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2021.12.09

バスケ男子日本代表に就任したトム・ホーバス氏の手腕やいかに?

まだまだ先行きが見えない日々のなかでアスリートはどんな思考を抱き、行動しているのだろうか。本連載「コロナ禍のアスリート」では、スポーツ界に暮らす人物の挑戦や舞台裏の姿を追う。

2日連続で中国に完敗

女子日本代表の監督時代に、これほど険しい表情を浮かべたことはあっただろうか。バスケットボール男子日本代表のトム・ホーバス監督(54=米国)が厳しい船出を強いられた。2021年11月27、28日に仙台で開催されたW杯アジア1次予選の中国との2連戦で初陣を迎え、63-79、73-106と2日連続で完敗した。

東京五輪で女子日本代表を銀メダルに導いた手腕が評価され、本年9月に就任。男子の本格的な指導経験がないなかで抜擢されたが、アジア屈指の強豪の前に歯が立たなかった。試合後は会場のファンに「スタートは良くなかったけど、みんな我慢してください」と呼び掛け「間違いなくうまくなります。’23年のW杯では、もっともっといいバスケットを見せます」と約束。自分自身に言い聞かせるように巻き返しを誓った。

ホーバス監督はインサイドに選手を配置しない「5アウト」の布陣を採用する。3点シュートを量産して世界を席巻した女子日本代表と同じスタイルで、5人の選手がアウトサイドから攻撃を仕掛けるのが特徴。ゴール下のスペースにアタックして相手ディフェンスを収縮させ、そのままリングを狙うか、キックアウト(インサイドからアウトサイドに出すパス)から3点シュートを狙うのが基本戦術となる。

平均身長で約6cm差のある中国の重圧に苦しみ、理想の形がつくれないなか、新スタイルの片鱗は見せた。日本が放った3点シュートは第1戦が35本、第2戦が32本(中国は第1戦17本、第2戦24本)。フリオ・ラマス前監督(57=アルゼンチン)の指揮した東京五輪は1試合平均28本で、外からの積極性は確実に増した。

一方で、3点シュート成功率は第1戦が20%、第2戦も25%に低迷。東京五輪の女子日本代表は1試合平均31.7本を打ち成功率38.4%を記録している。3点シュートはホーバス監督の目指すバスケの生命線。良いリズムで打てる状態をつくる展開を含め、精度アップが不可欠となる。

新戦力の台頭も

今回は渡辺(ラプターズ)、八村(ウィーザーズ)ら海外組を招集できず、国内組で構成された。東京五輪から引き続き選出されたのは富樫(千葉)、ベンドラメ(SR渋谷)、比江島(宇都宮)、張本(名古屋)、シェーファー(三河)の5人。田中(A東京)が代表引退を表明するなどメンバーが大幅に入れ替わる中、代表デビューした22歳のシューティングガード西田(三河)が2試合連続2桁得点するなど新戦力の台頭もあった。

この2試合に向けた事前合宿は12日間。各選手の所属クラブとは戦術が全く異なるため、比江島は「誰もやったことのないスタイルで習得が難しい部分はあった」と振り返り、「役割はこの2試合である程度分かったので、各選手がチームに戻っても(代表の)スタイルを意識しながらやることが大切になる」と強調した。

ホーバス監督は女子時代はWリーグの協力を得て、長期合宿を何度も実施。チームで共有する時間を増やして戦術を浸透させたが、女子に比べて男子のBリーグは試合数が多く、十分な合宿期間を確保することは難しい。加えて主軸となる海外組はW杯や五輪などの世界大会の直前しかチームに合流できない可能性が高い。

次の活動は来年2月25日のW杯アジア予選・香港戦に向けた直前合宿になる見通しだ。限られた集合期間で戦術を落とし込むことは簡単ではないだけに、ホーバス監督は「このスタイルのバスケの練習がもっと必要。スタッフと何ができるか考えて、選手たちとコミュニケーションを取っていきたい」と説明。映像を送るなどして各選手が所属クラブに戻っても代表を意識した練習をできる環境を整える意向を示した。

日本協会もチームづくりに時間を要するのは織り込み済みで、結果が問われるのは’23年W杯となる。日本、フィリピン、インドネシアの共催で’23年8月25~9月10日に行われ、日本は開催国枠で既に出場権を獲得。’19年W杯、東京五輪と日本は世界大会で2大会連続全敗しており、1勝が現実的な目標となる。

ホーバス監督は「自分たちがやりたいバスケをするためにはこの2敗から学ばないといけない。遠回りしている暇はありません」と前を向く。米国出身だが、流ちょうな日本語で選手と直接コミュニケーションを取れるのが何よりの強み。いかに選手と信頼関係を築き、チームづくりを軌道に乗せていくのか。女子代表時代に”トムさん”と慕われた熱血漢の腕の見せ所となる。

TEXT=木本新也

PHOTOGRAPH=長田洋平/アフロスポーツ

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