アスリート、文化人、経営者ら各界のトップランナーによる新感覚オンラインライブイベント「Climbers(クライマーズ)」。その第4弾が、5月13日から3日間にわたって開催され、35人の仕事人が出演し、ビジネスパーソンを大いに熱狂させた。今回、片づけコンサルタントの近藤麻理恵さんとプロデューサーの川原卓巳さんによる特別講義を一部抜粋して掲載。すべての講義を聴くことができるアーカイブ配信はこちら。※5月17日〜5月31日18時までの無料限定公開。【短期集中連載「Climbers 2022 – 春 –」はこちら】
「片づけ」を世界へ発信
近藤 川原さんとの出会いは大学4年の時でした。就活イベント会場のエレベーター前。スーツの胸に「夢」と書かれたピンバッチを付けていて、なんだかアツい人だなって思ったんです。
川原 あの頃は目立ちたがり屋で(笑)。その時に名刺交換をして知り合ったんです。近藤さんは学生時代から「片づけコンサルタント」の仕事を始めていたんですけど、出会った当時は、片づけが仕事になるということが、どういうことなのかよくわからなかった。
近藤 最初は友人の部屋の片づけから始めて、それが知り合いの紹介という形で少しずつ広がっていったんです。卒業後、リクルートエージェントに就職。2009年に独立し、本格的にコンサルタント活動を開始しました。
川原 翌年の2010年に出版した1冊目の本『人生がときめく片づけの魔法』が大ヒット。世界40ヵ国で翻訳されるベストセラーになったんですよね。
近藤 そうそう。それで全国各地を講演で回るようになって、大阪に行った時に川原さんに連絡してみた。ちょうど川原さんが転勤で、大阪勤務になっていたので。
川原 その頃、僕もコンサルタントの仕事に就いていて、彼女の相談を聞くようになったんです。徐々に彼女の仕事を手伝うようになり、2014年春に結婚しました。同じ年にアメリカへ活動の拠点を移したんです。
それから、もう毎日が忙しくて。2015年に彼女がTIME誌の「世界で最も影響力のある100人」に選出され、サウス・バイ・サウスウエストというイベントで講演をすることになった。前年には、マーク・ザッカーバーグやイーロン・マスクが講演を行ったという大舞台。名誉なことなんですけど、彼女のプレッシャーの感じ方が半端じゃなかった。
近藤 だって、英語での講演ですよ。それも45分間、通訳なしで。当時は英語が得意ではなかったので、週4日、英語の家庭教師をお願いしました。プレゼンが得意な先生、ビジネス英語の発音が上手な先生など、4人の先生に1日ずつ担当してもらって。
川原 彼女がすごいのは、それでできちゃうことですよ。3000人のオーディエンスを相手に講演し、笑いも取っていた。その後も取材や講演の依頼が相次ぎ、多い時には1日8件入ることもあった。どの国のメディアで、どんな人に向けたインタビューなのか、頭がついていかないくらい忙しかったんです。
近藤 とりあえず、打席に立って打つという感覚ですね。その繰り返しで、少しずつ筋力がついていったと思います。
会話を繰り返し、目的をすり合わせていく
川原 それだけの仕事をこなしながら、彼女は家事と育児も抱えている。少ない時間で効率よく家事を行うための工夫がすごいんですよ。
近藤 最近は家事や育児を、夫婦で分担して行うのが当たり前になってきましたよね。でも、「料理は妻の仕事」「ゴミ出しは夫の仕事」と単純に分けてもうまくいきません。大切なのは、どの家事が得意なのかを分析し、夫婦二人ですり合わせを行っていくことです。
私たちが最初に取り組んだのは「家事の見える化」。エクセルにすべての家事を書き出し、表組を作ります。そして自分がやった家事の欄にチェックを入れていくんです。
だんだん、夫婦のどちらが積極的にその家事を行ったのかが見えてきます。その積み重ねで、夫婦双方が納得する分担ができあがるんですよ。
川原 家事をする目的もしっかりとすり合わせることが大切です。家事そのものが目的なのではなく、その後ろにある「居心地がよく幸せな家庭」が目的なんだと。うちでは、毎日そこを確認し合っています。夫婦生活が長くなると、その確認がおろそかになり、ただ作業としての家事をこなすということになりがちなんです。
近藤 相手に「あなたのことが好きなんです」と伝えること、大切ですよ。私は1日に10回以上は言っていますね。好きな相手のためだから、たいへんな家事も続けられる。その思いを言葉として伝えてみてください。
川原 家庭と仕事は密接に結びついています。家庭がいいと、仕事の調子もいい。仕事の調子がよければ、もっと家庭をよくしようと思う。その循環の中で生きていくことが、すべてがうまくいく秘訣ですね。
近藤麻理恵さんと川原卓巳さんの講義全文を動画でチェック。※5月17日〜5月31日18時までの無料限定公開。