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2022.07.29

普通の学生が、顧客リスト2300人の"リアル正直不動産"になった理由

28歳にして年間300件以上を売り上げる"リアル正直不動産"こと、山根コンサルティング代表・山根陽一。「ごく普通の学生だった」という彼は、なぜ不動産業界を目指し、そしてそこで成功することができたのだろうか? Vol.1/Vol.2/Vol.3

物件下見

もっと自由に、思いどおりに生きたい

山根陽一は両親が教師という家庭で育った。小学2年生からサッカーを始め、プロに憧れていた時期もあった。

「子供の頃に憧れていたのは、ベッカムとかジェラード。地元では選抜チームに入るくらいの選手だったんです。でも高校1年生の時、自分がすごいと思っていた選手が、プロのユースチームに入ったけれど、試合には出られなかったという話を聞いて、自分は到底無理だなと悟りました」

学生時代

現在も定期的にサッカーやフットサルを楽しむ。「サッカーを通して人脈ができたし、礼儀作法も教わったと思っています」。写真右上が山根。

高校、大学時代もサッカーは続けた。「勉強は結構できた」ものの具体的な目標を持つこともなく、「ごく普通の学生時代」を送る。でもその頃から、ぼんやりとした将来像は持っていた。

「両親がすごく普通というか、何も贅沢をせず、家があって三度のご飯が食べられればいい、という感じだったんです。今でこそ、それが立派なことだということもわかるんですが、当時は退屈に思えて、自分はもっと自由に思いどおりに生きたいと思っていました。海外で働きたいとか、経営者になりたいとか。経営者に関しては、なりたいというよりもなるんだと思っていた気がします。誰かの下で働くのではなく、自分の思いを理解してくれる仲間と仕事をしたいと考えていました」

使い切れないくらいのお金を稼いでみたい

就職活動の時期が近づいた時、より具体的に自分の将来設計を考えた。そこでたどりついた結論は「金を持ってみたい」ということだった。

「多くの人がそうだと思うんですけど、学生時代ってお金がないから欲しいものが買えないし、やりたいこともできないじゃないですか。だったら一度、使い切れないくらいのお金を稼いでみたいなと。お金が欲しいというよりも、お金を持つ、お金があるとはどんなことなのかを知りたいと思ったんです」

車内

1日の多くの時間を移動のクルマの中で過ごす。運転は任せ、自身は後部座席で情報収集。業界紙や日経新聞などにはくまなく目を通し、最新の業界の動向を頭に叩きこむ。

そう考えた彼がターゲットに選んだのが、金融、証券、不動産の3つの業界だった。

「OB訪問をしてみたら、銀行はマニュアルどおりな感じがしてあまり魅力を感じませんでした。証券会社は、たまたまかもしれないけど、僕が会った人たちがすごく疲れている感じがした。でも不動産の会社は、なんだかギラギラしていたんです。バリッとしたスーツを着て、高そうな時計をつけた人たちが『売るぞ、稼ぐぞ』って空気を出していた(笑)。それで不動産会社に就職を決めるんですけど、親は先に内定をもらっていた銀行に行ってほしかったみたいですね。不動産会社に行くと言ったら、すごく不安そうな顔をしていたのをおぼえています」

顧客リスト

顧客の情報はすべてデータで管理。資産状況だけでなく、仕事や家族のこともインプット。「お客様のご家族のことを考えると、自分が背負っている責任を感じて、よりやる気がでます」。

オンライン面談

ロンドン在住の顧客とオンライン面談。居住、投資、節税など、顧客のニーズに合わせて物件を紹介する。「やみくもに薦めることはしません。ちゃんとその方にお薦めできる理由があるかどうかはすごく考えています」。

誰とも被らないから、勝負しやすい

現在の山根は、落ち着いていて、爽やかな雰囲気の青年だが、新卒の頃は、ギラギラの不動産会社になじむようなキャラクターだったのだろうか?

「いや、当時も今も変わらないですよ。でも周りがギラギラしているからこそ、僕のようなタイプが生きるんじゃないかと考えていました。誰とも被らないから、むしろ勝負しやすい。もともと3年で辞めて独立しようと考えていたので、そのほうが都合がよかったんです」

2017年、不動産会社に入社した時の目標は、3年で営業のトップになることだった。だが、彼はその目標を2年目に達成する。

「当時の会社の営業スタイルは、とにかく電話をかけまくるか、社会人交流会みたいな所で顔を売って人脈をつくるか。でも僕は幸運にもそういうことをほとんどしなくてよかった。学生時代からサッカーを通して社会人の先輩方とも付き合いがあり、その方々からお客様を紹介してもらえていたんです。誰かを紹介されたら、またその方の紹介で次のお客様を紹介してもらう。そんなふうに数珠つなぎでお客様が増えていきました」

入社2年半で不動産会社を辞めた山根は、自らの会社を設立。だが、それと並行して、同じ不動産業界でも仕入れを主に扱う会社にも入社した。

「最初の会社で営業のノウハウは学びました。でも物件を仕入れる側の知識が足りなかった。それを身につけようと思って2社目に行ったんです。お客様が不動産の営業に嘘が多いと感じてしまうのは、売る側に仕入れ側の知識がないことが原因だったりするんです。知識がないから適当な話でごまかそうとする。そういうことがわかっていたので、独立する前にちゃんと勉強しておこうと。だからこの会社は、最初から1年だけと決めていました」

独立に向けて準備万端の山根に助走はいらなかった。いきなりトップスピードで、彼は走りだした。

Vol.1「年間300件超を売るスゴ腕不動産マンの仕事術」
■Vol.3「エグゼクティブの絶対信頼を得る、勝利の極意」

Yoichi Yamane
1994年神奈川県生まれ。山根コンサルティング代表。NET WORTH 取締役。2017年に投資用マンション業界に入り、’19年からは中古マンション販売もスタート。自身で物件の仕入れも行う。'17年から'22年7月現在で販売件数1000件以上を達成。

TEXT=川上康介

PHOTOGRAPH=田中駿伍(MAETTICO)

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