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2022.02.16

【本田圭佑】「子供のころからずっと“成功”にとらわれていた」──連載「本田思考。」

サッカー選手兼監督兼投資家兼起業家・本田圭佑は、言葉を使うことで、自らをインスパイアし、世界にサプライズを起こす。その脳にはどんな 言葉=「思考」が隠されているか紐解いた連載を一挙に振り返る。 ※GOETHE2020年6・7合併号〜10月号掲載記事を再編

本田圭佑

「たとえ錯覚でもいい。前を向いているという意識を持つ」

ブラジルにいると、日本はやっぱりしっかりしたいい国だなと思えてくる。この新型コロナウイルスの問題が起きてから、政府の対応が遅いという批判もあるようだが、僕から見るとしっかりと考えて判断をしているようにも思える。なかには間違った判断もあるかもしれない。それでもこの問題に関しては、何が正解か誰もわからない状況だ。他の国を見て、不平不満を言うのは意味がない。

今の日本にとって大事なのは、この緊急事態宣言が発令されている期間の過ごし方だろう。これ以上の悲劇が起こらないように、個人個人が強い覚悟と意識を持つことが大切だと思う。こういう時期に元気を出すのは難しいだろう。気分が前向きになれない、余裕がないのも当然だ。空元気(からげんき)を出せとは言わない。ただ不安な気持ちだけを抱えて過ごしていたら、身体が健康なのに心が先に参ってしまう。

僕もこの1ヵ月以上、ほとんど家だけで過ごしている。試合はもちろん、チームでの練習もできない状況だ。トレーニングのために家の前に出るくらいで、ほぼ24時間自宅にこもった生活。ストレスがないといえば嘘になる。世界中の全アスリートがそうだろうが、プレーができないことで、自分の存在価値について考えさせられる。今までに味わったことのない気持ちになり、このウイルスに対する無力感を味わっている。

でも今はとにかく、この世界的、歴史的な病魔から生き抜くことが大切だ。

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本田圭佑

「僕らアスリートは希望や勇気を与える存在でなければならない」

ドイツのブンデスリーガはいち早くリスタートし、日本でもJリーグなどが再開。どんな混乱のなかでも人々はスポーツを求める。スポーツも含むエンタテインメントは、この状況においては“不要不急”の代名詞のような存在だ。それでも世界の誰もがスポーツを求め、再開を望んでいる。僕はスポーツを求めるのは、人間の本能なのではないかと思っている。

スポーツのいいところは、勝ち負けがはっきりしていて、そのプロセスが可視化されているということだ。ピュアでありフェア。だが、実社会はそうはいかない。ビジネスの世界においても、目に見えない力が働いたり、ルールぎりぎりのアンフェアが横行したりするのが当たり前だ。僕もビジネスをやっているので、それはそれで面白いと思うのだが、どちらがわかりやすく、ストレスがないかといえばやはりスポーツだろう。

だが、そんな社会で生きていればどうしてもストレスが溜まる。そこで人々は、その溜まったストレスをスポーツ観戦で解消するのだ。古代オリンピックが始まったのは、一説には紀元前9世紀だといわれている。はるか昔から、スポーツは人々の心を癒やしてきた。この混乱した、ストレスフルな時代だからこそ、人間の脳はスポーツを求めているのではないだろうか。

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本田圭佑

「誰のために、何のためにサッカーをするのか」

2018年のロシアW杯が終わったあと、“引退”の2文字も頭にちらついていた。若いころは、絶頂期にやめるのが自分の美学にあっていると思っていた。
W杯で優勝して、その大会を最後に引退しよう。だが、その夢がかなわなかった時、僕のなかには「もっとサッカーをやりたい」という気持ちが芽生えてきた。悪あがきかもしれない。でもまだ伸びると自分を信じる気持ちを捨てきることができなかった。だからこそ目指したのが2020年の東京オリンピックだった。

コロナ禍でオリンピックが延期となった時、僕は本当のことを言うと「助かった」と思った。この1年ほどは十分なアピールができないままだったからだ。あのままであれば、僕が五輪代表に選ばれることはなかっただろう。

サッカーに限らず、すべての五輪競技の選手が2020年の夏に向けて、まさに命がけ、ギリギリの調整を続けてきたことは理解している。彼らには申し訳なく思うのだが、僕の正直な気持ちを言うならば「1年の猶予をもらった」というものだった。

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本田圭佑

「僕が求めているのは、“成功”ではなく“成長”だ。」

僕自身を含め、今、世界中の人々が目の前にある現実を精一杯に生きている。未来は、何の前触れもなく突然変わる。どんなに情報を駆使して予測をしたとしてもそれに価値はない。そのことを新型コロナウイルス問題で世界中の人々が学んだのではないだろうか。

僕は子供のころからずっと“成功”にとらわれていた。成功して、家族に大きな家を建ててあげたい。いいクルマを買ってあげたい。だからこそ懸命にサッカー選手を目指したし、成功すると信じてやってきた。その思いが大きな原動力になってきたのは間違いない。

じゃあ、僕は成功したのだろうか?

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COMPOSITION=川上康介

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