「DON’T CRACK UNDER PRESSURE」を掲げるタグ・ホイヤーのブランドアンバサダーとしても知られるテニスの大坂なおみ選手。ブランドと共鳴し合うトップアスリートの精神世界に迫りたい。
自分を探求して、もっと人としての自信をつけたい
2022年9月に開催された東レ パンパシフィックオープン(PPO)は2回戦で棄権を選択した大坂なおみ選手。人生、上手くいく時もあれば、いかない時もある。ビジネスパーソンもたびたび直面する「逆境」を、大坂なおみ選手は幾度となく乗り越えて、数々の栄冠を摑んでいる。
「逆境は、当然そのなかに身を置いている瞬間は困難ですが、乗り越えた向こうには、必ずよりよい自分が待っています。自分が試されている、そして、それは必ず越えられると信じて向き合っています」
力強い言葉が並ぶ。そのために実践していることはメンタリティのキープだという。
「部屋の照明を落として、雨音や波音をイヤホンで聴きながら瞑想しています。そして、人生をポジティブに思い描き、“私は何がしたいのか”にフォーカスを当てるのです」
壁にぶつかった際、まず自分自身に矢印を向ける。これが、強さの源泉だという。
「東レPPOは、私の好きなトーナメントのひとつで、ここでプレイしたい気持ちは強かった。さまざまな要因があって、棄権を決断しましたが、今は前を向くしかありません」
今回の棄権とて、簡単な決断ではなかったようだ。こうした逆境のなかでモチベーションをキープすることは難しく思える。
「勝つためには、自分自身をよく知ることが重要。成長したいという気持ちこそが私を動かす原動力となっています」
もちろん、時にスイッチをオフにすることも大切だという。
「家族や友人と過ごす時間は、そう多くないですが貴重です」
一時期、苦しんだこともあったが、彼女にテニスがもたらした恩恵は少なくない。
「テニスは、私の大きな一部。ひと言では言い尽くせません。グランドスラムを獲得したり、自分を成長させてくれたり、多くの人と関わらせてくれた。感謝してもしきれないでしょう」
今は、その「成長」の先を見据えているようだ。
「テニスだけにこだわらずに、人間としての自信をつけていきたい。テニスで培ってきた自分の殻を破っている最中です。今まさに自分の幅が広がっているのを感じています。タグ・ホイヤーとのパートナーシップも同様。“時計作りで何がしたいのか”が明確で、時計作りに携わる多くの人のパッションを感じます。学ぶことが多いですし、出会えた私は幸せですね!」
Naomi Osaka
プロテニスプレイヤー
1997年大阪府生まれ。WTAツアーシングルス7勝ほか、アジア出身者初の世界ランキング1位獲得、日本人初となるグランドスラムのシングルス優勝など、輝かしい記録を誇る。