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2022.02.03

スピードスケート高木菜那が北京五輪で切り拓こうとする未来──連載「コロナ禍のアスリート」Vol.42

まだまだ先行きが見えない日々のなかでアスリートはどんな思考を抱き、行動しているのだろうか。本連載「コロナ禍のアスリート」では、スポーツ界に暮らす人物の挑戦や舞台裏の姿を追う。

写真:picture alliance/アフロ

競技への情熱をつなぎ止めた、室伏広治氏の教え

4年前に獲得した2つの金メダルは北海道帯広市の自宅の引き出しの中にある。ここ数年で手にした回数は数えるほどしかなく、ここ1年は1度も目にしていない。

2018年平昌五輪スピードスケートのマススタートと団体追い抜きで金メダルを獲得。高木菜那(29=日本電産サンキョー)は日本女子として五輪で夏冬通じて、初めて1大会2冠の快挙を成し遂げたが「金メダルは大切なものだけど、振り返ることはあまりしない。一日一日感覚は違うので、良かった時に戻りたいとは考えない。平昌五輪と北京五輪は切り離して考えている」と過去の栄光にとらわれることなく、開幕が間近に迫った北京五輪に集中している。

北京五輪では連覇の懸かるマススタート、団体追い抜きに加え、1500mに出場する。自身3度目の五輪となるが、過去2大会はタイムを争う個人種目では力不足を露呈。’14年ソチ五輪は1500mで32位、平昌五輪は5000mで12位に低迷した。

「今までの五輪で個人種目では納得するレースができていない。自分は速い選手ではない。個人種目で戦いたいのがスピードスケーター」

この思いを胸に突き進んできた。

平昌五輪後は競技に対する情熱を失いかけたが、新たな挑戦を行うことで気持ちをつなぎ止めた。’04年アテネ五輪ハンマー投げで日本史上初の金メダルに輝いた室伏広治氏に師事。日本選手権20連覇を達成した超人で体育学の博士号を持つスポーツ科学者でもある理論派に’19年から3年間、オフシーズンの2〜3カ月の間、週1回のペースで教えを請うた。

効率良く推進力を生み出すための腰を水平に動かすトレーニングやインナーマッスル強化などに着手。高木菜那は「全然違うスポーツの方にいろいろ教えてもらって、どのスポーツも基礎は同じだと思うことが多々あった。インナーマッスル、上半身と下半身の連動、細かい筋肉を使いながらいかに効率よく体を動かすかを学ぶことができた」と収穫を口にする。

妹・高木美帆はよきライバルであり仲間

妹・美帆(27=日体大職)は500m、1000m、1500m、3000m、団体追い抜きの5種目に出場。1000、1500mは金メダル候補で、高木菜那にとってはライバルであり団体追い抜きのチームメートでもある。

「姉妹というよりはライバル。姉妹というよりは仲間でもある。パシュート(団体追い抜き)では高木美帆という選手を信頼している。そういう意味ではいい関係」。

’10年バンクーバー五輪は美帆のみ、’14年ソチ五輪は菜那のみが出場し、ともにメダルなし。初めて2人揃って出場した’18年平昌五輪は菜那が金メダル2個、美穂が金、銀、銅メダルを手にした。2大会連続で姉妹でのメダル量産を狙う。

平昌五輪後1年近くは右膝痛に悩まされ、今季はW杯第1戦を控えた昨年10月に新型コロナウィルスに感染。苦難を乗り越えて3大会連続の夢舞台にたどり着いた。

「マススタートは2年間滑っていないのでどうなるか分からないが、パシュートとマススタートは金メダルを狙う。1500mは今できる最高の滑りをして表彰台を目指したい。厳しいとは思うが、今の自分なら世界と張り合えると思っている」

目標は4年前を超える金2個を含む3個のメダル獲得だ。

人気占い師しいたけの占いにはまるなど占い好きだが、占うのはプライベートの案件に限る。

「占ってもらうのは好きだけど、スケートに関しては占ってもらいたくない。運命は自分で変えられるものだと思っているから。平昌後の1年はなかなか気持ちが乗ってこない日も多かったが、目標を立てて乗り越えることができた」

4年間の思いを氷に乗せて、自らの脚で未来を切り開く準備はできている。

TEXT=木本新也

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