1972年の設立以来、一貫して日本(福井県・鯖江)製の高品質なアイウェアを生みだし続ける「EYEVAN」。その眼鏡をかけた熱き男たちを写真家・操上和美が撮り下ろす連載「男を起動させる眼鏡」#44。【過去の連載記事】
PERSON 44
歌手・俳優/福山雅治
「黒いレスポールに黒い眼鏡という鮎川誠さんのスタイルに強く憧れた」
「基本は裸眼の方が楽。けれど、映画を観たり、本を読んだり、クルマを運転する際は眼鏡をかけるようにしています。そういう点では眼鏡は実用品ですね」という福山雅治さん。しかし自身の公式インスタグラムなどでは、眼鏡姿のプライベートショットを度々見せている。
「僕らが中高生になった頃は、眼鏡がファッションアイテムとして少しずつ浸透していった時代だと思うんですよね。僕が眼鏡を初めてかけたのは、おそらく中学生くらいの頃で伊達眼鏡でした。その頃憧れていたのは鮎川誠さん。ザ・ロケッツのアルバム『ROKKET SIZE』のジャケ写を見てカッコいいなと思って、似た眼鏡を探しました。自分にとってのギターヒーローでしたし、黒いレスポールに黒い眼鏡という鮎川さんのスタイルに、強い憧れを抱いていました。僕にとって眼鏡はファッションのひとつでしたが、かといって今でも眼鏡を“アイウェア”って呼ぶのは気恥ずかしいです(笑)」
ちなみにステージ上ではコンタクトレンズを使用するが、それは眼鏡だとピントが合う世界が切り取られてしまい、特にギター演奏時に手元のハイポジションが見切れてしまうから。そのため必要に応じて裸眼、眼鏡、コンタクトレンズを使い分けるようにしている。眼鏡をかけることが何かのスイッチになるということはないそうだが、こと作品中にかける眼鏡に対しては、かなり意識して選んでいる。
「ガリレオシリーズで僕が演じている湯川先生は天才物理学者というキャラクターで眼鏡をかけることが多い。最初は外したシーンもありましたが、いつからかほとんど眼鏡はかけっぱなしになりましたね。作品における大切な道具なので監督と毎回相談し、時にはフレームを交換するなど改造をすることもあります。特にガリレオシリーズ最新作の映画『沈黙のパレード』での湯川先生は、ほぼ眼鏡姿ばかりですね」
ガリレオに登場する湯川学はリムレスの眼鏡で知的さを醸しつつ、眼鏡の存在感は抑えている。一方今回福山さんが選んだのは、アイヴァンの新レーベル「E5 eyevan」の「p6」。ウェリントン型のフレームは、圧縮アセテートという高密度プラスティック素材を使用しており、薄くて軽い機能的な眼鏡に仕上がっている。
「この作品はかけ心地で選びました。かけていて楽なものじゃないと最終的にはかけなくなるんですよね。この眼鏡は新しい素材を使っているということで、非常に軽くてかけ心地がいい。実際にかけた瞬間からよくできてるなと思いました。ただ気に入っているからといって、同じ眼鏡をかけ続けることは避けています。眼鏡はかけるだけで人の顔の印象を左右するほど強い存在。その眼鏡をかけていないとその人だと認識できなくなるほど。だからこそ、いろいろなタイプをかけるのが眼鏡の楽しみ方だと思います」
最近は、共演者や友人に眼鏡をプレゼントすることもあるという福山さん。
「その時、自分が使って気に入ったものを差し上げるというパターンが多いですね。それこそウイスキーなど自分の好きなものなら、自信を持ってプレゼントできますから。そして眼鏡もそういったもののひとつになっています」
俳優と音楽の両方で、数十年もトップランナーであり続ける福山さん。彼にとって眼鏡は、ファッションであり、実用品であり、自分の好きを表現するものとなっている。
Masaharu Fukuyama
1969年長崎県生まれ。’90年「追憶の雨の中」でシンガーソングライターとしてデビュー。音楽活動のほか、俳優、写真家、ラジオパーソナリティなど幅広い分野で活躍。2022年9月16日に主演を務めるガリレオシリーズの映画『沈黙のパレード』が公開。翌17日には同シリーズの完全新作SPドラマ『ガリレオ 禁断の魔術』(フジテレビ系)が放送される。