サッカー選手兼監督兼投資家兼起業家・本田圭佑は、言葉を使うことで、自らをインスパイアし、世界にサプライズを起こす。その脳にはどんな 言葉=「思考」が隠されているか紐解いた連載を一挙に振り返る。【2019〜2020年の掲載記事を再編】
「年齢よりも大切なのは、自分を成長させる“経験”」
10月になっても、僕の新しい所属チームは決まらなかった。以前の僕なら焦りもあったかもしれない。でも今の僕は、理想を放棄してまでチーム選びをするつもりはない。妥協するくらいなら、2〜3ヵ月”浪人”するのも悪くないと思っている。
33歳の選手と契約することを馬鹿げたことだと思う人もいるかもしれない。だが、僕のフィジカルは、まったく衰えていない。科学的トレーニングの進化によって、アスリートの寿命は大幅に伸びた。僕自身、この3〜4年でフィジカル的に落ちている数値はない。持久力はむしろ伸びているくらいだ。
さらに経験値も飛躍的に増えている。ビジネスをやり、さらにカンボジアの監督をしていることで、サッカーの見え方も大きく変わってきた。以前は、せいぜい監督の視点しか持つことができなかったが、今はさらに上の視点からサッカーを見ている。
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「僕は毎朝5時45分に起きて、優先順位の高い英語から片付ける」
毎朝起きるのは5時45分。そこから2時間〜2時間半、英語の勉強をする。このルーティンが始まったのは1年ほど前。英語はずっと勉強してきたので、日常会話やインタビューで困るようなことはない。だが、ビジネスで使うとなるとまだ若干不安な部分もある。今後の人生を考えた時、自分に必要な能力だと思い、改めて勉強し直すことにした。
僕の時間の使い方のルールは明確だ。「やるべきこと、やらなければならないことからやる」。朝起きて、優先順位が高いものから順番に片付けていくようにしている。だから午前中の時間の使い方が大切なのだ。8時には家族で朝食をとり、そのあとはランチまでサッカーの練習だ。
チームが決まらなかった状態でも、コンディションは最高の状態に保ちたかった。明日チームに呼ばれ試合に出場したとしても、そこで結果を出さなければならない立場だからだ。ビッグマウスをビッグマウスで終わらせないために、徹底的に自分を追いこむ。走りこみ、筋トレで身体をいじめ、ボールを使った練習で感覚を養っていた。
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「逆境は僕にとって“おいしい”状況だ」
ようやく移籍先がフィテッセに決まったと思ったら、合流後2試合で自分を呼んでくれたスルツキ監督が解任。はたから見れば、今の僕は明らかな逆境にいると思えるだろう。
だが、それはあくまでも外から見た評価に過ぎない。僕自身は、悲観的どころか楽観的。むしろこれからどうこの状況を変えていくか、楽しみにしているくらいだ。
そもそも僕が合流した時点でチームは3連敗中だった。僕に求められていたのは、チームの悪い流れを変える役割。しかし残念ながら最初の試合もその次もチームは敗れた。4連敗になった時に「次も負けたら監督が代わるかも」という予想はしていた。だから監督の解任は想定内の出来事。あとを継いだオースティング暫定監督はチームのユースチームの監督だったので、これからはフィテッセの生え抜き選手が重用されることになるだろう。これも想定内。ただ監督が誰になったとしても自分の役割が変わるわけではない。目指すのは、あくまでもチームの勝利であり、自分がそのために必要なピースであることは間違いないと思っている。
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