毎度お騒がせしております。キングコング西野です。
今回の記事は、毎朝voicyという音声メディアで配信している「#西野さんの朝礼」でお話したことから、編集して紹介させていただきます。
(※今回の記事を音声で楽しみたい方はコチラ)
今日は、「若いうちに『経営』の経験はしておいた方がいいよ」というテーマで、お話ししたいと思います。
【連載「革命のファンファーレ~現代の労働と報酬」】
第20回 僕たちがお金をもらえるのは、「働いたらお金をもらえる仕組み」を誰かが作ってくれたから
リーダーとは、責任を背負う人
今日は「皆、一旦、経営者を経験してみるといいよ」という話をしたいと思います。
もう結論言っちゃってるんですけど、誰がどんな仕事に就こうが勝手だと思うのですが、僕は、“一旦、経営者を経験するか、経営者に近い立場で働いてみてから”、そのまま経営者として続けるか、転職してどこかで雇われた方がいいのかなぁと思っています。
先日、生配信をしたときに、「従業員の意見を聞かない自己中な社長の考えを変えるにはどうすればいいですか?従業員の不満も多いです」というご相談をいただいたんですね。
ここ、面白いラインだなぁと思うのですが、結論、会社の理屈でいうと、この方の考え方は間違ってるんです。
でも、「従業員の不満も多いです」とあるので、たぶん、現場だと多数派なんでしょう。つまり、この方の意見に対して「そうだそうだ!」といった感じで、多くの従業員が肯定されている。
ただ、「たとえばあなたがその会社の従業員だとして、あなたの言う通りに会社を動かしたところ、会社が倒産して、100億の赤字を背負った時に、あなたは、その100億円を背負いますか?」
背負わないですよね。
リーダーというのは、責任を背負う人なんです。
「船長の最後退船」という言葉があるんですけど、その船の全ての責任を持っているのは船長で、もし「船が沈む」となったら、船長は、まず最初に船上の人を助けてから、一番最後に逃げるか、もしくは船と一緒に沈むか、です。
その役割を担っているのが船長なんですね。
船に乗っている皆が「目的地まで最短距離で、最速で行こう!」と言っても、皆の言う通りに進んだら嵐に遭遇して船が沈んじゃうという状況であれば、皆をブン殴ってでも船を止めないといけないのが、船長です。
「皆の言うことを聞くのが良いリーダー」と言うわけではないんですね。
で、これって、リーダーを経験するか、リーダーに近い位置で働いてみないと分からないことかもしれません。
「働いてお金を作ったことがない人」はいろいろ勿体無い
そして、もう一つ、ここが結構、重要なラインだと思うのですが、「働いて稼ぐ」という言葉がありますが、この言葉、厳密にいうと、二つに分類されています。「働いてお金を貰う」というのと、「働いてお金を作る」というのは、まったくの別物なんですね。
僕も、「働いてお金を貰う」ことがあるんですけど、お金って、誰かが作ってくれないと貰えないんですよ。
厳密にいうと、「働いたらお金をもらえる仕組み」を誰かがリスクをとって作ってくれたからこそ、僕らは働いた時に、お金をもらえるんです。
何が言いたいかというと、その仕組みがないと、僕らは働いてもお金を貰えないんです。
で、その仕組みに納得がいかないのであれば、自分で仕組みを作るしかない。
今、すっごく当たり前のことを言ってるだけなんですが、「経営」の経験がないと、ここがスッポリ抜け落ちちゃう。
僕が言ってることを“理解できない経営者”は、あまりいないと思うのですが、“理解できないサラリーマン”は、結構いるんです。
テレビなどで「今は、こういうお金の作り方がありますよ」という話をした時に、「詐欺だ〜!」「金の亡者だ〜!」と騒ぐのって、大体、“経営者の経験がない人”です。
つまり、働いてお金をもらったことはあるけれど「働いてお金を作ったことがない人」です。
お金を作った(あるいはお金が生まれる仕組みを作った)ことがない人に、お金の作り方の話をすると、大体、「詐欺だ〜」「金の亡者だ〜」という反応になるんですね。
当然、その人が子育てをすれば、その子供も、基本的には、その思考になる。なんか、いろいろもったいないですよね。
そこで、「一旦、経営者を経験してみるといいよ」というのが今回の話でした。
そのまま経営者として生きるのもアリですが、従業員として生きるにしても、会社の仕組みが分かっている従業員や、経営者の気持ちが分かる従業員の方が、当たり前ですけれど、出世するので、大学在学中にでもカジュアルに起業して、会社の仕組みや社会の仕組みや、お金のこととかを学んで、その後の生き方を選択した方がいいのかなぁと思います。
今、「そりゃそうだよね」とうなずいてくださっている方が結構いらっしゃると思うのですが、町の酒場に行ってください。社長の愚痴を肴に酒を呑んでいるサラリーマンが、山ほどいます。
「その人に食わしてもらうのが、そんなに嫌なら、辞めたらいいじゃん。会社は居残ることを強制しているわけじゃないんだから。その代わり、辞めたら、『働いてお金をもらえる仕組み』をゼロから自分で作らなきゃいけないけど、その準備はできてますか?大学卒業してから、そこの勉強、いっさいしてなくないっすか?」って、言ってみてください。
だいたい、逆上してブン殴られます(笑)。
なんで、怒るかわかりますか?
図星だからです。
あと、子供達の未来を本当に想うのであれば、お金の勉強をしないまま親や先生になることの罪深さをもっと知った方がいいと思います。日本人は、お金の勉強をすることから逃げています。
まぁ、いずれにせよ、「経営」の経験は、早いうちにしておいた方が人生を有利に動かせると思います。
西野亮廣/Akihiro Nishino
1980年生まれ。芸人・絵本作家。モノクロのペン1 本で描いた絵本に『Dr.インクの星空キネマ』『ジップ&キャンディ ロボットたちのクリスマス』『オルゴールワールド』。完全分業制によるオールカラーの絵本に『えんとつ町のプペル』『ほんやのポンチョ』『チックタック~約束の時計台~』。小説に『グッド・コマーシャル』。ビジネス書に『魔法のコンパス』『革命のファンファーレ』『新世界』。共著として『バカとつき合うな』。製作総指揮を務めた「映画 えんとつ町のプペル」は、映画デビュー作にして動員170万人、興行収入24億円突破、第44回日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞受賞という異例の快挙を果たす。そのほか「アヌシー国際アニメーション映画祭2021」の長編映画コンペティション部門にノミネート、ロッテルダム国際映画祭クロージング作品として上映決定、第24回上海国際映画祭インターナショナル・パノラマ部門へ正式招待されるなど、海外でも注目を集めている。
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