苦楽をともにした仲間、憧れのアートピース。椅子とは座るための単なる道具ではなく、その存在を紐解けば、人生の相棒とも呼べる存在であることがわかる。プロゲーマーのふぇぐさんが愛でる椅子と、そのストーリーとは? 「最高の仕事を生む椅子」特集はこちら!
先行投資として購入した相棒のゲーミングチェア
「大会本番前は、12時間以上、長い時は、30時間以上この椅子に座って練習してますね(笑)」
そう話すのは、プロゲーマーのふぇぐさんだ。2018年に対戦型オンラインTCG「Shadowverse」の世界大会で優勝し、当時の国内eスポーツ史上最高の賞金約1億円を勝ち取った。
そんなふぇぐさんは、一日の大半をデラックスレーサーのゲーミングチェアで過ごす。
「世界大会前に、本番と同じ椅子が欲しくて、先行投資のつもりで購入しました。この椅子に座ると、集中力もモチベーションも上がって、ふと気がつくと漫画・デスノートのLみたいな姿勢で練習しています(笑)」
集中すると座面に両足を乗せ、踏みこむ姿勢になっているというふぇぐさん。3年間愛用した椅子には、足跡が刻まれている。
最近では、若者がなりたい職業ランキングでYouTuberに続き、プロeスポーツ選手も名前が挙げられる。日本の有名プロゲーマーとして君臨しているふぇぐさんだが、意外にもeスポーツとの出合いは、人生の岐路に立たされている時だった。
「大学の留年が決定し両親に相談したら、学費は自分で払いなさいと言われました。途方に暮れていた時、『Shadowverse』のある大会の賞金が400万円と知ったんです。起死回生の一手で出場したら、優勝しました」
これが転機となり、就職を辞めてプロゲーマーの道を決意したふぇぐさん。eスポーツをもっとメジャーにしたいという。
「若者だけでなく、上の世代の人にも認めてもらえるようになりたいですね。プロになると決めたので、結果は残したいです」
年々注目度が増すeスポーツ界でトップを走り続けるために、ふぇぐさんは今日も愛用の椅子で練習に励んでいる。
FEG
1994年東京都生まれ。明治大学在学中に、先輩に勧められて、遊びで対戦型オンラインTCG「Shadowverse」を始める。『Shadowverse World Grand Prix 2018』で優勝し、賞金100万ドル(約1 億円)を手にする。プロゲーマーとして、NTT-WEST リバレントに所属。現在は、2度目の世界大会優勝を目指して日々練習に励む。