テレワーク作業など自宅での時間が多いなか、YouTubeトレーニング系動画の勢いはとまらない。3回目となる今回は、YouTubeにとどまらず、宅トレを文化にすべく、「Marina Takewaki」チャンネルでさまざまな活動を展開する竹脇まりな夫妻に、今後の展望を聞いた。【特集 仕事に効くYouTube】
決定権を明確にしたことで前進スピードがアップ
夫婦二人三脚で、YouTuberとして頂点に上り詰めた竹脇まりなさんと夫・ダーウィン氏。取材中も仲睦まじい様子のふたりだが、当初は動画の方向性や企画をめぐり、衝突することもたびたびあったという。
「僕も体を動かすのが好きで、パーソナルトレーナーの資格も持っているので、いろいろアイディアが浮ぶんです。それが、まりなの目指すものと違ったりして、意見がぶつかることもありましたね。そういう時は、徹底的に話し合う。そうすることで、お互いの考えを理解できますし、双方の考えを取り入れた、もっといい案が浮かぶこともありますから」(ダーウィン)
「MARINESSという会社を設立し、役職として、それぞれの役割を明確にしたのも良かったと思います。彼は社長として、経営の実権を握り、企画やブランディング、YouTubeのプロデュースを担当し、私は、演者兼撮影兼編集と、視聴者の方々とのコミュニケーション、商品企画やディレクションを担当する。お互いの領域をはっきり決めたことで、ぶつかることは圧倒的に少なくなりました」(まりな)
会社を設立し、さらなる飛躍に向かって歩き出したふたりだが、予想以上の“竹脇まりなブーム”に翻弄されたこともあると明かす。登録者数が100万人を超えた頃、令和のシンデレラ・ストーリーとして、まりなさんはマスコミで、一躍時の人に。トレーニング以外のオファーが舞い込むようになったのだ。
「ありがたいお話ではあるのですが、雨が降るようにいろんなお仕事の声がかかってきて、戸惑ってしまったんです。嵐の中で、私はこれからどこに向かうんだろうって。そんな時に、彼が、私たちのミッションとして提案してくれたのが、『宅トレをブームから、“文化”に』『宅トレが当たり前の世界に』でした。それがはっきりしたら、自分が進むべき方向が見えてきて、どんな活動をすべきなのか、迷いがなくなりましたね。今も、いろいろお声をかけていただきますが、判断基準は、その仕事が、宅トレを当たり前の世界にすることにつながるかどうか、です」(まりな)
一発屋で終わらないためにも、確固たるミッションが必須
「100万人から200万人、300万人と、登録者数が増えるにしたがって、見える景色が変わっていきました。仕事のオファーの規模も、社会に与えるインパクトも、大きくなってきたと実感しています。ただ、明日はどうなるかわからないのが、YouTubeの世界。大ブレイクしていたのに、いつのまにか消えてしまった方々も少なくありません」(ダーウィン)
実は、『Marina Takewaki』チャンネルも、ステイホームが解除された時期に、再生数がガタンと落ちたことがあったそう。その際、今後も注目してもらうにはどうしたらいいか、真剣に考え、広くリサーチしたという。
「僕が出した仮説は、一過性のブームで終わってしまうのは、得意分野以外の仕事を受けるからではないかということ。ずっと第一線で活躍されているようなマルチな才能を持つ芸能人と違い、僕らは凡人です。だから、トレーニング以外のことに手を出しても、うまくいく可能性は低い。むしろ、ブランドの価値を下げてしまうのではないかと考えたのです。そこで行き着いたのが、『宅トレをブームではなく、“文化”に』『宅トレが当たり前の世界に』という、明確なミッションを設定することでした。ひとつのものを明確に貫いたからこそ、今、宅トレ関連で、さまざまな仕事が展開できているのだと思います」(ダーウィン)
その言葉通り、'21年からMARINESSブランドでは、ウェアやトレーニンググッズ、インテリアにもなじむプロテインなど、多種多様なアイテムをリリース。どれも、宅トレのモチベーションをあげてくれるものばかりだ。
「経産省の調査によると、国内でスポーツジムに加入している人たちは約260万人で『Marina Takewaki』の登録者数の方が多いんです。おそらく潜在人口は、もっと多いでしょうから、宅トレが、ブームではなく文化になる可能性は、十分あると思います。それに、宅トレが普及することで、日本人の健康寿命が延びるかもしれないし、医療費の抑制につながるかもしれない。宅トレを文化にすることは、社会貢献にもなると考えています。宅トレが文化、趣味のひとつとして成立するには、ウェアやギア、インテリアグッズなど、環境を整えることも必要。そういった思いで、宅トレに特化した商品の開発を進めています」(ダーウィン)
そう説明するダーウィン氏の隣で、まりなさんは「宅トレを広める先には、『もっと自分を好きになってほしい』という気持ちもあります」と、打ち明ける。
「私にとって宅トレは、自己肯定感を高めるための、ひとつの手段。極端な話、トレーニングでなくても、趣味やゴルフ、仕事をがんばるでもいいんです。私たちの活動をきっかけに、『ありのままの自分が好き』と、自分を誇れる人が、ひとりでも増えてくれれば」(まりな)
YouTubeから始まった、「宅トレを文化に」という一大プロジェクト。ふたりの挑戦に、今後も注目していきたい。
竹脇まりなさんイチオシのMARINESSヒットアイテム!
■夫婦二人三脚でブルーオーシャンを開拓! 宅トレ系YouTubeで人気の竹脇まりな
■自分をさらけ出してトレーニング系YouTuberのトップに! 竹脇まりなの軌跡
Marina Takewaki
1989年秋田県生まれ。宅トレクリエイター。“宅トレを当たり前の世界に”をミッションに夫のダーウィン氏と共に宅トレの魅力を広めるため、YouTubeや宅トレブランドMARINESSの運営をはじめ、様々な活動を行っている。YouTubeチャンネルでは、自宅で楽しくできるフィットネスやダイエット料理動画を発信しており、チャンネル登録者数は300万人を突破。
Darwin
1983年アメリカ・サンフランシスコ生まれ。MARINESS代表取締役社長。米国の大学で広告マーケティングを学び、その後14年間外資系金融会社にて営業、企画、キャピタルマーケッツ業務に従事。2020年よりYouTube「Marina Takewaki」チャンネルで企画及び全体の運営を担う。'21年、MARINESSを設立し「宅トレを当たり前の世界にする」ため、宅トレ用品及び健康食品の企画・開発などさまざまな活動を行なっている。