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2021.08.13

【西野亮廣】富裕層の生態系を把握しろ

常に時代の先頭を走り続ける西野亮廣の連載「革命のファンファーレ~現代の労働と報酬」!
いまだに売れ続けているベストセラー『革命のファンファーレ 現代のお金と広告』の刊行から4年経った、今の西野さんの頭の中とは? 連載第三回。
※ここで掲載する記事は、オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』に投稿した記事を、連載用に加筆修正したものです。

連載「革命のファンファーレ~現代の労働と報酬」

西野亮廣氏

第三回 あなたはサービスの本質から、目を背けていないか?

クラウドファンディングのリターン(返礼品)で『キンコン西野があなたのことを想う権』的なモノを1万円とかで出すと、決まって「信者ビジネスだ」という批判が起こります。「そんなものを1万円で買うヤツは洗脳されているに違いない」と。
まずは、この指摘の幼稚さについて説明させていただきます。

クラウドファンディングは「予約販売サイト」として利用されることもあれば、当然、「支援サイト」として利用されることもあり、その扱われ方はプロジェクトによって様々。
クラウドファンディングを使って商品を売りたい人もいれば、クラウドファンディングで支援を集めて、プロジェクトを遂行したい人もいます。
そして支援者は、その内容を理解して、リターンを選びます。

説明を簡単にする為に、この二つのクラウドファンディングを「販売系クラウドファンディング」「支援系クラウドファンディング」と呼ばせていただきます。

Tシャツを販売することを目的に「販売系クラウドファンディング」を立ち上げた場合のリターンの設計は、「【3000円】オリジナルTシャツ×1枚」「【6000円】オリジナルTシャツ×2枚」…といった感じで、「返礼品の原価+利益+サイト手数料」で考えるのが妥当です。
ザックリ言うと「3000円支援してもらったら、3000円の商品を送るべきだよね」です。

一方で、「支援系クラウドファンディング」のリターン設計で最もやってはいけないのは、「3000円支援してくださった方に、3000円の商品を送る」です。

「支援系のクラウドファンディング」の支援者は、自分が支援したお金を、“プロジェクトに使ってもらうこと”を望んでいます。
熱海の土砂災害の復興なのか、熊本の水害の復興なのか、あるいは、大好きなアイドルが夢にまでみた武道館ライブの美術セット費なのか。

自分のお金を、そういった「プロジェクトオーナーの目的」に使ってもらうことを望み、3000円を支援したのに、「ご支援ありがとうございます」とオリジナルTシャツを送られてきた日にゃ、たまったもんじゃありません。
Tシャツの原価と商品の配送料がこんなことに使われて、自分が支援した3000円のうちの一体いくらが、熱海の土砂災害の復興や、熊本の水害の復興や、大好きなアイドルが夢にまでみた武道館ライブの美術セット費に使われたのでしょうか?
せいぜい数百円でしょう。

もう分かりましたよね?
「支援系クラウドファンディング」のプロジェクトに共感し、プロジェクトに3000円を支援した人は、プロジェクトに3000円を使って欲しいんです。
「支援系クラウドファンディング」において、「お金をかけて返礼品を用意する」ということが、「支援者のお金を無駄に使っている」ということを理解しなくてはいけません。
「支援者の満足度を下げている」ということを理解しなくてはいけません。

御礼のメールでいいし、「あなたのことを想ってます」でいいんです。
「それでいい」「それがいい」という方が支援してくださっているので、第3者が口を挟む問題ではありません。

そして、ここからが本題です。
今回は『富裕層の生態系を把握しろ』というお話になります。

クラウドファンディングに初めて挑戦する人は、かなりの確率で「高額リターン」の設計を誤ります。
30万円のリターンを「オリジナルTシャツ+オリジナルステッカー+オリジナルポストカード+オリジナルDVD+オリジナル……」といった感じで『商品の詰め合わせ(全部盛り)』にしてしまう人が少なくありません。
皆さんも一度は目にしたことがあるのではないでしょうか?

ただ、少し冷静になって考えてみてください。
クラウドファンディングで30万円が出せる人って、一体どんな人でしょう?
その人は、モノが無くて困っているでしょうか?
はたまた「オリジナルTシャツとオリジナルDVDをセットで買えば、バラで買うよりも200円安くなる!」という文句に誘われる人でしょうか?

まぁ、違いますよね。
その人が一番欲しいのは「あなたを助けた」ということ、そのものです。

つまり、支援してもらう側の仕事は、「相手(高額支援者)が求めてもいない商品を送りつけて、30万円を相殺すること」ではなく、「高額支援者に存分に助けられること」です。「30万円分の借りを作ること」です。
高額支援者はそれを求めています。

「優しさ」をはき違えるな

少し話がそれますが、頑張ってついて来てください。

僕は吉本興業を退所して(株)CHIMNEYTOWNという会社で働いています。絵本を作ったり、映画を作ったり、ミュージカルといったエンタメを中心に、事業を横展開している会社です。
表向きはキラキラとした会社ですが、若手社員には常日頃、「富裕層をターゲットから外すな」と言っています。
ここだけ切り取るとチョット怖いですよね。
ですが、弱い人に優しくしたいのであれば、その問題から目を背けてはいけません。

富裕層をターゲットから外してしまうと、サービスを回して行くには「スタッフの労働量」と「一般層&貧困層の支出」でカバーしなくちゃいけなります。
飛行機に「ファーストクラス」と「ビジネスクラス」がなければ、「エコノミークラス」の値段は、今の何倍にもなるでしょう。新幹線も同じ。
お金に余裕がない人に、高いお金を払わせることになるわけですね。

そんなことは皆、分かっているのですが、富裕層を相手にすることを避けるリーダーは少なくありません。
あなたはどうですか?

「あいつ、あんなに高い値段をとりやがって」という外野の声を避ける為の【自己保身】や、「この値段だから、この程度のクオリティーでも仕方ないでしょ」という【言い訳】に走っていませんか?
【一律料金】は「リーダーの逃げ」であり、それにより涙するのは、従業員や、一般層や貧困層のお客さんです。

ちなみに、『えんとつ町のプペル』のオンライン絵本や、六本木ヒルズや、エッフェル塔でおこなった個展は、ファミリーに楽しんでいただく為に「無料」です。
何をどうして「無料」にできたのかは、お察しの通り。

ウチの若手社員と、オンラインサロンメンバーには、そのお金の流れを全て見せています。
そして、言っています。
「弱い人を助ける為には、何をすればいいか考えろ」

富裕層は「何」を買っているか?

長くなっちゃてゴメンナサイ。
そろそろ話をまとめます。

富裕層にお金を出してもらえないサービスは高くなってしまいます。
したがって、安くする為には、富裕層を掴まえなくてはいけません。
ただ、冒頭のクラウドファンディングの話でお伝えしたとおり、「富裕層が何を求めているのか?」が分かっていないと、富裕層に買ってもらえる商品は作れません。

全てのサービス提供者は「富裕層の生態系」を把握する必要があります。

先日、友人のショーに誘われました。
もちろん、僕は、その友人を応援しているので、チケットを買って参加。
円卓を囲む形でのショーで、同じ卓には、古くからの知り合いで、今や日本を代表する起業家さんやクリエイターさんが座っていました。
皆、友人を応援しようと思って、頑張って背伸びをして、「一番高い席」を買っていました。
その席の人たちは、見る人が見れば、「高いお金を出してくれるお客さん」なのかもしれません。
確か『VIP席』という名前が付いていたと思います。
気持ちが悪いですが、便宜上、「富裕層」とさせてください。
#本当はお金持ちじゃないよ

さて。
この時、富裕層は、何にお金を払ったのか?

その内訳は「友人のショーの応援」と、「久しぶりに再会した仲間との会話」。
特筆すべきは後者です。

僕らは「話ができる」を買っています。
したがって、たとえVIPであろうと、「最前列のテーブル」を用意されてしまうと、満足度が下がってしまうんです。最前列だと、ショーの妨げになってしまうので、仲間と喋れないんです。

ここで、整理しなくてはいけません。

高い値段を払って最前列で見たい人(S席のお客様)は、「作品を買っている人」であって、それは「富裕層」じゃないんです。
「熱狂的なファン」です。

支払っている料金の内訳が「友人のショーの応援」と「久しぶりに再開した仲間との会話」になっている人は、最前列の席にしちゃダメなんです。
彼らを案内する場所は、むしろ、一番後ろ。
「お喋りをしても、ショーの妨げにならない場所」です。

大きなスタジアムで「一番値段が高い席」って、どこかご存知ですか?
客席の一番後ろの、そこそこ見にくい【個室観覧席】です。
彼らが買っているのは、スタジアムを待ち合わせ場所(トークテーマ)にした、友達・恋人との「コミュニケーション」なのです。

作品やスポーツを「社交場」として利用する人達が「富裕層」です。
「熱狂的なファン」と「富裕層」を見誤ってはいけません。
目的が全然違うんです。

このあたりの「富裕層の生態系」を把握しておかないと、富裕層を相手にすることができず、富裕層じゃない人に高い値段でサービスを提供することに繋がってしまいます。
とっても大切なことなので、一度、真面目に向き合ってみてください。

西野亮廣氏ポートレイト

Akihiro Nishino
1980年生まれ。芸人・絵本作家。モノクロのペン1 本で描いた絵本に『Dr.インクの星空キネマ』『ジップ&キャンディ ロボットたちのクリスマス』『オルゴールワールド』。完全分業制によるオールカラーの絵本に『えんとつ町のプペル』『ほんやのポンチョ』『チックタック~約束の時計台~』。小説に『グッド・コマーシャル』。ビジネス書に『魔法のコンパス』『革命のファンファーレ』『新世界』。共著として『バカとつき合うな』。製作総指揮を務めた「映画 えんとつ町のプペル」は、映画デビュー作にして動員170 万人、興行収入24億円突破、第44回日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞受賞という異例の快挙を果たす。そのほか「アヌシー国際アニメーション映画祭2021」の長編映画コンペティション部門にノミネート、ロッテルダム国際映画祭クロージング作品として上映決定、第24回上海国際映画祭インターナショナル・パノラマ部門へ正式招待されるなど、海外でも注目を集めている。

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TEXT=西野亮廣

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