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2021.07.14

元祖フェミ男・武田真治の美しき筋トレライフ

各界の第一線で躍動するプレイヤーたちは、こぞって資本となる己の肉体を磨き続ける。仕事も人生も謳歌するための、彼らの肉体論に迫る。

武田真治氏

鍛えられた肉体は信頼を得るための名刺代わりになる

筋肉という筋肉が美しく隆起し、ギリシャ彫刻と見紛(まが)うほどのパーフェクトな肉体を持つ武田真治。約30年前のデビュー当時、華奢な姿体でフェミ男の代表格とされていたのが噓のようだ。

「筋トレを始めて20年になりますが、自分でもここまで続くとは思いませんでした。ましてやタンクトップに短パンで筋トレを披露する(2018年〜’20年NHK放映の『みんなで筋肉体操』出演)とは(笑)。子供の頃から運動が嫌いで、運動ばかりする人を冷ややかに見ていたくらいでしたから」

身体を鍛え始めたのは、26歳で顎(がく)関節症を発症したのがきっかけだった。心身ともに不調を抱え、仕事もできずオファーも減り、芸能界引退も頭をよぎった武田に、担当鍼灸師が、顎の負担を軽減すべく、全身の筋肉を鍛えるよう指導したのだ。

「最初に薦められたのが縄跳び。楽勝だと思ったのに、いざやってみると、連続して10回も跳べなくて。連続で100回連続で跳べるようになるまで、1ヵ月くらいかかりました」

体力がついたところで筋トレをスタート。ボクシングやジョギングに力を入れた時期もあるが、現在は、ほぼ1日おきに自宅でベンチプレスをメインにしたトレーニングを行っている。

「30キロ、50キロ、70キロ、90キロと重さを変えるんですが、インターバルをとりながら、マイペースでのんびりやっています。30キロが終わったらスマホでニュースをチェックし、50キロが終わったら洗濯物を取りこんだり。今の僕にとって筋トレは、日常におけるルーティンのひとつなんです」

そう涼しい顔をして語る武田だが、アンチ運動派からの転換で、最初は苦しくて、何度も挫折しそうになったという。そんな彼を奮い立たせたのは、「たいした苦労もなくスポットライトを浴びたという幸運に、見合うだけの努力を一度くらいしてみよう」という想い。

「分不相応な幸運に恵まれ、それに甘えて好き勝手やって、挫折を味わったことで自分の生意気さや傲慢さに気づき、謙虚さを覚え、与えられるより与えること、支えられるより支えることに価値を見いだすようになって……。ちぐはぐな人生かもしれないけれど、この順番で本当によかった。あの挫折がなければ、今僕はここに立っていないと思うから」

自分を叱咤する言葉をメモ

身体を鍛え始めた時から、自分を叱咤する言葉をメモに記し、部屋の壁に貼っていた。「当時の僕にとって、未来は先の見えないトンネルでした。一日一歩でも進むために、自分を鼓舞する必要があったんです」。この経験を綴った本を現在執筆中。

身体を鍛えたことで、メンタルも鍛えられた。

「ハードなトレーニングを続けられたのだから、大概のことは乗り越えられるという自信がつきました。それに、鍛錬を続けられるということは、ちょっとやそっとのことでは音(ね)を上げず、責任を持って仕事をまっとうするという証明にもなる。いわば、この肉体が、名刺代わりになっているんですよね。おかげさまで今、いろいろなオファーをいただけるようになりましたし、僕自身も挑戦したいことがたくさんあるんです」

筋肉によって新たな道を切り開き、輝きを増した武田。

「身体を鍛えるのは、いくつになってからでも遅くありません。大変なのは、最初の一歩。そこで、“やらない理由”を探さず、縄跳び10回でもいいからやってみる。それを続けるうちに、きっと習慣になるはず」

 

SHINJI TAKEDA

武田真治/SHINJI TAKEDA
1972年北海道生まれ。’90年にデビューし、ドラマや映画、バラエティなど幅広く活躍。サックス奏者としても評価されている。今秋上演予定のミュージカル『オリバー!』で主演を務める。
パンツ¥110,000(GalaabenD TEL:03-6455-2065)

TEXT=村上早苗

PHOTOGRAPH=筒井義昭

STYLING=伊藤伸哉

HAIR&MAKE-UP=堀江万智子

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