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2022.05.16

トップ選手を指導! 中西哲生が考える40〜50代の体との向き合い方

テレビやラジオにスポーツジャーナリストとして出演する傍ら、海外で活躍しているサッカー日本代表選手などを指導するという日本最強のパーソナルコーチの異名を持つ中西哲生氏。現役を引退して22年経つが、52歳となった今も引き締まった体を維持している。いったい日頃、どのようなトレーニングを自身に課しているのだろうか──。

現役時代より今が一番いい動きができている

「現役の時よりは筋肉が落ちていることもあり、今のほうが体重は軽いんです。選手時代は74kg、今は70kgを切っています。
世界のトップ選手とトレーニングをする立場上、彼らを納得させられる動きや体を僕自身が維持できていないと、『哲生さんと一緒にトレーニングしたい』と思われなくなってしまう。だから体調や体型にはとても気をつけています」

2010年に長友佑都選手のパーソナルコーチを務めたことに始まり、これまで数々のサッカー選手を育成してきた中西氏。近頃はサッカー選手のみならず、アメリカンフットボール選手やゴルファー、果てはピアニストといった他分野までその指導は広がっている。

「僕自身、現役時代ではなく、今が一番いい動きができていると思っています。動きにもまだまだキレがあるし、あまり自分が劣化した感覚がありません」

姿勢と呼吸を意識して動く中西メソッド

そう話す中西氏のトレーニングでは、姿勢と呼吸を意識した動きを選手たちに徹底させているという。

「サッカーでいえば前後左右に動く際に、体が傾かないよう練習しています。なぜなら体が傾いていると、次のアクションを起こす時にそれを戻すという無駄な動きが発生してしまうからです。ポイントはへそと鳩尾の間を縮めないよう意識すること。そうすることによって、姿勢を崩さずに効率的に体が動かせるようになります。
また呼吸も大切です。姿勢がよくても呼吸が乱れていては、フォームは完成しません。呼吸はいわゆるテンポ感を作るもの。足でテンポを作りながら動くとか、ドリブルからシュートする時も一定のテンポを刻み続けないとダメ。だから呼吸と姿勢はセットでトレーニングする必要があります」

世界で活躍するトップ選手と相対するため、自分自身にもさぞや厳しいトレーニングを課しているかと思いきや、意外な答えが返ってきた。

「僕自身、運動らしい運動はしていません。走るのは現役の時に一生分走ったし(笑)、ジムにも15年以上入会していない。もう二度としんどいことはしたくないんです(苦笑)。
ただ、日々の生活にちょっとしたトレーニングを盛りこんでいます。移動はすべて徒歩に電車とバス。それと必ずへそと鳩尾の間を伸ばすように意識して過ごしています。
また今取り組んでいるのが体の左右差をなくし、歪みを補正すること。例えば道路を渡ろうと足を踏みだす時、階段を上る時、人は必ず利き足から踏みこむ。得意な足から動かしちゃうんです。僕の場合は左足から動いてしまうので、意識して右から出します。このように逆に動かすだけでも、左右差は解消されていきます」

今年から東京と京都の二拠点生活をスタート。京都の街を散歩する日々は心の癒やしとなっている。

もちろん食事方法にも気を使っている。

「週に1〜2回は、18時間以上食事を摂らない日を作っています。それは自分の体に、過剰に溜めこんだエネルギーをすべて使い切らせる習慣を作ろうとしているんです。
空腹だとパフォーマンスが上がるというのもあります。動物も空腹じゃないと狩りをする気が起きないでしょう。なので意識的に空腹の時間を設けています」

現在52歳の中西氏。これからの自身の体との向き合い方についてどのように考えているのだろうか。

「年を重ねるにつれ、体を鍛えていくのは難しくなってくる。だから50代のうちに、いかに筋肉のベースを作っておけるかが重要。そのためには筋肉をしっかりと収縮・弛緩させるトレーニングが大切です」

SIXPAD HOME GYMは、50代に理想的なトレーニング法

そこで中西氏は、無理をせず、ギアに頼るのもひとつの手ではないかと、ある日のトレーニングにSIXPAD HOME GYMを取り入れてみたという。これは全身7部位14箇所に電極が配置されたEMSトレーニングスーツ「Powersuit」を身につけ、アプリから配信されるレッスン映像を見ながらオンラインでトレーニングを行うサービス。バイクや自重トレーニングの際にEMSの電気刺激が加わることによって、筋トレと有酸素運動を同時に行える一石二鳥のトレーニングが可能なのだ。

「EMSでオートマティックに筋肉を鍛えられるなんて、筋肉をつけるのが難しい年齢の体にはもってこいのトレーニング。EMSによるトレーニングは左右均等なのもいい。そして目の前の画面に現れるウェイバー(インストラクター)が絶妙なタイミングで励ましてくれるのも心強い。彼らも一緒に運動して息があがっているから、こっちもがんばる気持ちになります(笑)。アプリ上で仲間とつながれば一緒にトレーニングもできるので、サボれない状況に自分を追いこむこともできますね」

運動にとって何より重要なのは継続すること。世界のトップ選手に寄り添い、指導を行う中西氏に継続の秘訣をたずねた。

「選手たちにいつも言うのは、僕に指導を仰いだとしても、やるのは『自分』だということ。自分が納得していいと思ったトレーニングを何千回と繰り返し、自分の体に刷りこませた結果、ものになっていくんです。
トレーニングは自分の体と対話する時間でもあります。40代後半から50代は、体を作る最後のチャンス。僕自身は体の左右差をなくしながら、正しいトレーニングで筋肉を収縮・弛緩させ、60代以降を生きていくための筋肉を作るのがいいんじゃないかということを、SIXPADのトレーニングをしながらずっと考えていました」

自分の体の未来を想像しながら、日々いかに効率的に体を動かし、そして筋肉量の維持につなげるかを考える中西氏。「SIXPADは自分の体と対話する機会が増えますね」。最後にそう言いながら、非の打ち所がない姿勢と歩き方で次の仕事場へと歩いていった。

Tetsuo Nakanishi
1969年愛知県生まれ。現役時代は名古屋グランパス、川崎フロンターレでプレー。2000年の引退後はテレビのコメンテーター、ラジオのパーソナリティーとしても活躍。現在は久保建英、中井卓大、斉藤光毅、永里優季などのパーソナルコーチとして現役プロサッカー選手を指導している。Twitter:@tetsuo14

TEXT=今井恵

PHOTOGRAPH=太田隆生

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