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2021.10.15

【西野亮廣】新作歌舞伎『プペル 〜天明の護美人間〜』上演決定! 歌舞伎のビジネスモデルを考える。

こちらは、オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』に投稿した記事を加筆修正したものです。
さすがに表に出せない固有名詞や、表に出せない金額などは、加筆修正の段階で伏せさせていただいていますが、なるべく、オンラインサロンに投稿した記事のままお届けします。

そんなこんなで今日は、先週、オンラインサロンに投稿した「『製作委員会』という仕組みの共有と、これからの課題」という記事をお届けしたいと思います。
この記事は、これといった結論が無く、「…というわけなんだけど、さて、どうしようかしら?」という問題提議で終わるのですが、確かな答えが出ていない今の状況も皆様と共有しておきたいので、そのままお届けします。

よろしくお願いします。

【連載「革命のファンファーレ~現代の労働と報酬」】

第12回 歌舞伎公演のリスクを軽減し、しかも可能性を広げることができる決定的な打ち手はあるか?

そもそも「製作委員会」って何?

『映画 えんとつ町のプペル』は製作委員会方式で作られています。
「製作委員会方式」とは、単独出資ではなく、複数の企業に出資していただく形のことです。

製作委員会を組む理由は大きく2つあって、一つ目は「リスクヘッジ」です。

映画を作るには、大きなお金(制作費)がかかります。
このお金を一社で負担すると、作品が万が一ズッコケちゃった場合、そりゃあもう大変なことになってしまうので、そのリスクを分散させる為に、皆でお金を出し合います。

そして、製作委員会を組む二つ目の理由は「作品の拡散」です。

作品を一人でも多くの方に届ける為に、発信力のある企業に出資していただき、それぞれで出資したお金を回収する為に作品を発信していただくことで、作品を広める…という下心があったりなかったり。
A社に出資していただくことで、A社さんの店頭に『映画 えんとつ町のプペル』のアレやコレが並んだりするわけですね。

基本的には出資した割合に対してリターンがあるので(作品の2次利用の権利を渡されたりするので)、製作委員会の人達は、「無駄に出資者が増えること(発信力のない出資者が参加すること)」を嫌がったりします。
出資者が増えると、その分、取り分が小さくなるからです。

ちなみに、『映画 えんとつ町のプペル』は、西野(CHIMNEY TOWN)も出資させてもらっているのですが、大企業の名前がズラリと並ぶ中、(ほぼ個人とも言ってもいい)出資を受け入れてもらえているのは、「西野の発信力は味方につけておいた方が、取り分が大きくなりそうだよね」というご判断をいただいたか、「出資するから! ボク、絶対に出資するからっ!」と西野亮廣がゴネり倒したか? のいずれかです。
たぶん、後者だと思います。

…以上の説明で、なんとなく『製作委員会』という仕組みをご理解いただけたかと思います。
それでは本題は、ここからです。

歌舞伎のビジネスモデルを考える

すでに、ニュースになっていますが、新作歌舞伎『プペル 〜天明の護美人間〜』で市川海老蔵さんとご一緒させていただくこととなりました。
来年の1月に上演します。観に来てね。

海老蔵さんとは、こまめにディズカッションを繰り返しています。
作品の中身の話は勿論の事、「歌舞伎のビジネスモデル」についても。

僕もガッツリと首を突っ込むまで知らなかったのですが、歌舞伎は、「○億円かけて制作して、チケットの売り上げで○億円を回収する」という“豪快すぎる自転車操業”で、キャッシュポイントが基本的には「チケット代」ぐらいしかないので、とにかく、公演し続けなきゃいけないし、役者は舞台に立ち続けなきゃいけません。

役者は舞台に立つのが仕事ですから、舞台に立ち続けるのは当たり前っちゃあ当たり前なのですが、人間ですから体調面の問題もあり、「立ちたくても、立てない」ということがあります。今回のコロナのようなこともあります。

突然、公演が中止になったとしても、すでに多くのスタッフを抱えていたり、すでに美術セットを制作していたりするので、「公演は中止にしたから、制作費はかかりません」というわけにはいきません。
多くのスタッフの生活と、とんでもない規模の予算が、役者の背中にのっています。
リスクが本当に大きなビジネスで、その苦労と恐怖は計り知れません。

これらのリスクを分散させる手立てとして、舞台でも普通に『製作委員会方式』があるのですが、映画と違うのは「リターンに天井(上限)がある」ということ。

「劇場の座席数×公演日数×チケット代」が舞台の基本的な売り上げで、製作委員会に参加して、作品をたくさん宣伝したところで、「全公演完売」によって生まれる金額以上の(金銭的な)リターンは見込めません。
映画と違って、「ヒットすれば青天井」というゲームじゃないんですね。

「歌舞伎の新作を作り、それによって生まれる副産物(2次創作物)が、無限繁殖していく」という状態を作ることができれば、「出資者の金銭的メリット」も作ることができて、役者さんが背負っている様々な負担を減らすことができますが、歌舞伎にはそれがなかなかありません。

これは(自分を含む)全ての人に言えることですが、自転車操業的に働いていると、時間に追われて、スケジュールを埋めることに追われて、『本腰を入れてビジネスモデルを再構築する』というところまで、なかなか頭がまわりません。

となると、もしかすると僕の方から(外野の人間から)、「こんなやり方はどうですか?」と提案する必要があるのかもしれません。
#お節介な話ではありますが

とは言っても、まだ、これといって歌舞伎公演のリスクを軽減して、さらには可能性を広げることができる決定的な打ち手は思いついてはいません。
このナゾナゾを解くのは大きな大きな課題だなぁと思いつつ、今のこの現状を皆さんに共有しておきたかったので、今日は、こんな記事を描かせていただきました。

なんとかします。

現場からは以上で〜す!

西野亮廣氏ポートレイト

Akihiro Nishino
1980年生まれ。芸人・絵本作家。モノクロのペン1 本で描いた絵本に『Dr.インクの星空キネマ』『ジップ&キャンディ ロボットたちのクリスマス』『オルゴールワールド』。完全分業制によるオールカラーの絵本に『えんとつ町のプペル』『ほんやのポンチョ』『チックタック~約束の時計台~』。小説に『グッド・コマーシャル』。ビジネス書に『魔法のコンパス』『革命のファンファーレ』『新世界』。共著として『バカとつき合うな』。製作総指揮を務めた「映画 えんとつ町のプペル」は、映画デビュー作にして動員170 万人、興行収入24億円突破、第44回日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞受賞という異例の快挙を果たす。そのほか「アヌシー国際アニメーション映画祭2021」の長編映画コンペティション部門にノミネート、ロッテルダム国際映画祭クロージング作品として上映決定、第24回上海国際映画祭インターナショナル・パノラマ部門へ正式招待されるなど、海外でも注目を集めている。

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TEXT=西野亮廣

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