1972年の設立以来、一貫して日本(福井県・鯖江)製の高品質なアイウェアを生みだし続ける「EYEVAN」。その眼鏡をかけた熱き男たちを写真家・操上和美が撮り下ろす連載「男を起動させる眼鏡」#46。【過去の連載記事】
PERSON 46
楽天グループ 代表取締役会長兼社長/三木谷浩史
「眼鏡は機能重視。しかし眼鏡は新しい一面を引きだすものでもある」
「普段から眼鏡をかけますよ。伊達メガネも持っています。眼鏡は7~8本くらい所有していますが、使うものはだいたい決まっていますね。最初に眼鏡をかけ始めたのは中学校の頃で、当時は遠視で勉強するような近くを見る時にかけてました。その後はずっと眼鏡をかけていませんでしたが、社会人になってコンピューターを使うようになってからは、再び眼鏡生活に。当時は実用品として眼鏡が必要だったのでファッションという意識はありませんでしたね。でも昔の写真を見ると、けっこう眼鏡が似合っていたと思いますよ(笑)。
アメリカから帰ってきてからは、コンタクトレンズとの併用が増えました。現在の視力の状態だとコンタクトレンズの方が都合はいいけど、目が疲れてしまう。最近は優秀な遠近両用レンズも出てきましたし、再び眼鏡に戻してもいいかもしれません。撮影していただいたこの眼鏡もしっくりきて気に入りました」
ファッションも含め、身に着けるものは基本的に機能性を重視するという三木谷浩史さんは、眼鏡も軽やかなタイプを好む。アイヴァンの「Webb」は、ボストンウェリントン型のプラスティックフレームで、しっかりとしたつくりながら、かけ心地に優れる。そしてテンプルの芯には、クラシックカーからインスピレーションを受けた柄を彫り込むなど細部へのこだわりも深い。
「仕事中は眼鏡をかけることもあるので、一番重視するのはかけ心地。そこにファッション性も加わるとよいですね。この眼鏡には知的な雰囲気も感じました。仕事柄、パーティーやレセプションが多いですし、政財界の要人にあうことも多い。そういう時にこの眼鏡をかけたら、相手に与える印象も変わってくるかもしれません。眼鏡をひとつ加えることで、柔らかな表情にもなりますから」
そんな日本の素晴らしい技術が活かされた眼鏡だが、取り巻く環境には心配もある。
「例えばiPhoneの部品の多くが日本製だということはあまり知られていない。製造者が黒子に徹するという理念は素晴らしいことですが、そうするとどうしても安くみられてしまう。例えばフランスはブランドづくりが上手いですよね。LVMHやケリングのオーナーに聞くと、ブランドは“家紋”だと言います。継承されていくものとして、ブランド戦略を強く意識している。その一方でイタリアのミラノで大きなグローサリーに行ったら、一番安いワインはフランス産なんです。高級品はイタリアワインで、イタリア人はそれを飲む。だから日本人も、もっと日本のブランドに対して誇りを持っていくべき。やっぱり日本人がこだわりを持ち率先して愛さないと、海外からも一目置かれるようにはならない。そしてよいものには、相当な対価を払うという意識が必要ですよね」
日本のプロダクトを愛すること。それは世界が認めるブランドをつくる第一歩になる。
Hiroshi Mikitani
1965年神戸市生まれ。日本興業銀行(現みずほ銀行)を経て、'97年に楽天を創業し、同年「楽天市場」を開設。現在はコマース、デジタルコンテンツなどのインターネットサービス、クレジットカード、銀行、証券、スマホアプリ決済などのフィンテックサービス、モバイルサービスやプロスポーツといった多岐にわたる分野で70以上のサービスを提供している。世界30ヵ国・地域の拠点において事業を展開するグループ企業となっている。
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