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2020.05.02

本田圭佑「たとえ錯覚でもいい。前を向いているという意識を持つ」

本田圭佑は、言葉を使うことで、自らをインスパイアし、世界にサプライズを起こす。その脳にはどんな言葉が隠されているのだろうか。

本田圭祐さん

気持ちが負けたら免疫力も下がる

ブラジルにいると、日本はやっぱりしっかりしたいい国だなと思えてくる。この新型コロナウイルスの問題が起きてから、政府の対応が遅いという批判もあるようだが、僕から見るとしっかりと考えて判断をしているようにも思える。なかには間違った判断もあるかもしれない。それでもこの問題に関しては、何が正解か誰もわからない状況だ。他の国を見て、不平不満を言うのは意味がない。

今の日本にとって大事なのは、この緊急事態宣言が発令されている期間の過ごし方だろう。これ以上の悲劇が起こらないように、個人個人が強い覚悟と意識を持つことが大切だと思う。こういう時期に元気を出すのは難しいだろう。気分が前向きになれない、余裕がないのも当然だ。空元気(からげんき)を出せとは言わない。ただ不安な気持ちだけを抱えて過ごしていたら、身体が健康なのに心が先に参ってしまう。

僕もこの1ヵ月以上、ほとんど家だけで過ごしている。試合はもちろん、チームでの練習もできない状況だ。トレーニングのために家の前に出るくらいで、ほぼ24時間自宅にこもった生活。ストレスがないといえば嘘になる。世界中の全アスリートがそうだろうが、プレーができないことで、自分の存在価値について考えさせられる。今までに味わったことのない気持ちになり、このウイルスに対する無力感を味わっている。

でも今はとにかく、この世界的、歴史的な病魔から生き抜くことが大切だ。肉体を守り、精神を守り、そしてできるなら経済も守る。正直、コロナ前と同じ経済状況を望むのは無理がある。給料が下がる人もいるかもしれない。でも自分が、家族が毎日ご飯を食べていけるなら、そこで踏ん張ればいい。それすらできないという人たちには、社会的に補償していくべきだと思うが、そうでない人たちは、多少下がったとしてもコロナが終息したときに取り戻すくらいの気持ちになったほうがいい。

気分が滅入るのも、不安になるのも、収入が減るのも、自分だけではない。世界中、みんなが同じ状況だ。みんなが下がっているのだから、自分が現状を維持し、少しでも上を向くことができれば、そこにはチャンスが生まれてくる。多少は、自分をマインドコントロールするテクニックも必要かもしれない。たとえ錯覚でもいい。前を向いているという意識を持つことは、この困難を乗り切る力になるはずだ。

感染しない、させない、最大限の配慮と努力をし、そして絶対に精神的に力尽きないこと。苦しくなったら信頼できる仲間と語り合えばいい。会うことができなくても今はいくらでも通信手段がある。互いの状況を語り合い、未来について話をするだけで気分が変わる。気持ちが負けたら免疫力も下がる。みんなが下を向いていても、自分だけは前を、上を向く。この戦いが終わったら、誰よりも先に走り出せるよう、準備だけはしておこう。

TEXT=川上康介

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