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2021.10.04

DDホールディングス松村厚久、100店舗100業態を可能にしたファッション哲学

企業は利益という数字のみを追求していればよいのだろうか。そこには従業員や関係者、それに顧客を常に惹きつける“攻め”のエネルギーが必要だ。そのパワーをつくりだす中心人物こそ経営者であるべきだろう。エンタテインメントやサプライズが生みだす明日への刺激と活力。人生をかけてパワフルに装う男がいた。その華麗なる着こなしに、答えは隠されている。

DDホールディングス松村厚久氏

出会いには驚きや楽しさが絶対に必要

日本を代表する有能で個性的な経営者のなかで、ビジネスの才はもちろん、ファッションにも情熱を注ぐ男として知られているのが、飲食事業やアミューズメント事業を手がけるDDホールディングスの松村厚久氏だ。

今から6年前の2015年、松村氏は自身の半生が描かれた本、『熱狂宣言』のなかで若年性パーキンソン病であることを公表している。しかし同時に「病はもはや完全に自分の一部」「絶対に負けずに克服する」と語っており、身体的不自由と闘いながら、企業のトップとして精力的に働き続け、またエンタテインメント性溢れる装いを今も実践しているのだ。今回、そんな型破りなドレッサーの自宅を訪れ、松村氏が考えるファッション哲学をうかがった。

@atsuhisa_matsumura

自身のインスタグラム@atsuhisa_matsumuraでも数多くのコーディネイトを発信し、そのコーディネイトを小冊子にまとめたこともあるほど。

つい最近引っ越したばかりというマンションの自室には、各部屋にクローゼットを備えており、それぞれにぎっしりと爪先から頭までのファッショナブルな衣服が詰めこまれている。松村氏は「それでも引っ越しを機に、半分くらい処分しました」と笑って振り返る。

お気に入りのふたつのコーディネイトを撮影させていただいたが、服を選定する際に、いくらかの曲折があった。ブラックのパーティスタイルで撮影するというひとつの構想が決まってからも、10着ほどのタキシードが選ばれ、決定に時間を要した。加えて、胸に挿すチーフの形状はパフドかTV型かなど、細部にいたるまで松村氏は吟味を尽くす。とことん本気でこだわる姿勢こそが“100店舗100業態”という偉業を成し遂げた手腕にも通底しているのだろう。

特別に自宅での撮影が実現した今回。その膨大な服やアイテムに驚かされる。しかも種類ごとに、細かくきれいに整頓されており、どこに何があるかを松村氏は完璧に把握。常に装う準備が整った状態なのだ。

しかしどうしてそこまで服装にこだわるのか。キッカケは約10年前。当時お付き合いをしていた方に、体形も太っていて、服装もダサいという理由で振られたからだった。

「ショックで、彼女を見返すためにダイエットをし、服装も詳しい方にアドバイスをいただき、そこから服に対する興味が湧いて。周りから『なんでも着こなせるからすごい!』などと褒めてもらえることが増え、そこからモテ始めたんです(笑)。企業のトップは、常に人を惹きつける存在であるべきだと思っています。なぜって、モテない人間では人も仕事もついてこないでしょう。ファッションには人を惹きつける力があります。そこに気を遣わないというのは人生損をしますよ」

“モテる”という言葉は、異性も同性も当然含む。カッコよくあり続けるという姿勢は、ビジネスのキッカケとしても十分な要因になる。だから松村氏は、常にファッショナブルかつエッジの利いた服を求め続けている。もちろん、デザインに優れた服と触れ合うことは、松村氏自身にも刺激をもたらすようだ。

アートや映画に強い興味を持つことで知られる松村氏。それは自身の感性やセンスを、最高に研ぎ澄ませた状態でありたいと願う心の表れだ。見て学ぶことも大切だが、常に身に纏っておくことで、さらに刺激を日常的かつ皮膚感覚のものとしたい。今回のふたつのコーディネイト撮影は、そんな氏のハートを強く感じた。撮影前後に松村氏からアイテムの説明を受けるなかで、強く印象に残ったもののひとつがスニーカーだ。玄関通路にずらっと並ぶコレクションからもその情熱を感じる。松村氏はストックなどせず、どのモデルもしっかり履きこんでいる。所蔵し満足するのではなくキチンと納得いくまで履き倒す。まさに熱狂的に実行するファッショニスタの片鱗が、スニーカーの靴底にも表れていた。

クローゼットを概観すれば、すべてのファッションアイテムが十分詰まっているように思える松村氏のファッション現在地。この先はどうなっていくのか。

「服の購入を控えようかと迷ったこともあるんです。だから知人へのプレゼント購入のみに抑えたりもしました。でも、せっかくだからと試着などしようものなら、やっぱり欲しくなって買ってしまうんですよね(笑)」

よい服や優れたデザインのアイテムは、どうしてもその先の未来を想像せずにはいられないと松村氏。

「自分がこれを身につけたら、出会った人はいったいどんな顔をするだろう?という思いが頭をよぎります。定期的にサプライズを用意することは、人間関係でも店舗展開でも重要なポイント。だからこれからも、信じるままに自分らしく、攻めのファッションを続けていきます」

コロナ禍という状況もあり、どうしても閉塞感が漂う昨今の状況。だからといって企業のトップがトーンダウンしてしまっては何も始まらない。明日への刺激は自ら率先してつくりだす。そうすることで再びすべての人にパワーが伝わり、やがて大きなうねりへと発展する。経営者たちよ、今こそ全身全霊をもってお洒落に突っ走れ!

 

 

ヴェルサーチェのブラックスーツはシルクのラペル、側章つきパンツによるフォーマル仕様。「一番こだわって装うのはパーティなどのシーンですね。人を驚かせるような刺激的な装いを常に心がけています」(松村氏)。中に着こんだ白シャツは、単なる白シャツではなく、大きく人物のフォトが描かれており、動いた時にそれがチラリと覗く。

パーティシーンをはじめ、日常でもファッショナブルかつ刺激的な服装を貫くのが松村スタイル。サンローランのタキシードジャケットは衿にストーンを縫いつけたゴージャスな1着。ヴェルサーチェのパンツも印象的だ。そのロックなスタイルから、旅行先で出会った見知らぬ人から「新曲、聴きました!」とナゾの声かけを受けたこともあるという。

 

ATSUHISA MATSUMURA
1967年高知県生まれ。日本飲食業界に新風を巻き起こし続ける、DDホールディングスの代表取締役社長グループCEO。2001年に飲食業に初参入し、’10年に「100店舗100業態」を達成し広く注目を集める。’17年、持株会社体制に移行し、現在の社名に変更。また、’15年に自身の半生を記した『熱狂宣言』(幻冬舎刊)を発表。’18年には同作品を自身主演のドキュメンタリーとして映画化され、’20年にDVDも発売。

DIRECTION=島田 明

TEXT=長谷川 剛

PHOTOGRAPH=前田 晃

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