各界の第一線で躍動するプレイヤーたちは、こぞって資本となる己の肉体を磨き続ける。仕事も人生も謳歌するための、彼らの肉体論に迫る。
筋トレを広めて、すべての日本人の腹筋を割りたい!
高速ストレートを武器に甲子園を目指した元高校球児・望月あもん。甲子園出場は果たせなかったが、日体大でも野球部に所属し、将来はプロ野球選手として活躍するビジョンを描いていた。
「1年生の時に肘を壊し、野球を続けることができなくなったんです。思ってもみなかった大きな挫折でしたね。でも、意外に早く、気持ちを切り替えることができた。野球以外で一番を目指せるフィールドは何かと考えた時に、たどりついた結論が筋トレだったんです」
実は、望月は幼少の頃から野球ひと筋の生活を送りながらも、サッカー・ポルトガル代表のクリスティアーノ・ロナウド選手の身体を理想としていた。美しい逆三角形を描いた筋骨隆々(きんこつりゅうりゅう)のボディ。ロナウドのような肉体を手に入れたいと、野球の練習とは別に、自主的に筋トレに励んでいたという。
「筋トレの積み重ねもあって、“すごい筋肉の持ち主がいる”と、日体大の学内で話題になりました。その噂を骨格筋評論家で日体大准教授の岡田隆先生が聞きつけ、お会いする機会を得ました。筋肉や骨格を確認し、自分が指導するバーベルクラブに入部しないか、と。野球ができなくなった僕にとって、願ってもない申し出。入部を決め、ボディビルに取り組むようになりました」
望月はボディビルのなかでも、筋肉の量ではなく、全身のバランスや見た目の美しさを競う「フィジーク」という競技を選択。競技を始めてすぐに頭角を現し、’17年の埼玉オープンで優勝。’18年には第53回 東京ボディビル選手権大会メンズフィジーク176㎝超カテゴリーにおいて、最年少優勝を果たした。日体大4年の時には芸能事務所からスカウト。肉体派のモデル・俳優としてデビューを飾った。
「大学卒業後は競技と芸能活動を続けながら、トレーナーの道を歩み始めました。現在は西麻布のパーソナルジム『PLUS ME』でのレッスンと、受講者の自宅にてマンツーマンのレッスンを行っています。受講者は経営者の方がほとんどですね。筋トレとは、身体への負荷を高めるなどして、少しずつ自己の限界点を引き上げていくもの。限界に挑む勇気と精神力は、企業の経営にも欠かせないのではと。高い壁にぶち当たったとしても、怯(ひる)むなんていうことはなくなると思います」
この春、望月は、双子の兄で筋トレ情報を配信するフィットネスYouTuberの望月しもんとともに会社を設立。自宅で使えるトレーニンググッズやスポーツスキンケア商品の開発・販売に乗りだした。
「筋トレは人生を豊かにするツール。内面と外面の両方が鍛えられ、生き方がよりアグレッシブになります。だからこそ、ひとりでも多くの人に取り組んでもらいたい。筋トレの裾野を広げ、人口を増やし、ゆくゆくはすべての日本人の腹筋を割る。これが僕の野望なんです」