き着いたんですけどね。
山中 ビジネスの人たちは、これから何が売れるか、から発想してしまうんですが、科学者は技術から発想する。素晴らしいと思います。
黒田 アメリカでスタートアップが次々に出てくるのを見ていて、これは日本は置き去りになるぞ、という危機感もありました。でも、もしかして、仕事でもつながったりするかな(笑)。
山中 たしかにグルッと回って、近くにいるかもです(笑)。
黒田 今度じっくりと(笑)。
■連載「相師相愛」とは……
師匠か、恩師か、目を掛ける若手か、はたまた一生のライバルか。相思相愛ならぬ「相師相愛」ともいえるふたりの姿を紹介する。